インボイス対応より電帳法対応のほうが深刻かもしれません、Amazonの領収書を電子保存しないと違法です

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Amazonの領収書を電子保存電帳法(電子帳簿保存法)の罰則猶予期間が今年いっぱいで終わり、2024年1月から規制が強化されます。電帳法は、会計業務が必須な企業にとって遵守しなければならない重要な法律であり、近年の税制改正やQ&Aの形での国税庁からの情報提供が行われています。
実は、電帳法の歴史は古く、この法律は10年以上前から存在していました。IT化の進展とともに徐々に規制が強くなっていき、2024年からは義務化や強制適用が行われます。

電帳法は2024年から規制強化されます

電帳法で電子取引は電子保存することが義務付けられています

象徴的な例が「Amazonの領収書をプリントアウトして経費を貼るノートで保存していた」という保存方法が違法になるというとです。改正電帳法では、「電子取引は電子保存」が義務付けられており、守らない場合は罰則規定もあります。

Amazonで物品を購入すると請求書や領収書などは紙では発行されないため、WEBからダウンロードしているという方が圧倒的に多いようですが、このような電子取引データは電子保存する必要があります。Amazonだけでなく、他の通販も該当しますし、Googleワークスペースやマイクロソフト365などのサブスク契約している帳票類も電子保存対象です。

かといって、これまで紙でもらっていた請求書や領収書をスキャナーで取り込んで電子保存しなければいけない…という勘違いをしている方も多いようです。
紙で受領している請求書や領収書は紙のままでもOKです。これまでとおりきちんとルールに従って保存していれば問題ありません。

まずは保存すべき帳票類の3区分を明確にしておきましょう。

3区分にわけて対応を決めておきましょう

上記の図はマネーフォワードクラウド会計のWEBサイトから引用しました。

電子取引・電子帳簿保存法なら会計ソフトのマネーフォワード クラウド
2022年1月の改正電帳法の保存要件に満たしたクラウド会計ソフトを利用し、経理業務をペーパーレスに。国税関係帳簿書類の電子取引データの保存はもちろん、スキャナ保存で経費精算業務を効率化できます。

以下の3区分をどういう保存方法にするかという自社のルールも決めておくことが重要です。

  1. 電子帳簿保存
    • 会計ソフトや販売管理システムなどのシステムを使用して自社で作成・発行した書類(例:仕訳帳、元帳、損益計算書など)が対象。
    • 紙での出力や保存は不要で、電子的に常に出力可能な状態であれば良い。
    • ただし、訂正や削除の履歴が残るシステムである必要がある。
  2. スキャナ保存
    • 紙で受け取った書類(例:領収書、請求書、納品書など)を電子データとして保存する方法。
      →当面は紙のままで保存することが許可されているので、必ずしも電子保存する必要はない。
    • 紙の書類を電子で保存した後、紙の書類を捨てることが許可されている。
    • 保存時には、可視性、真実性、取引の詳細(年月日、金額、取引先)などの要件を満たす必要がある。
    • また、タイムスタンプの付与や、訂正・削除の履歴の確認が可能なシステムを使用する必要がある。
  3. 電子取引の保存
    • 電子で受け取った書類(例:電子請求書、電子領収書など)を電子データとして保存する方法。
    • 紙での保存は許可されておらず、電子データとしての保存が義務付けられている。

3区分の特徴

3区分の特徴を表にしてみました。

区分名 説明 特徴
電子帳簿保存 この方法は、会計帳簿や税務帳簿を電子的な形式で保存する方法です。これには、会計ソフトウェアやERPシステムで生成されたデータベースなどが含まれます。 電子的な形式で作成された販売管理や帳簿などの記録を保存するシステム。物理的な形式での保存は必要ない。保存データは元の形式で保存され、適切な方法で閲覧や印刷ができるようになっている。
なお、紙で受け取る領収書や請求書は紙のまま保存するルールで運用しても問題ない。
スキャナ保存 スキャナ保存は、紙の帳簿や書類をスキャンして電子的な形式で保存する方法です。 元々紙の形式で存在していた帳簿や書類を電子的な形式に変換する。スキャン後の原本は破棄することも可能(但し、破棄する場合はスキャンデータの品質や保存方法に注意が必要、タイムスタンプ必須)。保存データは画像形式(例: PDF, JPG)で保存される。
電子取引の保存 電子取引の保存方法は、電子的に行われる取引や通信の記録を保存する方法です。 電子メール、電子商取引のトランザクション、オンラインでの注文など、電子的な方法で行われる取引や通信の記録を保存する。電子取引の記録は、その取引が行われた形式で保存される。取引の正確性や完全性を確保するための特定の技術的要件が必要な場合もある。

電帳法対応をDX化の機会と考えましょう

上記の3区分を自社なりのルールを決めて運用することが重要です。
また、この機会をどう捉えるかによっても企業の対応が変わります。

インボイス制度の対応で企業の総務や会計部門は工数が増えてたいへんなようですが、電帳法対応でも複雑なルールで運用すれば混乱は避けられません。

電帳法対応には、会計業務のシステム化をよりいっそう進めることでIT化DX化を促進し、バックオフィス業務を合理化することも考えましょう。

例えば、銀行振込される記帳業務はシステム化するといいことばかりです。クラウド会計システムと銀行口座のネットバンキングを連携させておけば、自動的にデータが収集されて仕訳もAI判定で記帳されます。ときどき間違った仕訳があったとしてもきちんと修正すれば次回以降は正しくAI判定されることが多いので、会計業務は断然に楽になります。

改正電帳法とインボイス制度の対応にはクラウド会計システムが適しています
クラウド会計システムとは、インターネット上のストレージとシステムを使うことで、いつでもどこでも処理ができる会計システムのことです。利用するPCやタブレットなどの端末にシステムを入れるわけではないので、PCが壊れたときでも別のPCからログインすれば利用できます。銀行振込の入金計算処理を自動で仕訳してくれたり、会計事務所とデータを共有したりできるので便利です。 会計や販売管理のシステムはこれまではPC...

当社は、1年以上前からマネーフォワードクラウド会計を利用していますが、会計については業務改善がぐっと進みました。

他の会計システムでもクラウド対応している場合は同様な機能があるようなので、まずは現状の会計システムを見直してみてはいかがでしょうか。