検索エンジンマーケティング(seo)

これまでのSEOだけでは集客大幅減!「ゼロクリック検索」の増加とWebサイト流入減のリスク

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「ゼロクリック検索」増加とWebサイト流入減最近注目されている「ゼロクリック検索」とは、Googleなどの検索エンジンでユーザーが検索を行った際、検索結果ページ(SERP)だけで必要な情報を得て、ウェブサイトをクリックしない現象を指します。実際のデータによれば、2019年時点で全検索の50%以上がゼロクリック検索であり、2023年にはその割合が約60%以上に達していました。
さらに2025年現在、Googleが導入したAIO(AIによる検索結果の要約表示)の普及により状況が一変しました。AIOが表示される検索結果では、検索結果ページだけで情報が完結してしまうユーザーの割合(ゼロクリック率)が85%から92%に増加しています。特にモバイルデバイスにおいては、この傾向が顕著です。

「ゼロクリック検索」増加とWebサイト流入減

なぜゼロクリック検索が増加しているのか?(背景と要因)

「ゼロクリック検索」増加とWebサイト流入減

ゼロクリック検索が増加する主な理由は、Googleの検索結果ページの進化にあります。強調スニペット(Featured Snippets)、ナレッジパネル(Knowledge Panel)、よくある質問(People Also Ask)などが充実したことで、ユーザーはウェブサイトにアクセスしなくても瞬時に求める情報を得られるようになりました。さらにAIO(AIオーバービュー)の導入により、Google自体が直接的な回答者となり、SERPでの情報提供の役割がさらに強化されました。

また、現代のユーザーは情報アクセスの速度と効率性を強く求めています。そのため、SERPだけで完結する情報取得が好まれ、ウェブサイトへの訪問が避けられる傾向が強まっています。

従来のSEOとの根本的な違いと、マーケティング戦略見直しの必要性

従来のSEO戦略は検索順位を上げ、クリックを促しサイトへ誘導することが目的でした。しかし、ゼロクリック検索時代においては、SERP上で情報を提供し、ユーザーの検索意図を直接充足することが重要になっています。これにより、SEOの成功指標は単純なクリック数や流入数ではなく、「ユーザーの課題解決度」や「ブランド認知度」にシフトしています。

SEO担当者やデジタルマーケターは、この戦略的転換を認識し、ウェブサイトへの送客を主目的とするのではなく、SERPでの完結型の情報提供をも成功とみなす柔軟な視点が必要となります。

また、SEOだけに依存しない多角的な集客戦略が重要です。Googleのアルゴリズムはユーザーの利便性向上を目的としており、SEOに過度に依存するとリスクが高まります。SNS、Instagram、YouTubeなどの多様なメディアを活用し、自社の認知度を向上させることでゼロクリック検索を回避し、継続的な流入を確保することが重要です。さらに、オフラインや他チャネルでのブランド認知度や信頼性の構築もSEO評価に間接的に影響を与えます。

中小企業にとっての脅威と機会

中小企業にとって、この変化は脅威と機会の両面を持っています。脅威は、Googleが自社コンテンツを利用して情報を提供することで、自社サイトへの直接流入が減少するリスクです。

一方、機会としては、Googleから信頼できる情報源として引用されることで、ブランド認知と権威性を獲得できる可能性があります。特に専門的で独自性の高いニッチな分野においては、大企業と同等の存在感を示すことが可能です。

重要なAIO対策は?

「やはりコンテンツ重視」:本質的な価値提供の追求

検索結果画面(SERP)には、強調スニペットやナレッジパネルといった情報が表示されることが増えています。これらの情報は、最終的には各ウェブサイトが提供しているコンテンツに基づいています。

また、検索結果画面だけで完結してしまう「ゼロクリック検索」が増えている現状では、実際にウェブサイトにアクセスするユーザーは、より深い情報や具体的な解決策を求めている「意識の高いユーザー」であると考えられます。

そのため、こうしたユーザーの課題を正確に理解し、的確に応えるコンテンツの充実と更新が、SEO対策の根幹となります。単なる情報の羅列ではなく、検索者の次の疑問やニーズを予測し、付加価値のある情報を提供することが求められています。

効果的なコンテンツとは

次のような要素を含むコンテンツは、特に高い効果が期待できます:

・自社で実施した独自調査のデータとその分析
・業界の専門家による深い見解
・実際の体験に基づいたケーススタディ
・複数の信頼できる情報源を統合した包括的な解説
・最新トレンドや将来予測の紹介
・図解やインフォグラフィックなど、視覚的に理解しやすいコンテンツ

