既存の就業規則をチェックしたり、新しい就業規則を校正し修正箇所の提案やアドバイスをしたりしてくれるような「社労士専用AI」を作成してみました。新規の就業規則のモデル案を作ることも可能です。名称は「就業規則AI」としてあります。
利用した生成AIはGoogleのNotebookLMですので、誰でも無料で同様のことを実施できます。このように専用AIを作成し利用するという手順を解説しました。興味ある方はぜひご覧になってみてください。
就業規則をチェックする社労士AI
GoogleのNotebookLMで作成しました
GoogleのNotebookLMは優秀な生成AIを無料で使えるし、専用の学習機能がすばらしいので専用のAIを作るのには現在、最高です。
この生成AIを利用して社労士が使えそうな就業規則専用のAIを作成してみました。
就業規則をチェックするAI
ChatGPTを使って就業規則を作ったり修正したりすることも可能です。過去にもそのような利用例を紹介したことがあります。
ChatGPTでもある程度の就業規則の作成や修正は可能ですが、心配なのはハルシネーションです。ハルシネーションとは「AIが嘘をつく」というような言われ方をされることで、不正確なことをもっともらしく回答することです。
就業規則に関することは法律を遵守する必要があります。そのため、ハルシネーションが少なく厳格な対応をしてくれる生成AIが必要です。
今回試したNotebookLMではハルシネーションが少なく、かなり厳格で正しい対応をしてくれました。
まず、就業規則のテンプレートを探す
厚生労働省のホームページには就業規則のテンプレートがあります。このPDFをはモデルとなる就業規則が書かれており、詳細な注釈があるため、もっとも正解に近い就業規則と言えるでしょう。
他にも、使えそうな就業規則のモデルがあればその資料も追加学習用に使うことができます。
NotebookLMで専用AIを作成
NotebookLMを使って専用AIを作成すること自体は簡単です。AIが回答するために必要だと思われる「知識」となる元のPDFやテキストファイルを事前にアップロードしておくだけです。
今回は上記のPDFなどに加え、厚生労働省の就業規則に関するURLも貼っておきました。
さっそく就業規則AIを使ってみます
さっそく質問をしてみましょう。
「従業員10名以下で印刷関連の製造業に関わる金沢市の中小企業ですが、新規採用を強化するために就業規則を新規作成したいです。モデルとなる就業規則を提案してください」
という質問をすると回答してくれます。回答内容は上記の画像のとおりです。
質問と回答は繰り返して深堀りしていくことができます。これが対話型の生成AIのよいところですね。
また、すでに就業規則がある場合は、その就業規則の内容をテキストとして質問欄にコピペで貼り付けて、その内容を評価分析してもらうことができます。
上記の回答は、その就業規則に関する回答です。
「ご提出いただいた就業規則の内容を確認し、法令やモデル就業規則に基づいて、いくつか確認と補足説明をさせていただきます」
という説明のあと、具体的な項目についての補足説明がされています。全部で9箇所の指摘がありました。
追加質問は基本的に何度でも可能です。納得行くまで対話することができます。
ここでは、
「振替休日の規定はどのようにするのが当社にとって適していますか?」
という追加質問をしています。
するとより具体的な回答を得ることができます。
さらに「当社は年末が繁忙期なので変形労働時間制をとっていますが、12月の土曜日をほとんど出社してもらいたいのでこの振替休日を使い、暇になる1月以降に休みをとってもらいたいのでが、そのことは可能でしょうか?」という質問をしました。
するとその質問に関する適切な回答をしてくれます。
「12月の休日を1月の平日に振り替えることことについて」ということでさらなる回答をしてもらえます。
このように何度でも何度でも質問と回答を繰り返すことで納得がいくまでやりとりができます。
興味深いのは回答の都度に「より確実な制度設計と運用のため、社会保険労務士などの専門家にご相談されることを強くおすすめします」というようなアドバイスがされることです。
たしかにそのとおりで、このような生成AIとのやりとりだけで完成させることも可能ですがやはり一度は専門家の目をとおしてアドバイスをもらうことは必須でしょう。
「就業規則AI」は共有した方も使えます
ここで作成した「就業規則AI」は公開してあります。
どなたでも自由に無料で使えますので、試してみてください。notebookLMは仕様上、誰でも使えるようにはできません。Gmailアカウントを共有した方だけが利用できます。
もしも、試しに使って見たいという方は当方まで連絡ください。
作成したnotebookLMは共有した方が利用できる仕様になっています。現在、共有できるのは「Gmailアカウントで上限50人」となっています。上限があるため、どなたでもというわけには行きませんが、できるだけ試用してみたいという方には共有をするつもりです。上記のフォームから「Gmailアカウントとともに」連絡してください。
