消費税増税前に駆け込み需要が起きれば反動で4月からの需要減少が見込まれる、対策は抜本的な戦略立案を検討をしよう

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駆け込み需要の反動この2~3月は消費税増直前期となり、駆け込み需要が発生した。日本の消費税率は3月31日までは5%だが、明日4月1日より8%となる。日本の消費税はEU各国の平均約20%に比較するとまだまだ低いが、網羅的にほとんどの商品に課税されるため、駆け込み需要が起きる商品やサービスもほぼ全業種に及ぶようだ。
日本経済に与える影響を健闘するなら2010年にたばこや自動車等の増税があったさいに起きた駆け込み需要を材料に分析するのもよい。グラフ(※引用)を見ると、4000億円超の駆け込み需要が直前月に発生し、その翌月は3000億円超の反動減、そして約3ヶ月程度の調整期間を経て、その波はおさまるという数値を示している。

駆け込み需要の反動
出典:http://www.nli-research.co.jp/report/econo_letter/2010/we100917.html

波高ければ谷深し。反動減が起きるのは間違いない。4月以降夏ころまでの需要は低迷することが予測される。

消費税駆け込み需要反動減の対策はどうするか。

目先の安さを訴えるセールの効果は限定的だろう。それに仕入額も増税分が上昇しているので値下げは自らの利益を圧迫する。消費者も価格訴求に慣れているので安さばかりを訴求されても購買意欲に響きにくい。

ここはビジネスの原点に帰り、顧客を見つめなおすのはどうだろう。企業の収益は、顧客のお買い上げからしか発生しない。顧客が真に求めているベネフィット(価値)を追求し、小手先の対策ではなく抜本的にビジネスを立て直すことを提案したい。

4月からほとんどの企業で仕事が一段落するだろう。鉄鋼関係ではすでに3月に入り操業率が大幅に低下し工場が止まりつつある状況も聞いている。プラス思考でいくなら、ビジネスの立て直しを考える時間ができ、大きく戦略を見直すにはちょうどいい時期になるという考え方もできる。日本経済の変化の節目だからこそ、自社の現状分析(SWOT分析)を行ない、強み弱み機会脅威を明らかにしておくことは有意義である。

だから、経営戦略そのものを検討するにはとてもいい時期になる。当社ではBSC手法を用いた経営戦略立案の支援を行なっている。これまで数年間、中小企業大学校東京校でも経営戦略立案セミナーの講師を担当させていただいたり、商工三団体でのセミナーや専門家派遣などで中小企業者を支援させていただいてきた。これから消費税率10%に上がるまでの1年半は、経営戦略立案支援の案件が増えると考えている。

今回の消費税増税前の駆け込み需要は、経済誌などの情報を見る限り予測の範囲内だという。反動減の影響はどうなるか。消費税増税は来年10月にもう一度ある。今度は消費税が10%になる見込みである。同じような駆け込み需要とその反動がもう一度起きると言われている。今回の学習効果が試されることになる。