中小企業診断士

目標による管理を生かすのは個人面談(企業の目的は顧客の創造であり、その手段として目標管理を導入する)

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個人面談中小企業は社員の給与をどのように決めているだろうか。重要かつ毎年のことなのに、特定のルールや制度もなく、経営者の胸先三寸で決めている例も多いのが現実だろう。
目標管理制度(目標による管理)を導入し、個人面談を行い自己評価と上司評価で合意形成する方法がある。
次年度の給与は今年度の評価により上下することを事前に決めておきその制度そのものは全員に公開しているため、公平感も高い。

目標による管理(MBO)

「目標による管理」とは、組織のマネジメント手法の1つ。

社員自らが業務目標を検討し設定し、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理する。目標設定の合意形成とその成果や結果評価についての合意形成には個人面談が有効である。この場合の個人面談は非常に重要な意味を持つ。そのため、ある中小企業では中小企業診断士を同席させ、社員からの意見をきちんと聴くようにしている。

なお、「目標による管理」は、1950年代に米国のピーター・ドラッカー教授が提唱したといわれている。

企業の目的は顧客の創造である

企業の目的は「利益を出すこと」ではなく、「顧客を生み出し、顧客との関係を続けていくことである」、ということです。

ここでいう「顧客の創造」とは、

・まだ買ったことのない人に買ってもらうこと
・一度買った人にまた買ってもらうこと
・その商品やサービスの価値を理解してもらうこと

を指します。

利益は「結果」であって「目的」ではない、というのがドラッカーの立場です。

「目標による管理」は、経営学者の ピーター・ドラッカー が提唱したマネジメントの考え方です。
英語では Management by Objectives(MBO)と呼ばれます。

これは、

上司が細かく指示して管理するのではなく、
「達成すべき目標」を明確にし、その達成を通じて組織を動かす方法

です。

目標による管理(MBO)の定義

目標による管理とは、

・組織全体の目的を明確にする
・それを部門目標に落とす
・さらに個人目標に分解する
・本人が主体的に達成する

という仕組みです。

ポイントは「管理すること」よりも
「自ら目標を持って行動すること」にあります。

要点(ドラッカー的な本質)

1. 上からの命令管理ではない

ドラッカーは、知識労働者(頭を使う仕事をする人)には、
細かい指示よりも「成果への責任」が重要だと考えました。

だから、

× 何をするか細かく指示する
○ 何を達成するかを明確にする

という考え方になります。

2. 目標は“成果”で定める

目標は「作業量」ではなく「成果」で定義します。

例:

× 訪問件数を増やす
○ 売上を前年比10%増やす

× 会議を増やす
○ 顧客満足度を向上させる

重要なのは、「会社にどんな価値をもたらしたか」です。

3. 目標は組織目的とつながっている

目標はバラバラに設定してはいけません。

企業の目的

部門目標

個人目標

と、一貫性が必要です。

これがないと、
「頑張っているのに成果が出ない」状態になります。

4. 自己統制(セルフコントロール)が本質

ドラッカーは「自己統制による管理」とも言っています。

つまり、

・自分で目標を理解する
・自分で進捗を確認する
・自分で改善する

という仕組みです。

外から監視するのではなく、
内側から責任を持たせるのがポイントです。

よくある誤解との比較

誤解1:評価制度のこと

日本ではMBOが「人事評価制度」として使われがちです。

しかしドラッカーの本来の意図は、

評価のためではなく、成果を上げるための仕組み

でした。

評価だけに使うと、

・目標が小さくなる
・チャレンジしなくなる
・数字合わせが起きる

という問題が出ます。

誤解2:数値目標だけを追うこと

数値は重要ですが、それだけでは不十分です。

ドラッカーは、

・顧客
・革新
・人材育成
・社会的責任

といった多面的な成果を重視しました。

具体例(中小企業での活用)

例1:製造業

会社目標
「利益率を5%改善」

営業部
「高付加価値商品の受注比率を20%に」

製造部
「不良率を半減」

個人
「月次改善提案を2件出す」

こうして目標がつながります。

例2:小売店

会社目標
「リピート率向上」

店舗
「会員登録数を増やす」

スタッフ
「1日3件、次回来店提案を行う」

単なる売上目標ではなく、
顧客創造とつながる目標にするのがポイントです。

ドラッカー的まとめ

目標による管理とは、

「人を管理する仕組み」ではなく
「成果に責任を持たせる仕組み」です。

命令ではなく目標。
監視ではなく自己統制。
作業ではなく成果。

そして最も重要なのは、

目標は企業の目的(顧客の創造)と結びついていなければならない

ということです。

人にフォーカスする

顧客という人
社員という人

企業活動は人によって成り立っています。

人にフォーカスすることはとても重要です。

個人面談というのは、その重要な点を確認する場でもあります。