これらは、他のウェブサイトにはない「独自性」や「深掘り」を提供し、検索者にとって真に価値ある情報となります。

高付加価値コンテンツへの転換

表面的な情報だけでは、ゼロクリック検索で完結してしまい、ウェブサイトへの流入にはつながりません。実際にクリックして訪問してくれるユーザーに向けて、SERP上では得られない専門性の高い情報や独自の視点を提供することが重要です。

このような高付加価値のコンテンツを継続的に発信することで、単なる情報提供者から、特定分野における「権威ある情報源」としての信頼を築くことができます。

AIO時代の最重要指標「E-E-A-T」の深掘り

ゼロクリック検索への適応において最も重要なSEO指標が「E-E-A-T」です。

Googleの検索品質ガイドライン「YMYL」の「E-A-T」に「経験」(Experience)が追加され「E-E-A-T」となりました
SEOを進める上で重要なGoogleの検索品質ガイドラインの中に「YMYL」という概念があります。YMYLとは「Your Money or Your Life」の略で、お金や健康などのジャンルを示す言葉で「ワイエムワイエル」と読みます。お金や健康などに関するYMYL情報は人の生活や人生に大きく影響するため、Googleはコンテンツの評価基準を厳格にしており、SEOを考える上でも重要な概念になってい...

これはExperience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取った指標であり、Googleがコンテンツを評価する際に特に重視する要素です。

特にExperience(経験)が重要です。生成AIの普及により、多くのサイトが似通った一般的な情報を提供する中で、自社独自の実体験、顧客からの直接の声、具体的な開発ストーリーなど、AIが模倣できないオリジナリティある情報が大きな差別化要因となります。

中小企業のためのAIO実践ロードマップ:いますぐできること

ステップ1:FAQコンテンツの戦略的作成と構造化データの実装

AIOはFAQ形式と極めて相性が良いため、顧客が抱くであろう質問を洗い出し、「1つの質問に対して、1つの明確な回答」を提供する戦略的なFAQページを作成します。また、それをAIに理解させるために、「FAQPageスキーマ」を活用しましょう。

ステップ2:著者情報・監修者プロフィールの明記による信頼性の可視化

コンテンツの信頼性を高めるためには、「誰が情報を提供しているのか」を明確にする必要があります。各記事の末尾やサイドバーに著者や監修者のプロフィール、実績、資格などを明記し、専門性と信頼性を可視化しましょう。

ステップ3:サイトの技術的健全性の再点検

優れたコンテンツがあっても、技術的問題があればAIからの評価が低下します。特に「表示速度」と「モバイル対応」は重要であり、GoogleのPageSpeed Insightsなどを用いてサイトの定期的な診断・改善を行うことが必要です。

まとめ

ゼロクリック検索の普及とAIOの登場により、従来のSEO戦略は根本的な見直しを迫られています。この変化を脅威として捉えるだけではなく、自社の専門性や独自性を活かした情報提供により機会として捉えることが重要です。
E-E-A-Tを意識した戦略的なコンテンツ作りと技術的健全性の維持により、ゼロクリック時代でもユーザーとの価値ある接点を創出することが可能になります。

ゼロクリック検索に関して言及していて、WEB担当者にとって役に立ちそうな参考記事を以下に紹介します。

AI検索で外注SEO終了 ゼロクリック検索時代のSEOの勝ち筋
生成AIがユーザーの質問に直接答えるゼロクリック検索が主流となった現在、コンテンツ制作を中心としたSEOの費用対効果は悪化の一途です。これからのSEOでは、AIから「名指しで推薦される」本物のブランドを築く必要があります。これは外注に任せられるものではありません。社長自らが取り組むことで、勝ちが見えてきます。
「トラフィックが消える未来」はすぐそこに。ゼロクリック検索の流れに立ち向かうには?
ゼロクリック検索の普及によるウェブサイトのトラフィック減少という現象はもはや「新常識」です。私たちはこの変化にどう対応すべきなのでしょうか?知っておくべきことと、今すぐ実践できる 6 つの対策を具体的な例と共に解説していきます。
1日65億回!世界の検索、その9割は「知りたい(Know)」というのは本当ですか?AIでファクトチェックをしました
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AIOは、AIの進化とともに急激に変化していくはずですので最新情報をウォッチングしておきましょう。