Web担当者の皆さん、朝一番にGoogleサーチコンソール(GSC)からのメールを開いてドキッとしたことはありませんか?
「新たな問題が検出されました」という件名。管理画面を開けば、見慣れない「構造化データ」のエラーや警告がずらり。
・何か直さないといけないのは分かるけれど、何をどうすればいいのか分からない
・制作会社に頼むと費用がかかるし、自分で触ってサイトが壊れるのも怖い
そんなときに役に立つのが、生成AI(ChatGPTやGeminiなど)です。
ただし、AIの価値は「コードを書かせること」だけではありません。今回のレシピサイト事例をもとに、リスクを増やさずに判断する手順を紹介します。
状況を正しく把握する:AIは優秀な通訳
レシピサイトの構造化データ問題
今回の事例は、WordPressで構築されたレシピサイトで発生しました。サーチコンソールに表示されたのは、レシピの構造化データに関する警告です。
-
警告内容:項目「url」がありません(「recipeInstructions」に含まれる)
これだけを見ても、何のことか分かりづらいですよね。
そこで最初にやるべきことは、生成AIに「意味の翻訳」をさせることです。
質問例はこれだけで十分です。
「この警告はどういう意味ですか?初心者にも分かるように説明して」
AIがやってくれるのは、専門用語をほどいて状況を整理することです。今回の場合、ポイントは次のように理解できます。
-
recipeInstructions(作り方の手順)は、書き方が複数あります
-
手順をHowToStepのような形で細かく書く場合、各手順にURL(例えばページ内リンク)を付けられるなら付けるとよい
-
ただし、URLは必須ではなく、推奨に近い扱いのことが多い
つまり、警告は「直さないと即アウト」ではなく、「できれば整えると親切」という種類である可能性があります。Google for Developers
完璧を目指すべきか:合格点でよいのか
AIに「直し方」を聞くと、すぐに修正用のコード案が出てきます。今回も、functions.php を書き換えて、手順ごとのURLを自動生成する案が提示されました。
ただし、ここで必要なのは人間の判断です。
-
完璧対応(やや重い)
プログラムを改造して、推奨項目まで満たす。
ただし、PHPの記述ミスなどでサイトに不具合が出るリスクがある。 -
合格点対応(軽い)
レシピ手順の出力を、よりシンプルな形式にするなど、改造を最小にする。
影響範囲を読みやすく、戻しやすい。
サイト運用で怖いのは、警告よりも「修正ミスでサイトを止めること」です。
完璧にする価値と、事故るリスクを天秤にかけるのが、Web担当者の仕事だと思います。
生成AIとの対話で見つけた「シンプルな解決策」
そこで再びAIに相談します。ポイントは、選択肢を増やす聞き方です。
「もっと簡単に、リスクを増やさずに対応する方法はありますか? たとえば、手順の出力形式をシンプルにするのはアリですか?」
ここで重要なのは、Googleのルール上、recipeInstructions は必ずしもURL付きの詳細形式である必要はないことです。手順はテキストとして書くこともできます。Google for Developers
次に、いちばん気になる点も確認します。
「シンプル形式にすると、順位や流入は落ちますか?」
ここは断定しないのが安全です。整理するとこうなります。
-
構造化データは、主にリッチリザルト表示を助ける情報ですGoogle for Developers+1
-
順位そのものが必ず上下する、とまでは言い切れません
-
ただし、検索結果の見え方(写真、調理時間など)が変わるとCTRが動き、結果として流入が増減する可能性はあります
つまり、「多くのケースで大きな悪影響は出にくいが、変更前後で数字を見て判断する」が現実的な落とし所です。
結論:改造しないという判断も、立派な最適解
今回の事例では、functions.php の改造は見送りました。
代わりに、データを出力する形式を「よりシンプルにする」設定変更だけで対応しました。
結果として、次のような着地になりました。
-
サーチコンソールの警告が解消した(または、警告が出ない形式に整えた)
-
重要ファイルを触るリスクを回避できた
-
主要なリッチ表示が維持されるかは、テストとGSC指標で確認しながら運用できるsearch.google.com+1
Web担当者として、コストと安全性のバランスが良い判断だったと思います。
変更前後の確認チェックリスト(5分版)
シンプル対応をするなら、ここだけ押さえると安心です。Google for Developers+2search.google.com+2
-
変更前の確認
-
リッチリザルトテストで、対象URLをテストして現状をメモする(対象のリッチ結果が出ているか、警告の内容は何か)
-
変更後の確認
-
同じURLで、再度リッチリザルトテストを行い差分を見る
-
数字の確認(1〜2週間で様子見)
-
GSCのパフォーマンスで、該当ページの表示回数、クリック数、CTRを前後比較する
(可能なら、検索での見え方に関するフィルタも併用)
まとめ:AI活用はコードを書くことだけじゃない
生成AIというと、コード生成や文章生成に注目しがちです。
でもWeb運用での真の価値は、判断材料の整理にあります。
-
警告の意味を、分かる言葉に直してもらう
-
対応案を複数出して、リスクとメリットを並べる
-
合格点で済ませられるかを検討し、必要なら検証手順まで作る
この使い方なら、「あわやサイトを壊すところだった…」をかなり防げます。
サーチコンソールの警告に怯える日々はもう終わりです。
まずはAIに「これ、何の意味?」と聞くところから始めてみませんか?
おまけ:そのまま使えるAI質問テンプレ
以下のGSCメッセージについて質問です。
1) これは必須(error)ですか、推奨(warning)ですか
2) Googleの公式ドキュメントのどこに根拠がありますか(該当箇所の要約でOK)
3) 低リスク対応(設定変更のみ)と高リスク対応(コード改修)の2案で、メリット・デメリットを整理してください
4) 変更前後の確認手順(リッチリザルトテスト、GSC指標)をチェックリスト化してください
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
お問い合わせは電話ではなくお問い合わせフォームからメールにておねがいします。新規の電話番号からの電話は受信しないことにしていますのでご了承ください。

【反応していただけると喜びます(笑)】
記事内容が役にたったとか共感したとかで、なにか反応をしたいという場合はTwitterやフェイスブックなどのSNSで反応いただけるとうれしいです。
遠田幹雄が利用しているSNSは以下のとおりです。
facebook https://www.facebook.com/tohdamikio
ツイッター https://twitter.com/tohdamikio
LINE https://lin.ee/igN7saM
チャットワーク https://www.chatwork.com/tohda
また、投げ銭システムも用意しましたのでお気持ちがあればクレジット決済などでもお支払いいただけます。
※投げ銭はスクエアの「寄付」というシステムに変更しています(2025年1月6日)
※投げ銭は100円からOKです。シャレですので笑ってご支援いただけるとうれしいです(笑)

