本日、2026年3月21日。石川県かほく市にある西田幾多郎記念哲学館にて開催された「2025年度 寸心読書会」の第10回(最終回)に参加してきました。
昨年4月から全10回、1年がかりで西田幾多郎の代表作『善の研究』の第三編「善」を1章ずつ読み進めてきたこの読書会。本日はついにその総まとめの日でした。私自身の頭の整理も兼ねて、この1年間で学んだ「西田幾多郎の倫理思想」を振り返ってみたいと思います。
西田幾多郎の「善の研究」を読む
2025年度寸心読書会

この読書会は、講師として金沢大学の山本英輔教授が本文を読みながら解説するというスタイルで進行をしてくれるので初学者にもわかりやすいと評判です。

本日はもう春本番ですね。昨日が春分の日だったこともあり日も長くなったことを感じます。
これまでの読書会を振り返って
西田幾多郎『善の研究』
前回までの「倫理学の諸説」に関する読書会の様子はこれです





今回は「西田の倫理思想」のまとめです
さて、今回の内容です。
『善の研究』第三編(第1章〜第9章)
西田幾多郎は、人間の「行為」とは何かという根源から出発し、既存の様々な道徳観(倫理学説)の矛盾を一つ一つ論破しながら、最終的に自身の「活動説(自己の発展完成)」へと到達します。
「善」を外側に求めてはいけない
第三編の第1章から第9章にかけて、西田は「人間の行為とは何か」「なぜ私たちは善を行わなければならないのか」という根本的な問いに真っ向から挑みました。
読み進める中で特に面白かったのは、古来の様々な倫理学説が次々と論破されていく過程です。
直覚説(良心が直感的に善悪を決める)は、判断に迷うことが多く基準にならない。
権力説(神や君主など絶大な権威に従う)は、ただの盲従になり「なぜ善をなすべきか」の理由にならない。
合理説(理性や理屈に従う)は、理屈だけでは人間の動機(感情や衝動)にはならない。
快楽説(快楽を人生の目的にする)は、快楽は結果として生じるものであり、善の基準にはならない。
世間のルールや常識(権力)、コスパなどの理屈(合理)、あるいは一時的な心地よさ(快楽)。私たちはつい、そういった「外側のもの」に善の基準を置きがちです。しかし西田は、それらをすべて退けました。
善とは「自己の発展完成」である
様々な学説を退けた西田が、第9章でついに打ち出した結論が「活動説」です。
西田は、善を「内面的要求・理想の実現、意志の発展完成」と考えました。つまり、竹が竹として育つように、人間が自分自身の天性・能力を十分に発揮し、円満な発達を遂げること。それこそが「自己の発展完成(selfrealization)」であり、最上の善であると言うのです。
「自分の理想を実現する」と聞くと、「それは単なる利己主義や、わがままではないか?」と疑問に思う人もいるでしょう。しかし本日のレジュメにもあった西田の言葉は、非常に厳しく、そして力強いものでした。
世人は往々自己の理想の実現または要求の満足などいえば利己主義または我儘主義と同一視している。しかし最も深き自己の内面的要求の声は我々に取りて大なる威力を有し、人生においてこれより厳なるものはないのである。
周りに流されたり、一時的な欲望に負けたりするのではなく、自分自身の最も深い魂の声をごまかさずに聞き、それを発揮し尽くすこと。それは決して「気楽なわがまま」などではなく、とてつもない覚悟と努力(至誠)を必要とする、人生で最も「厳しい」ことなのだと教えられました。
終わりに:来年度に向けて

この1年間、寸心読書会に通い、講師の先生や参加者の皆さんの話を聞きながら『善の研究』にじっくりと向き合ってきました。しかし、西田哲学の奥深さを前にして、正直なところ「まだまだ読破できた」とは到底言えません。
第三編の結論である「活動説」の輪郭は掴めた気がしますが、私自身の理解はまだまだ浅く、日々の生活にどう落とし込むかなど、咀嚼しきれていない部分が多々あります。
だからこそ、私の探求はここで終わりません。来年度、2026年4月以降の寸心読書会にも引き続き参加することを決めました。これからも西田幾多郎の思索の道をたどりながら、自分自身の「自己の発展完成」について深く考え続けていきたいと思います。
2026年度寸心読書会

日程をみると、すでに6月までの予定が被っていて出席できそうにありません。出席できる回だけでも参加したいと思います。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
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