就業規則は社会保険労務士に相談して作成するのが一般的ですがChatGPTでも企業の実態に合わせてカスタマイズ作成することは可能です

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就業規則就業規則は社会保険労務士に相談して作成するのが一般的ですね。最近では、生成AIを活用することで就業規則を作成したり、修正したりする例も増えているようです。
そこで、実際にChatGPTを使って、ある製造業が自社の実態に合わせて就業規則の見直しをするというようなイメージでの活用例を紹介します。

就業規則について

就業規則とは

就業規則は、企業における従業員の労働条件や勤務規律、権利と義務などを定めた文書です。労働基準法に基づいて作成され、従業員が安心して働ける環境を整えるために重要な役割を果たします。

常時10人以上の労働者を使用する事業所は、労働基準法に基づいて就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る必要があります。就業規則は、労働条件の明確化や労使関係の円滑化を図るために重要な役割を果たします。従業員に対しても周知徹底を図り、適正な労働環境を維持することが求められます。

適切な就業規則を整備し、従業員に周知することで、健全な労働環境を構築しましょう。

就業規則を自社の状況にあわせて作成する

就業規則については、テンプレート的なものはWEBで検索するとあちこちに多数掲載されています。厚労省にも就業規則のモデル例が掲載されています。

モデル就業規則について
モデル就業規則についてについて紹介しています。

社労士事務所や労務関連サービスを提供する企業でも就業規則の事例が紹介されています。

よく似た内容が多いのですが、業界や働き方の違いなどで微妙に表現が違っていたりします。自社に適した就業規則を作り上げ、労使ともに合意したうえで運用するのが望ましいですが、なにをどう変えればいいのかが、悩みどころですね。

生成AIで就業規則を作成できます

ChatGPTで就業規則を作成してみました

就業規則は法律的な側面が規定されていることから、事前学習済みのLLMで作成するということは相性がよいです。

ChatGPTで就業規則を作成してみました。汎用的な就業規則を作るのではなく、できるだけ自社に適合する案を作りたいので、最初の「問い」には自社の状況を含めて就業規則の案を作成するように依頼しました。

どもども遠田
どもども遠田

プラスチック製造業で従業員規模が100人程度の中小企業が就業規則を見直すつもりです。
まずは雛形としてつかえそうな就業規則の案を作ってください。

AIの回答
AIの回答

以下に、プラスチック製造業で従業員規模が100人程度の中小企業向けの就業規則の雛形を作成しました。この雛形は一般的な内容であり、具体的な企業の状況や法律の変更に応じて調整する必要があります。


就業規則

 

第1章 総則

 

第1条(目的)

この規則は、従業員の勤務条件および服務規律に関する基本的事項を定めることにより、従業員が職務を遂行する上での指針を示し、企業の秩序と効率を維持することを目的とします。

第2条(適用範囲)

この規則は、全ての従業員に適用します。ただし、特別の規定がある場合はその規定を優先します。

 

第2章 勤務時間・休憩・休日

 

第3条(勤務時間)

  1. 所定労働時間は、1日8時間、1週間40時間とします。
  2. 始業時間および終業時間は、午前9時から午後6時までとし、休憩時間は午後12時から午後1時までの1時間とします。

第4条(休日)

  1. 週休2日制とし、土曜日および日曜日を休日とします。
  2. 国民の祝日および年末年始(12月29日から1月3日まで)を休日とします。

第5条(休暇)

  1. 年次有給休暇は、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対し、10日間付与します。
  2. 慶弔休暇、産前産後休暇、育児休業などの特別休暇を設けます。

第3章 賃金

 

第6条(賃金の決定)

賃金は、職務の内容、能力、経験に基づき、公正に決定します。

第7条(賃金の支払い)

賃金は、毎月末日に支払い、当該月の賃金は翌月の15日に支払います。

 

第4章 福利厚生

 

第8条(社会保険)

全ての従業員は、法律に基づき社会保険に加入します。

第9条(福利厚生施設)

従業員の福利厚生を充実させるため、休憩室、食堂などの施設を設置します。

 

第5章 安全衛生

 

第10条(安全衛生の確保)

企業は、安全衛生に関する法律を遵守し、従業員の安全を確保します。

第11条(衛生管理者)

衛生管理者を任命し、職場の衛生管理に努めます。

 

第6章 服務規律

 

第12条(服務規律)

従業員は、職務を誠実に遂行し、企業の秩序を守ります。

 

第13条(禁止事項)

従業員は、以下の行為を行ってはなりません。

  1. 無断欠勤
  2. 企業の機密情報の漏洩
  3. 職場での暴力行為

第7章 退職

 

第14条(退職の手続き)

退職を希望する従業員は、退職希望日の1か月前までに書面で届け出なければなりません。

 

