金沢の観光スポットで外国人からの人気が高いのは鈴木大拙館です、金沢21世紀美術館の近くにあります

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鈴木大拙館鈴木大拙館は金沢の隠れた人気観光スポットです。
鈴木大拙という人物は、明治3年(1870年)に石川県金沢市に生まれた日本の仏教学者文学博士として紹介されていますが、哲学者であるともいわれています。鈴木大拙は若い頃に渡米しハーバード大学で仏教学を研究、コロンビア大学でも学びました。その後、海外での多数の講義を行い、コロンビア大学の哲学科で客員教授となり教鞭をとっていたこともあります。そのため、欧米から鈴木大拙を偲んでこの鈴木大拙館に来訪する方が多いようです。

鈴木大拙館

2023年11月18日(土)に行きました

鈴木大拙館には2023年11月18日(土)午後に行きました。この日は朝から時雨模様の寒い一日でしたが、館内には多数の来場者がいました。

鈴木大拙館は、石川県金沢市本多町にある鈴木大拙に関する博物館です。

〒920-0964 石川県金沢市本多町3丁目4−20
営業時間:9:30~17:00
電話: 076-221-8011
月曜日が定休です

鈴木大拙館
金沢が生んだ世界的・仏教哲学者である鈴木大拙(D. T. Suzuki)。その書や写真・著作を通し鈴木大拙の考えや足跡を広く伝える文化施設。大拙を「知る」「学ぶ」、そして思索空間で「考える」。建物は国際的な建築家である谷口吉生氏の設計。本多の森を巡る散策路もおすすめ。

鈴木大拙館は金沢21世紀美術館から徒歩5分程度と近く、この周辺は散策コースとしてもとてもよいところです。鈴木大拙館は外国人の来訪者が多いことでも知られています。その理由は、鈴木大拙氏が欧米の大学で哲学の講師をしていたことにもおおいに関係があります。

館内の主要部分は撮影禁止でした

館内には多数の展示物もありますが、ほとんどが撮影禁止でしたのでここでは紹介できません。

鈴木大拙館で有名な場所はこの水面でしょう。

水鏡の庭

「水鏡の庭」といわれています。ここを訪れた方がSNSにアップする率が高いので見覚えがある方も多いのではないでしょうか。

鈴木大拙館の外からも水面が見えました

鈴木大拙館を後にし、小道を歩いていくと右手に鈴木大拙館の「水鏡の庭」の水面を見ることができます。

ここからだと入場料の310円を払わなくても鈴木大拙館の水面を見ることができるので絶好の散策コースですね。

ぎりぎりだとここまで入れます。

鈴木大拙について

金沢で生まれ若いときに渡米

鈴木大拙は、1870年に石川県金沢市で生まれた、日本の著名な仏教学者であり、文学博士です。幼い頃から仏教に深い興味を持ち、17歳で曹洞宗の僧侶となりました。その後、より深い仏教の理解を求めて海外へと旅立ちました。

大拙は、若い頃に一時期ハーバード大学で仏教学を研究しましたが、ここでの正式な学位取得の記録は確認されていません。その後、彼はコロンビア大学での学びを通じて、西洋の学界においてもその才能を発揮しました。ただし、彼の博士号取得については、具体的な年度や専攻分野についての詳細が不明です。

鈴木大拙の思想

鈴木大拙の思想は、心と体のような相反する要素が実は一つの実体の異なる側面に過ぎないという一元論的な見解に基づいています。彼は『金剛経』の研究を通じて「即非の論理」を展開し、これは相反する要素が共存するという新たな思想的枠組みを提案したものです。また、「日本的霊性」という概念を通じて、日本宗教史を独自の視点で捉え、その深い理解を示しました。

「禅とは何か」が有名です

大拙は英語での著作を通じて、西洋世界に禅と日本仏教を広めました。特に彼の作品『禅とは何か』(1906年)は、禅の理解を深める入門書として世界的に広く読まれています。その他の代表作には『日本的霊性』(1936年)、『禅と日本文化』(1938年)、『仏教とキリスト教』(1956年)などがあります。

鈴木大拙の業績は、東洋と西洋の文化的対話の橋渡しを果たし、多くの人々に仏教への関心を喚起させました。彼の独特な視点と深い洞察は、現代でも高く評価されています。

西田幾多郎との関係

石川県にはもうひとり世界的に有名な哲学者がいます。石川県かほく市出身の西田幾多郎です。

西田幾多郎(1870年 – 1945年)は、日本の哲学者であり、京都学派の創始者の一人として知られています。彼の哲学は、西洋の哲学と東洋の思想を融合させた独自のものであり、「絶対無」や「場所」の概念を中心に展開されています。

西田幾多郎は、東京帝国大学(現在の東京大学)で学び、後に同大学の教授となりました。彼の初期の研究は、西洋の哲学、特にウィリアム・ジェームズのプラグマティズムやエドムント・フッサールの現象学に影響を受けていました。しかし、次第に彼は日本の仏教思想、特に禅に深い関心を持ち、それを自身の哲学に取り入れていきました。

鈴木大拙と西田幾多郎

鈴木大拙と西田幾多郎は、日本の思想界において重要な位置を占める哲学者であり、彼らの交流は主に哲学と宗教思想の分野で行われました。彼らの交流は、次のような特徴を持っていました。

相互の思想への影響
鈴木大拙の禅仏教に対する深い理解と西田幾多郎の哲学的探究は、互いに影響を与え合いました。西田の哲学には、禅の影響が見られ、これは部分的には鈴木との交流によるものです。また、鈴木は西田の哲学的方法と思考の深さに影響を受けたとされています。

対話と討論
二人は、宗教と哲学、特に日本の仏教思想と西洋哲学との関係について、多くの対話と討論を行いました。彼らの交流は、日本の仏教と西洋哲学の相互理解を深めることに貢献したと考えられています。

書簡の交換
鈴木と西田は、直接会う機会に限らず、書簡を通じても意見交換を行っていました。これらの書簡は、両者の思想や哲学的見解の発展についての洞察を提供しています。

学問的な共同作業
鈴木大拙と西田幾多郎は、学術的な共同作業やプロジェクトにも関わっていた可能性があります。例えば、彼らは共同で論文や討論会を行い、日本の学問界に新たな視点を提供したとされています。

これらの交流は、日本の思想史において重要な役割を果たし、後の世代の思想家や学者に影響を与え続けています。二人の交流は、東洋と西洋の思想の融合という点で特に意義深いものであり、日本哲学の発展における重要なマイルストーンと考えられています。

石川県西田幾多郎記念哲学館

石川県西田幾多郎記念哲学館は西田幾多郎の生まれ故郷である石川県かほく市にあります。

石川県西田幾多郎記念哲学館

〒929-1126 石川県かほく市内日角井1
営業時間:9:30~16:30
電話: 076-283-6600
月曜日が定休です

以下の写真は2019年10月に訪問したときのものです。

館内には無料で入場できるところが多いです。

カフェもあります。

西田幾多郎と鈴木大拙は、同じ明治3年(1870年)に生まれ、四高で席を並べ、生涯にわたる親交を続け、学問的にも深く結びついていました。それにちなみ、石川県西田幾多郎記念哲学館と鈴木大拙館は、平成23年10月に交流協定を結び、共同事業を展開しています。

鈴木大拙館を見たら西田幾多郎記念哲学館にも行きたくなりました。ちなみに、西田幾多郎記念哲学館は私の地元に近いのでこれまで幾度となく訪れています。

JR七尾線の宇野気駅前には西田幾多郎の銅像が建っています。