詳細な作成ステップを紹介します
GoogleのNotebookLMを使って、厚生労働省の就業規則PDFを活用したAIとしてカスタマイズする手順について、以下のステップで解説します。
※なおこの作成ステップはChatGPT4oで作成しました。
前提
- Google NotebookLMは、テキストやドキュメントから情報を学習し、ユーザーの質問に対して適切に答えるためのAIです。
- 厚生労働省の提供する就業規則のPDFをAIが理解し、就業規則に関する質問に答えられるようにカスタマイズすることが目標です。
手順
1. NotebookLMのセットアップ
まず、Google NotebookLMのアカウントが必要です。Googleが提供するNotebookLMは、Googleアカウントでアクセスできます。
- NotebookLMのページにアクセスし、Googleアカウントでサインインします。
- NotebookLMのダッシュボードが表示されるので、新規ノートを作成します。ここで、就業規則に関連するノートブックを作成します。
2. 厚生労働省の就業規則PDFのアップロード
次に、就業規則のPDFをNotebookLMにアップロードします。PDFの内容をAIに認識させるための手順は以下の通りです。
- 作成したノートに移動し、「ファイルをアップロード」ボタンをクリックして、厚生労働省の就業規則PDFを選択します。
- アップロードされたPDFは、NotebookLM内でテキストとして認識され、内容に基づくAI応答が可能になります。
3. PDF内容の解析と知識化
NotebookLMでは、アップロードされたPDFの内容を元にAIが解析を行い、就業規則の内容を質問や応答の知識ベースとして活用できるようにします。
- アップロードしたPDFをNotebookLMが自動で読み込むので、その内容を整理するために「セクション」ごとにタグ付けやノートを作成します。例えば、「労働時間」「給与」「解雇の手続き」などのセクションごとに分けます。
- NotebookLM内で「関連文書」や「特定のルール」など、就業規則に関する情報を容易に検索できるように設定します。
4. カスタマイズされたAI応答の設定
NotebookLMには、ユーザーの質問に答えるための機能が備わっています。このAIを就業規則の質問に特化させるために、次のようなカスタマイズを行います。
- トレーニングとタグの付与: アップロードした就業規則のPDFから特定の質問に答えるため、AIにタグやキーワードを付与します。例えば、「残業」「有給休暇」「解雇」といった具体的なキーワードを設定しておくと、ユーザーの質問に適切に答えられるようになります。
- テンプレートの作成: よくある質問(FAQ)の形式で、AIが素早く答えられるテンプレートをいくつか設定します。たとえば「有給休暇の取得方法」や「退職時の手続き」などに対して、定型的な回答が出るように設定します。
5. テストと改善
AIが正確に質問に答えられるかをテストする段階です。
- 就業規則に関連する質問(例:「従業員の労働時間に関するルールは何ですか?」)をいくつか行い、AIの応答の精度を確認します。
- もし回答が不十分であれば、PDFの内容を再度確認し、セクションやキーワードを追加したり、AIのトレーニングを改善します。
6. 継続的なアップデート
就業規則や法規の内容は時折変更されるため、NotebookLMにアップロードしたPDFを定期的に更新することが必要です。また、新しい規則や質問に対応できるように、ノートブック内の情報も随時更新していきます。
この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
お問い合わせは電話ではなくお問い合わせフォームからメールにておねがいします。新規の電話番号からの電話は受信しないことにしていますのでご了承ください。
【反応していただけると喜びます(笑)】
記事内容が役にたったとか共感したとかで、なにか反応をしたいという場合はTwitterやフェイスブックなどのSNSで反応いただけるとうれしいです。
遠田幹雄が利用しているSNSは以下のとおりです。
facebook https://www.facebook.com/tohdamikio
ツイッター https://twitter.com/tohdamikio
LINE https://lin.ee/igN7saM
チャットワーク https://www.chatwork.com/tohda
また、投げ銭システムも用意しましたのでお気持ちがあればクレジット決済などでもお支払いいただけます。
※投げ銭はデジタルコンテンツ購入という通販のしくみにしました。
※投げ銭は100円からOKです。シャレですので笑ってください(笑)