今回は、社内の業務効率化のために自作した「Googleアナリティクス解析Webアプリ」についてご紹介します。「アプリ開発」というと、専門的なプログラミング知識が必要なイメージがあるかもしれません。実際、私はエンジニアではありませんし、コードも自分では書けません。
しかし、生成AI(Gemini)を活用することで、なんと自分専用の解析ツールを完成させることができました。これによって日々のアクセス解析業務が劇的に便利になったので、その仕組みと実際の分析結果を共有します。
Gemini×GASで自社専用アプリを作れます
エンジニアじゃなくても、アプリは作れる
今回の開発環境は、Googleユーザーなら誰でも使える Google Apps Script (GAS) です。開発のパートナーはGoogleの生成AI 「Gemini」。私はGoogle Workspaceユーザーですが、このくらいなら無料ユーザーの権限範囲でも作成可能かもしれません。

「Googleアナリティクスのデータを取得して、AIで分析したい」 「こんな画面構成にしたい」とGeminiに指示を出すだけで、必要なコードを書いてくれます。
私がやったのは、そのコードを貼り付けて動かしただけ。コードの中身はわからなくても、ここまで本格的なツールが動いてしまうのが生成AI活用のすごいところです。
アプリの仕組みと機能
このアプリの仕組みは以下の通りです。
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Google Analytics 4 (GA4) のAPI を使用して、Webサイトのデータを自動取得。
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取得したデータを Gemini API に渡し、専門家視点での分析を依頼。
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結果をレポートとして画面に出力。
対象サイトのプロパティIDはアプリ内に埋め込んであるため、操作は非常にシンプルです。分析したい期間を「直近1ヶ月」「直近3ヶ月」「直近1年」のボタンから選んで実行するだけ。
データはすべて「対前年同時期比較」で算出されるため、季節要因を考慮した正しい分析がワンクリックで可能です。
先日作成した財務構造分析のアプリよりも頻繁に使うため動作をシンプル化してあります。動作時にGeminiの画面を使いませんがバックでGeminiが動いて分析しています。
実際のアプリ画面
実際に作成したアプリの画面がこちらです。(画像は当社サイト https://www.dm2.co.jp/ の分析実行前のものです)

対象サイトが複数ある場合はプルダウンメニューで選択し、比較期間も選択して「分析実行」のボタンをクリックするだけです。
それだけで、スコアリング機能やグラフ表示もあり、ひと目でサイトの健康状態がわかるようになっています。
Geminiによる分析レポートの実力
では、このツールが実際にどのような分析テキストを出力するのか、その実例をご紹介します。 単に数字を並べるだけでなく、「何が起きているのか」「次に何をすべきか」で具体的に提案してくれるのが最大の特徴です。
以下は、ある期間のデータをもとにアプリが出力したレポートの全文です。

全体概況 当期間におけるWebサイトのパフォーマンスは、ユーザー数が約5.6%減少した一方で、ページビュー数が約2.7%増加、平均セッション時間も約8.2%向上しました。これは、サイトを訪れたユーザーのコンテンツに対するエンゲージメントが高まっていることを示唆しており、非常にポジティブな兆候です。しかしながら、コンバージョン数、コンバージョン率、および収益が引き続きゼロである点は、最優先で取り組むべき課題として認識しています。
⚡ 主要な課題・ボトルネック 最も重要な課題は、Webサイトの最終的な目標であるコンバージョンと収益が全く発生していない点です。ユーザーはサイトコンテンツに興味を持ち、長く滞在する傾向にあるにも関わらず、具体的なアクション(問い合わせ、資料請求、購入など)に繋がっていません。これは、明確なコンバージョン目標の設定不足、適切なCTA(Call to Action)の欠如、あるいはコンバージョンに至るまでのユーザー導線の最適化不足が考えられます。また、ユーザー数の減少は将来的な成長の足かせとなる可能性があり、新規ユーザー獲得戦略の見直しも必要です。
🚀 改善アクション
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明確なコンバージョンポイントを設定し、サイト全体にわたるCTA(Call to Action)の配置とデザインを最適化します。ユーザーが次に取るべき行動を視覚的に分かりやすく提示し、スムーズなコンバージョン経路を構築します。
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エンゲージメントの高いユーザーをコンバージョンへ誘導するため、ランディングページや申し込みフォームのUI/UXを徹底的に改善します。入力項目の最適化、エラーメッセージの明確化、モバイルフレンドリー対応などを進め、ユーザーの離脱要因を排除します。
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ユーザー数の減少傾向を反転させるため、SEO施策の強化、ターゲット層に合わせたコンテンツマーケティングの展開、または効果的な広告戦略の導入を検討します。これにより、質の高い新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの再訪問を促進します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 これまで時間をかけて数字を拾い、頭を悩ませていた分析作業が、このアプリのおかげで一瞬で終わるようになりました。しかも、AIが客観的な視点で厳しい指摘や改善案を出してくれるため、次のアクションに迷いがなくなります。
「コードが書けないから」と諦めず、Geminiなどの生成AIを活用して、皆さんも自分だけの業務効率化ツールを作ってみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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