AI(人工知能/ディープラーニング)

Generative AI Conference 2025 レポート:ビッグテックが語るAIの進化と未来、そして“身体”を持つAIの可能性とは?

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Generative AI Conference 20252025年7月11日にオンラインで開催された「Generative AI Conference 2025」の受講レポートをお届けします。このセミナーでは、Googleやエヌビディアといった世界を代表するテック企業が登壇し、最新のAI技術とその社会的インパクトについて語ってくれました。
私自身、AIについて関心を持っていたのですが、今回のセミナーを通じて「AIはここまで来ているのか!」と驚きと興奮を覚えると同時に、今後の技術革新と社会変化について深く考えさせられる機会になりました。

Generative AI Conference 2025 レポート

Generative AI Conference 2025 とは

生成AIカンファレンス2025 開催概要

・2025年7月11日(金)10:00 – 18:30 懇親会 18:45~20:30
・場所: 東京大学伊藤謝恩ホール(東京大学伊藤学術センターB2F)

生成AIは“とにかく大きくすれば賢くなる”と信じられていた〈スケーリング則の時代〉を、ChatGPTのリリースからわずか2年で駆け抜けました。そして2025年の今、「思考を巡らせ、自ら動く」〈Reasoning × Agent フェーズ〉へと突入しています。Reasoning モデルは、問いを分解して段階的に推論を行うだけでなく、視覚情報や文脈を理解して正解を導き出す──まさに“思考するAI”。その思考をもとに目標を設定し、外部ツールを呼び出して実行まで担うAIエージェントも、実務現場での活用が急速に広がりつつあります。

生成AIカンファレンス2025 〜GenAI 2.0:深化する知能が思考し行動する時代の道標〜
生成AIカンファレンス2025 〜GenAI 2.0:深化する知能が思考し行動する時代の道標〜生成AIカンファレンス2025は日本最大級の生成AIイベントです。GoogleやNV... powered by Peatix : More than a ticket.

この生成AIカンファレンスをオンラインで聴講しました。
以下はその個人的な感想です。

AIにおける「知能」とは?人間と同じように学ぶAIの姿

セミナーの冒頭で、Googleのセッションが展開されました。まず印象的だったのは、AIにおける「知能」が「知識を応用して目的を達成するための能力」と定義されていたことです。

これは、私たちがイメージする「物知り」なAIというよりは、状況に応じて適切な判断を下せる“賢さ”こそが本質だという示唆でもありました。

このAIの知能の進化については、人間の成長プロセスになぞらえて説明がありました。

  • 知覚(新生児の学習)
     これは、教師なし学習に相当します。環境から自律的にパターンを抽出し、何が重要なのかを見分けていく段階。赤ちゃんが世界を観察して少しずつ物事を理解していく姿と似ています。

  • 知識(模倣・教育・訓練)
     こちらは教師あり学習で、与えられたデータからルールや概念を学びます。これはまさに私たちが学校で教えられるプロセスに近く、例題から答えを導き出すような訓練にあたります。

  • 試行錯誤(社会生活・スポーツ・ゲーム)
     強化学習に相当し、AIが実際に行動してみて失敗と成功を繰り返しながら、最適な選択肢を身につけていく段階です。まるでスポーツを通じて“体で覚える”ような学習方法ですね。

こうした説明は、AIがただの計算機ではなく、人間のように「経験から学ぶ」存在であることを理解させてくれました。

LLMの進化と学習プロセスの全体像

さらに、セミナーで大きく取り上げられていたのが「大規模言語モデル(LLM)」です。これはまさに現在のAI技術の中心であり、自然な言語の生成や理解を可能にするモデルのこと。私たちが日々使っているAIチャットもこの技術の恩恵を受けています。

LLMの学習プロセスについては、以下の3つのフェーズに分けて詳しく解説されていました。

  1. 教師なし学習
     このフェーズでは、AIが大量の文章データをもとに次の単語を予測することで、言語の構造や使い方を学びます。たとえば「Google創業年は」で終わる文章の次に「1998年」と続くような学習を行いますが、この段階では答えが必ずしも正解でなくても問題ではなく、パターンを掴むことが目的です。

  2. 教師ありファインチューニング(SFT)/指示チューニング(IT)
     ここでは、明確な質問と回答のペアを使って、「正しく答える」訓練を施します。たとえば「質問:Google創業年は?」「回答:1998年」のように、具体的な指示に対して適切な応答ができるように調整します。

  3. 強化学習(RLHF)
     最後に、RLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)では、人間のフィードバックを取り入れて、より自然で違和感のない応答を目指してモデルを洗練させていきます。たとえば「出力:1998年💡」といった、ちょっとした表現の工夫やニュアンスもここで学びます。

とくにこのRLHFの段階は、AIが私たち人間と自然にコミュニケーションできるようになるために重要なステップであり、今後のAI技術の中でも注目すべき領域と感じました。

情報革命の流れと、LLMがもたらす新時代

LLMの登場が社会にもたらすインパクトについても、セミナーでは歴史的な視点から紹介されました。人類の情報伝達の進化をざっと振り返ると…

  • 遺伝子による情報の継承

  • 話し言葉による意思疎通

  • 書き言葉、紙、印刷の登場

  • 電話、電信、インターネット、スマートフォン

このように、情報の伝達手段は時代とともに進化してきました。そして、2022年以降に登場したLLMによるAIの進化は、まさにこの流れの「次なる革命」として位置づけられていました。AIが文章を“理解し、生成する”というステージに到達した今、情報との関わり方そのものが大きく変わりつつあるのです。

エヌビディアが描く“フィジカルAI”の世界:AIが身体を持ち、動き出す未来

そして私が個人的に最も印象に残ったのが、エヌビディアのセッションで語られた「フィジカルAI」の可能性です。

これは、単にテキストを処理したり、画面の中だけで活動するAI(いわゆるエージェントAI)にとどまらず、物理的な“身体”を持って現実世界で活動するAIというビジョンです。

たとえば…

  • 工場で働くロボット

  • 自律走行車

  • ドローンによる配送

  • 災害現場でのレスキューAI

  • 家庭内でのサポートロボット

これらはすでに現実の技術として実用化が進んでおり、エヌビディアはそれを支えるインフラ、特にGPUなどの高性能計算基盤を提供することで、AIの“身体化”を強力に後押ししているのです。

AIが知能を持った次のステップは「動く」こと。見て、判断し、物理的な行動を起こすことで、人間の生活を安全に、便利に、そして豊かに変えるポテンシャルがあると、熱く語られていました。

まとめ:AIが“考え”、そして“動く”時代へ

今回のセミナーを通じて、GoogleはAIの「知能」の進化に、エヌビディアはAIの「身体」の実装に、それぞれ異なる立場から深く切り込んでいました。そして両者に共通していたのは、「AIはこれから本格的に社会の一員となる存在になっていく」というメッセージだったと思います。

私たちが今まさに目の当たりにしているのは、情報革命の次なる波——Generative AIとフィジカルAIの融合による社会変革の始まりです。

これからAIがどのように学び、動き、そして人と共存していくのか。その進化の先にある世界を想像すると、ワクワクが止まりません。

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