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ChatGPTに「エージェントモード」登場!中小企業診断士の業務が変わる予感

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ChatGPTに「エージェントモード」登場私が使っているChatGPT(有料プランのChatGPT Plus)に、新しく「エージェントモード」という機能が追加されました。これは単なるチャットAIではなく、より高度で実務的な仕事をこなしてくれる“AI秘書”のような存在です。
今までは、ChatGPTに「〇〇について教えて」「この文章をリライトして」と単発の問いかけをする使い方が主でした。ですがエージェントモードは、それよりもっと踏み込んだ使い方ができます。複数の作業を1つのタスクとしてまとめて依頼できるんです。早速、使ってみました。

ChatGPTに「エージェントモード」登場

AIエージェントとしてできること

まず、実際にChatGPTのエージェントモードで何ができるかという概要について紹介します。

たとえば、
・インターネット上で最新情報を検索する
・ExcelやPDFなどのファイルを読み込んで、分析・要約する
・グラフや図を自動で生成してくれる
・複数の手順を自動でこなして、レポートやプレゼン資料にまとめてくれる
といった一連の仕事を、ひとつの命令でまとめて実行してくれます。

さらに、ChatGPTに「〇〇について調べて、資料をPowerPoint形式で作って」と頼めば、なんと競合情報の調査→要点整理→スライド案の作成まで自動でやってくれるのです。

つまり、いままで人間が「調べる→考える→まとめる→書く」という一連の作業に時間をかけていたものを、エージェントAIがアシスト・代行してくれる時代が来たというわけです。

私自身、中小企業診断士として、日々さまざまな調査や報告書、プレゼン資料を作成していますが、エージェントモードの登場によって、仕事の仕方が大きく変わりそうだと感じています。

今回は、実際にパワーポイント資料を作ってみた事例を紹介するとともに、このエージェントモードをどう活用できるか、中小企業診断士業務に直結する5つの使い方をご紹介したいと思います。

実際にやってみました:エージェントでパワポ資料を作成!

では、実際にエージェントモードがどこまでの作業を自動で実行してくれるか試してみました。以下は架空の案件として設定した課題です。

どもども遠田
どもども遠田

石川県の中小企業ファッション関係業界の経営者さんが、生成AIをどのように活用すれば業務に有効なのかについて、無料版のAIと有料版のAIにわけて調査して、パワーポイントのプレゼン資料として出力してください。

AIの回答
AIの回答

プレゼン資料のスライド数や言語(日本語または英語)に希望はありますか?また、グラフや画像を含める場合はどのような形式が好ましいか教えてください。

どもども遠田
どもども遠田

日本語でおねがいします。
グラフや画像を生成する場合も日本語にしてください。なお生成AIの名称など製品やサービスの固有名詞は英語表記でもかまいません。

AIの回答
AIの回答

承知しました。それでは、日本語で石川県の中小企業ファッション業界の経営者向けに、生成AIを無料版と有料版に分けてどう活用すれば業務に有効かを調査し、パワーポイントのプレゼン資料を作成いたします。グラフや図表を含める場合は日本語表示で、固有名詞は英語表記があっても問題ないようにします。まず最新情報を調査し、収集したデータを基に構成案を考えます。少々お待ちください。

この後に作業に入ってくれました。画面はライブモードとなり、今、どのようなことを考えて調べて何をしているかがわかります。

ライブの状態をスマホで動画撮影してみました。

どんな感じで生成しているかの過程がわかるのがいいですね。

27分後にパワポができました。待ち時間はちょっと長いですね。この間は別の作業をしていたほうがいいです。

AIの回答
AIの回答

生成AIの活用について石川県の中小企業ファッション業界向けに調査した結果を、パワーポイント資料としてまとめました。以下のファイルから閲覧・ダウンロードいただけます。

ChatGPTに「エージェントモード」登場

ダウンロードしたパワポはこんな感じでした。実際にそのまま使えます。

ChatGPTの「エージェントモード」で自動作成したパワーポイント
ChatGPTの「エージェントモード」で自動作成したパワーポイント

この一連の流れで出力したパワーポイントのデータをサンプルとしてダウンロードできるようにしました。興味ある方は上記のリンクからご覧になってみてください。

さて、以下は、今後このエージェントモードをどのように使えばいいかについて考えてみました。

活用事例①:補助金・助成金の調査と申請支援に使う

補助金や助成金の制度は毎年数多く登場し、情報収集や要件確認が非常に手間です。そこでエージェントモードの出番です。「製造業向けの最新補助金を調べて」とChatGPTに依頼すれば、国や自治体のサイトを横断的に検索し、最新の制度情報をリスト化してくれます。さらに、制度の公募要領PDFをアップロードすると、AIがその内容を要約し、自社や支援先の事業とマッチしているかどうかを整理してくれます。