第15条(退職金)

退職金は、在職年数に応じて支給します。


この雛形を基に、御社の具体的な状況に応じて内容をカスタマイズすることをお勧めします。また、法的なチェックを行うために専門家の意見を仰ぐことも重要です。

あっという間に、就業規則のたたき台ができました。
ここからさらに自社に適合するようにカスタマイズしていきます。

3交代勤務の就業規則にカスタマイズ

どもども遠田
どもども遠田

この企業は夜勤があり、3交代で製造現場を回しています。そのことに配慮するとしたら、どの部分をどのように修正するのがいいかを、その理由とともに指摘して修正案をだしてください。

AIの回答
AIの回答

夜勤があり、3交代制で運営される企業の就業規則を見直すためには、勤務時間、休憩、休日の部分を特に修正する必要があります。以下に修正案とその理由を示します。


第3章 勤務時間・休憩・休日

第3条(勤務時間)

  1. 所定労働時間は、1日8時間、1週間40時間とします。
  2. 勤務シフトは以下の通りとします。
    • 第一シフト: 午前7時から午後3時まで
    • 第二シフト: 午後3時から午後11時まで
    • 第三シフト: 午後11時から午前7時まで
  3. 休憩時間は、各シフトにおいて1時間とします。

第4条(休日)

  1. 週休2日制とし、各シフトにおいて交替で休日を設定します。具体的な休日はシフト表によって決定します。
  2. 国民の祝日および年末年始(12月29日から1月3日まで)は休日としますが、製造の必要性に応じてシフトを調整することがあります。

第5条(休暇)

  1. 年次有給休暇は、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対し、10日間付与します。
  2. 慶弔休暇、産前産後休暇、育児休業などの特別休暇を設けます。
  3. 夜勤従業員には、特別休暇として年に3日間の夜勤明け休暇を設けます。

修正の理由

  1. 勤務シフトの明確化: 夜勤を含む3交代制の勤務時間を具体的に示すことで、従業員が自分のシフトを理解しやすくし、規則の明確化を図ります。
  2. 休憩時間の統一: どのシフトでも休憩時間が1時間であることを明確にすることで、労働時間の公正さを保ちます。
  3. 休日の設定: シフトに応じた休日の設定を行うことで、従業員が規則的に休息を取れるようにし、労働の負担を軽減します。
  4. 夜勤従業員の特別休暇: 夜勤による体調の変化やストレスを考慮し、夜勤従業員に特別休暇を設けることで、従業員の健康管理に配慮します。

このように修正することで、夜勤を含む3交代制の勤務体系に適応した就業規則となり、従業員の働きやすさと企業の運営効率の両方を向上させることが期待できます。

勤務時間やシフトについてかなり具体的な案になりました。
このあとさらに、将来に週休3日制を検討していることを踏まえて、改定案をChatGPTに考えてもらうことにします。

週休3日制の就業規則のアイデアをまとめる

どもども遠田
どもども遠田

この企業は3交代で夜勤があることから求人に苦労しています。そこで採用を強化するために週休3日制を検討しています。この制度変更に関して、メリットやデメリットがどのようなものがあるかについて事前に抽出してください。
そのうえで、週休3日制を推進するための対策を、社会保険労務士の立場で提案してください。

AIの回答
AIの回答

週休3日制を導入するにあたってのメリットとデメリットを以下に整理し、その上で採用を強化するための対策を提案いたします。

メリット

  1. 従業員の満足度向上:
    • 週休3日制により、ワークライフバランスが改善され、従業員の満足度やモチベーションが向上します。
    • 家庭生活や趣味、自己研鑽の時間が増えることで、精神的な余裕が生まれます。
  2. 採用力の強化:
    • 週休3日制は競争力のある労働条件となり、求人募集において他社との差別化を図ることができます。
    • 特に若年層や家庭を持つ求職者にとって魅力的な働き方となります。
  3. 生産性の向上:
    • リフレッシュした従業員は、集中力が高まり、生産性の向上が期待できます。
    • 働く時間が限られることで、効率的に仕事を進める意識が高まります。

デメリット

  1. 人件費の増加:
    • 週休3日制により、1週間の労働時間が短くなるため、人手不足を補うために追加の従業員を雇用する必要が生じる可能性があります。
    • このため、結果として人件費が増加するリスクがあります。
  2. 業務の調整:
    • シフトや業務の調整が複雑化し、管理負担が増加します。
    • 特に夜勤を含むシフト制では、休日日数が増えることで、業務の進行に支障が出る可能性があります。
  3. 導入コスト:
    • 週休3日制に移行する際の準備や調整にはコストがかかります。従業員の教育や新たなシフト管理システムの導入が必要です。

