来年の4月1日から消費税の税率が5%から8%になるのであと1年もない。企業の財務会計の決算は一年ごとなので4月1日以降に年度末を迎える企業は1年の中で2つの税率が発生することになる。3月31日までの消費税率5%の期間と4月1日以降の8%の期間は会計ソフトの税率設定を変更しなければならない。しかし、調べてみるとほとんどの日本の会計ソフトは自分で消費税の税率設定を変更できなかった。具体的には「弥生会計」が消費税の税率設定を自分で変更できない代表格である。では中小企業者は消費税率変更にどうやって対応すべきなのか?
▼弥生会計の消費税設定画面には消費税率を変更する欄がない。
調べてみると、弥生会計の消費税率は日付による自動対応と書いてある。
▼法令に対する弥生の方針
http://www.yayoi-kk.co.jp/lawinfo/shouhizei/content04.html
取引の日付によって税率を自動的に決定し計算します。
▼弥生会計のQ&Aよりhttp://www.yayoi-kk.co.jp/lawinfo/shouhizei/content05.html
Q:すでに弥生会計を持っていますが、自分で税率を変えられますか?
A:法令で定められた税率で正確に計算されるようにするため、お客様側では税率を変更できません。
弊社が新消費税率に対応したプログラムを作成して提供いたしますので、新消費税率に対応したプログラムの導入をお願いいたします。
消費税率が変わるたびに新製品を購入しなければならない会計ソフト
つまり、弥生会計を使い続けるならば消費税率が変わるたびに新製品を購入しなければならないということである。
少なくとも、現在、弥生会計を使っている当社は、次年度に今のバージョンの弥生会計はそのままでは使えない。9月末までの当期はこのまま弥生会計を使い続けるが、10月1日以降の次年度は、弥生会計の新バージョンを買うか、他社製品の会計ソフトを買うか、を意思決定しなければならない。
消費税率はまだまだ変化していくだろう。少なくとも再来年の10月1日からの10%が予定されているのでそこまでは視野に入れておく必要がある。
しかし、年度ごとに違う会計ソフトを使わなければならないとなると、過去の会計データを閲覧したり分析したりシミュレーションしたりするさいに、旧バージョンの会計ソフトがないと税率計算が違ってしまわないか。そんな使い勝手の悪い会計ソフトを使い続けたいと思わない。そもそも、新製品を購入させるためにあえて消費税率を変更させない設定にしているような思惑が見える企業の製品を使うのは気分が悪くないか。
中小企業向け主要会計ソフトの消費税率対応比較
中小企業者が使う主要な会計ソフトの消費税率の対応を調べてみた。すると消費税8%対応の以後、消費税10%対応の時期になると、各社の対応は実はほとんど同じであることがわかった。その一覧表は以下のとおり。
▼消費税の税率変更に対する対応一覧
会計ソフト名 | 消費税率の変更 | 2015年10月1日の消費税率10%対応の方針 |
弥生会計 | できない | 新製品を購入(バージョンアップ) |
会計王(ソリマチ) | できない | 新製品を購入(バージョンアップ) |
ミロクかんたん会計 | できない | 新製品を購入(バージョンアップ) |
わくわく財務会計 | できない | 新製品を購入(バージョンアップ) |
PCA会計 | 自分で変更できる | バージョンアップを推奨 |
勘定奉行 | 自分で変更できる | バージョンアップを推奨 |
※各社のWEBからの情報で判断したので実際とは違うかもしれない。購入の前に必ず確認ください。
結局は、各社横並びだった。これから3年間の費用総額で比べるしかなさそうである。
今後3年間の金額で比較すると、わくわく財務会計がもっとも安く実質的には2万円以下ですみそうである。
弥生会計、会計王、ミロクかんたん会計は約10万円前後くらい、PCA会計や勘定奉行はさらにぐっと高くなる。
結局、当社はここ数年間でもっとも維持費が安くなり機能的には十分な「わくわく財務会計2」を選択することにした。当社は9月末決算なので、それまでは弥生会計を使い、10月以降はわくわく財務会計2を使いはじめることにする。
▼補足
弥生会計の前身である「クイックブックスpro3」には消費税率変更の設定があった。
▼以下、クイックブックスのヘルプより引用
消費税率の改正があった場合、課税区分の設定を変更せずに税率だけを変更したい場合に行います。税率の変更を行うと、変更前の課税区分が自動的に非表示になります。
操作手順
1 [消費税の課税区分] リストを表示します。
2 消費税率を変更する課税区分を選択します。
3 [編集] メニューボタンから [編集] を選択します。
4 [消費税の課税区分の編集] ウィンドウで [税率の変更] をクリックします。
5 消費税の新税率を入力します。
6 (任意) 旧税率と新税率の名前を変更します。旧税率の名前には、初期値として名前の前に「*」が付加されます。
7 変更前の課税区分が設定されていた科目も新税率に更新する場合は、[関連する科目を新税率へ更新] にチェックを付けます。
8 変更前の課税区分が設定されていた品目も新税率に更新する場合は、[関連する品目を新税率へ更新] にチェックを付けます。
9 [OK] をクリックすると、指定した税率に変更されます。
変更前の課税区分が非表示になります。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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