また、補助金申請書のドラフトを作る際にも大活躍します。ChatGPTに「以下の情報をもとに事業概要を書いて」と頼めば、それらしい文章を作ってくれます。もちろん、最終的なブラッシュアップは人間の仕事ですが、たたき台があることで作業時間は大幅に短縮されます。申請支援の生産性と精度がぐっと高まります。

活用事例②:Webマーケティングの競合調査・分析に使う

「自社のホームページを改善したい」「競合はどんなコンテンツで集客しているのか知りたい」という場面でも、エージェントモードが活躍します。対象となる競合サイトのURLを複数入力すれば、AIがそのページ構成、使用キーワード、頻出フレーズ、コンテンツ傾向を自動で分析してくれます。

さらに、自社サイトとの違いやSEOの弱点も指摘してくれます。例えば「競合は〇〇というキーワードを多用していますが、自社サイトでは使われていません」といった提案も可能。改善提案をそのままスライド形式で出力させることもできるので、報告書や社内プレゼンのたたき台作成もあっという間。SEO施策の企画において、手間のかかる情報整理をAIが一手に担ってくれるのです。

活用事例③:財務分析と改善提案の資料づくりに使う

試算表や決算書のデータをAIに読み込ませると、主要な財務指標を自動で計算し、推移をグラフ化してくれます。たとえば、過去3年の売上や利益の動きを折れ線グラフで示し、「営業利益率が年々低下している」といった傾向分析も行ってくれます。

さらに、業界平均との比較や、問題点の抽出、改善提案まで提示してくれます。「在庫回転率が低下しています→在庫管理の見直しを検討してはどうか」など、シンプルかつ実務的なアドバイスが自動で得られます。財務資料のたたき台を整える時間が短縮されるだけでなく、提案の精度と説得力も向上します。定量データをベースにしたコンサル資料作成に、強力な武器となるでしょう。

活用事例④:新規事業アイデアの市場調査と事業計画づくりに使う

「こんなビジネスを始めたいと思っているけど、どうだろう?」という新規事業の相談には、ChatGPTのエージェント機能が心強いパートナーになります。たとえば、アイデアの概要を入力すると、ターゲット市場の規模、成長性、潜在的な競合などを調査し、整理してくれます。

3C分析やSWOT分析、簡易な収支シミュレーションなども依頼すれば実行してくれます。「3年後には黒字化可能」「初期投資は〇〇万円で、回収は△年目」といった試算もスピーディに出せるため、簡易な事業計画を立てる際の土台づくりに最適です。人間が最終判断すべきところを除けば、思考の補助や資料化はAIが大部分を代行してくれる時代が来ています。

活用事例⑤:顧客ヒアリングの文字起こしと要約・示唆抽出に使う

Zoom会議や顧客インタビューなどの音声データを文字起こしし、その内容をChatGPTに要約させることで、議事録作成の手間を大幅に省くことができます。さらに、単なる要約にとどまらず、「この会話の中で顧客が懸念していた点は?」「次に我々がすべきアクションは?」といった問いにも答えてくれます。

特に複数のインタビュー結果を横断的に分析させると、共通するキーワードや傾向、ニーズが浮き彫りになります。ChatGPTはこうした「言語化しにくい気づき」を引き出すのが得意です。要点の整理、洞察の抽出、次の一手の整理まで、ヒアリングを“知見”に昇華するプロセスにおいて、強力なAIアシスタントとして活用できます。

まとめ:AIは「超優秀な補助者」

ChatGPTのエージェントモードは、コンサル業務の情報収集・分析・資料作成を一気に効率化してくれます。

上記の画像を見ると情報源を選択できることがわかりますね。これはRAG(Retrieval-Augmented Generation)としてAIエージェントを使うことも可能ということです。

RAG とは、大規模言語モデル(LLM)の回答精度を向上させるための技術で、生成AIが質問に答える際に、自身の知識だけでなく、外部のデータソースから情報を検索し、その情報に基づいて回答を生成する仕組みです。日本語では「検索拡張生成」や「取得拡張生成」などと訳されます。

Just a moment...

本当に便利になり進化がすごい生成AIの世界。驚きます。

ただし、最終判断や人間らしい提案は、やはり私たちが担うべきところです。

「AIに任せられるところは任せて、人にしかできないことに集中する」——
この考え方で、診断士の仕事の幅が大きく広がると感じています。