対策提案

社会保険労務士の立場から、週休3日制を効果的に推進するための具体的な対策を提案いたします。

  1. 労働時間の再編成:
    • 週休3日制導入に際して、1日の労働時間を増やす(例:1日10時間労働)ことで、週の総労働時間を維持する方法を検討します。
    • ただし、長時間労働による疲労やストレスを考慮し、適切な休憩時間や健康管理措置を講じる必要があります。
  2. 柔軟なシフト管理:
    • 労働時間や休暇を柔軟に設定できるシフト管理システムを導入し、従業員のニーズに応じたシフトを作成します。
    • 労働時間の分割(例:午前・午後のシフト)やフレックスタイム制度の導入を検討します。
  3. 従業員の意識改革と教育:
    • 週休3日制のメリットを従業員に理解させ、積極的な参加を促すための説明会や教育プログラムを実施します。
    • 効率的な働き方や生産性向上のための研修を行い、業務の質を高めます。
  4. 採用活動の強化:
    • 週休3日制の導入をアピールポイントとし、求人広告や企業説明会で積極的にPRします。
    • 求職者に対するインセンティブとして、週休3日制のメリットを具体的に伝え、応募者の増加を図ります。
  5. 労働環境の整備:
    • 従業員の健康管理やストレス対策を強化し、働きやすい環境を整備します。
    • 健康診断の充実やメンタルヘルスケアの導入を検討します。

これらの対策を通じて、週休3日制を導入することで、従業員の満足度を向上させ、採用力を強化し、持続可能な成長を目指すことが可能です。

厚生労働書のモデル就業規則と比較検討する

先に紹介した厚生労働省のWEBサイトにはモデル就業規則のPDFが紹介されています。そのPDFをダウンロードして、ChatGPTに読み込ませたうえで、過不足がないかを比較検討してもらいます。

どもども遠田
どもども遠田

最終的に作成した週休3日制の就業規則ですが、厚生労働省が提案しているモデル就業規則
https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf
と比較したうえで、過不足がないかどうかをチェックしたうえで、最終形を表示してください。

AIの回答
AIの回答

厚生労働省のモデル就業規則との比較

  • 労働時間: モデル就業規則では、週40時間、1日8時間の労働時間が基準となっていますが、週休3日制に対応するために、週32時間とする修正が必要です。
  • 休日: モデル就業規則では、週休2日が基準ですが、週休3日制に合わせて月曜日を追加の休日としました。

最終形の週休3日制対応就業規則

 

### 労働時間及び休憩時間
1. 1週間の所定労働時間は、月曜日から金曜日までの間において、1週間当たり32時間とする。
2. 1日の所定労働時間は、8時間とする。
3. 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合、前日までに労働者に通知する。

– 一般勤務
– 始業時刻: 午前9時
– 終業時刻: 午後6時
– 休憩時間: 午後12時から午後1時まで

### 休日
1. 休日は、次のとおりとする。
– 土曜日
– 日曜日
– 月曜日
– 国民の祝日(祝日が平日と重なる場合、その祝日を休日とする)
– 年末年始(12月29日から1月3日まで)
– 夏季休日(8月13日から8月15日まで)
– その他会社が指定する日

### 時間外及び休日労働
1. 業務の都合により所定労働時間を超えて労働させることがある。この場合、時間外労働に対して法定の割増賃金を支払う。
2. 休日に労働させる場合には、休日労働に対して法定の割増賃金を支払う。

こんな感じで、何度でも対話形式で就業規則の案をブラッシュアップしていくことができます。

就業規則の最終チェックは社会保険労務士と相談

ある程度の完成レベルになったら、そのまま労働基準監督署に提出するのではなく、社会保険労務士さんに相談してみましょう。

すべてをAIに委ねるのではなく、最後は専門家が持っている知見を生かして内容を精査することは大事です。

ということで、完璧ではないにしても80点レベルの就業規則を作成することに関しては、ChatGPTでもそれなりの水準のものができることがわかりました。

またすでにある就業規則をChatGPTに読み込ませて、評価分析してもらい改善点を提案してもらうという使い方も便利です。

士業にとって生成AIの活用は必須になりました。

コンサルティング現場には生成AIが必須級になっています、これから士業がChatGPTなどの生成AIをどのように使うかについて考察しました
時代の変化は早いです。すでに士業の生成AI活用は必須級になっていますね。少なくとも私はそう考えています。私の回りでは生成AI活用について当然のように進んでいますし、活用の研究も広がっています。 しかし、まだ生成AIについて触ろうともしない士業の方も存在することも確かです。このように生成AIの浸透具合は非常に大きなギャップがあります。 そんななかで、これから生成AI活用に着手しようと言う士業も増えて...

生成AIに使われるのではなく、生成AIを使いこなしていくという視点が大事ですね。

参考になれば幸いです。