操作手順を録画した動画を1本渡すだけで、スクリーンショットと説明文が付いた操作マニュアルがGoogleドキュメントでできあがる。そんなWebアプリを、Google Apps Script(GAS)で自作しました。

きっかけは、愛用していたGeminiの「Gem」が終了することになったためです。この記事では、作り直すことにした経緯、作るときに大事にした考え方、実際に使って分かったつまずきどころをまとめます。
最後に、同じアプリを自分の環境で作り直すための設計書と構築マニュアルをダウンロードできるようにしました。
まじんさんのGemアプリ「動画からマニュアル自動生成」を重宝していました
もともと使っていたのは、まじんさんが公開されていたGemのアプリ「Majin Agent – 動画からマニュアル自動生成」です。パソコンの操作を録画した動画を渡すと、AIが手順を読み取り、画面の画像と解説文を並べたGoogleドキュメントを作ってくれます。
操作マニュアルづくりは、どこの会社でも後回しにされがちな仕事です。画面を1枚ずつキャプチャして、貼り付けて、説明を書いて…という作業は、慣れていても1本で1時間はかかります。それが「操作しながら録画するだけ」で下書きまでできるのですから、支援先の方に紹介すると、みなさん驚かれました。私自身も、GASアプリの使い方説明やセミナーの資料づくりで何度も助けられています。まじんさん、ありがとうございました。
Gemの終了が決まり、自分で作り直すことにしました

ところが、Gemそのものが終了することになりました。2026年8月ごろから廃止の報道が出はじめ、9月末にGoogleが正式に発表しています。個人向けのGoogleアカウントでは11月から順次終了し、既存のGemは新しい「Skills(スキル)」へ自動で移行されます。Google Workspaceの法人アカウントは2027年3月、教育機関向けは2027年6月までの猶予があります(Impress Watchの記事より)。
Skillsに移ったあとも同じ使い方ができるのかは、まだ分かりません。それに、もともと気になっていたことがありました。マニュアルにする動画には、社内のシステムや顧客の情報が映り込むことが多いということです。
そこで、Gemが終わるのを待つのではなく、自社のGoogle Workspaceの中で完結するアプリとして自分で作ることにしました。作業はClaude Code(AIにコードを書かせる道具)を使い、まじんさんのアプリの使い心地を参考にしながら、GASで一から組み立てています。2026年9月16日に最初の版ができ、そこから実際に使いながら直していき、10月29日の時点でv1.9になりました。
できあがったアプリの使い方
使い方はとても簡単で、4つの段階で終わります。
- 動画を選ぶ:操作を録画した動画(MP4・MOV・WebM、5分程度まで)をドラッグ&ドロップします
- AIが手順を読み取る:動画から画像を切り出し、AI(Gemini)が「どの場面で何をしているか」を読み取ります
- 画面で手直しする:タイトル・見出し・説明文を直したり、ステップを足したり消したりできます
- 「Googleドキュメントを生成」を押す:画像と説明文が並んだマニュアルが、自分のGoogleドライブにできあがります
▼最初の画面

▼処理は数十秒~

▼完成したマニュアル

5分ほどの動画なら、解析は数十秒から1分ほどで終わり、15〜25のステップに分かれたマニュアルの下書きができます。あとは説明文を自社の言葉づかいに整えれば完成です。
実際にこのGASアプリでマニュアル作成した事例
実際にこのGASアプリを使って、トラクター操作の動画からマニュアルを作成した事例があります。そのさいの様子をYouTubeに公開されていますので、ここでも紹介いたします。
これは石川県野々市市の林農産の林浩陽会長のYouTubeです。この動画の中で実際にこのGASアプリを使ってマニュアルを作成する様子が紹介されています。
作るときに大事にした3つのこと

1. 動画そのものは外に出さない
いちばんこだわったのがここです。動画の読み込みと画像の切り出しは、利用者のブラウザの中だけで行います。動画ファイルはどこにもアップロードしません。AIに送るのは、縮小した静止画(長辺512ピクセル・最大32枚)だけです。
外部への通信も、GeminiのAPI(generativelanguage.googleapis.com)だけに絞りました。画面のデザインも外部のCDN(ネット上の部品置き場)を読み込まず、すべてアプリの中に書いています。「どこに何が送られるか」を説明できることは、社内で使ってもらううえで大きな安心材料になります。
なお、Gemini APIの無料枠では、送った内容がGoogleのサービス改善に使われる場合があります。社内の画面を扱うなら、課金を有効にした(有料枠の)APIキーを使うことをおすすめします。規約は変わることがあるので、導入するときに最新の内容を確認してください。
2. AIの文章をそのまま出さない
AIが読み取った手順は、必ずいったん編集画面に表示し、人が確認してからGoogleドキュメントにします。説明文が空のステップがあると「AIで説明文を作りますか?」と確認が出ますが、AIが書いた文も、いったん編集画面に戻して人が見るようにしています。
マニュアルは「間違っていると現場が困る」文書です。AIに8割を任せて、最後の2割は人が責任を持つ、という分担にしました。
3. 待ち時間に不安にさせない
画像の切り出しやAIの解析には、どうしても時間がかかります。最初は1枚ごとにしか進捗が動かず、「止まってしまった?」と言われました。そこで「12 / 32枚目(経過 47秒)」のように、毎秒数字が動く表示に変えています。小さなことですが、使う人の安心感がまったく違います。
実際に使って分かったつまずきどころ

最初の版は、自分で試すぶんには問題なく動きました。ところが、いろいろな動画で使ってみると、次々に問題が出てきました。約6週間で10回ほど直しています。同じようなアプリを作る方の参考になると思うので、主なものを紹介します。
| 起きたこと | 原因 | どう直したか |
|---|---|---|
| AIの解析がエラー (HTTP 503)で失敗する |
画像50枚(約2.7MB)を一度に送っていた。 APIの上限内でも、重すぎると AIが処理しきれない |
32枚(約1.7MB) に減らした |
| 5分の動画で、 AIの応答が途中で切れる |
AIが考える分(思考)も出力の 上限に含まれていた |
出力の上限を明示的に引き上げ、 途中で切れたかどうかを 先に確かめるようにした |
| ステップが8つしか出てこない | AIへの指示が「手順をまとめる」 方向に効きすぎていた |
「まとめすぎない」 「15〜25ステップ程度」 と指示を足した |
| 230MBの大きな動画で、 画像の切り出しが止まる |
同じ動画を2回読み込み、 さらに全体を先読みしていた |
読み込みを1回にし、 必要な部分だけ読むようにした |
| スマホで撮った動画の 画像が横倒しになる |
動画の回転情報が、 ブラウザの切り出しでは使われない |
画像を90度ずつ回転できる ボタンを付けた |
| iPhoneの.mov動画 でエラーになる |
中身がHEVC(H.265)という形式で、 ブラウザによっては映像を読めない。 音声だけ読めて真っ白な画像がAIに送られていた |
映像が読めないときは、 AIに送る前に止めて 「MP4に変換してください」 と表示するようにした |
最後のiPhoneの件は、ブラウザによって結果が違いました。私の環境では、Braveでは読めず、Chromeでは読めました。iPhoneで撮った動画を使うときは、Chromeで開くか、MP4(H.264)に変換してから使うのが確実です。
どれも、エラーの文言と実行ログをそのままClaude Codeに渡し、原因を調べてもらって直しました。AIにコードを書かせる開発では、「実際に使ってみて、出た症状をそのまま渡す」を繰り返すのがいちばんの近道だと感じています。
設計書と構築マニュアルを公開します
このアプリは社内で使っているもので、アプリそのもの(URL)は公開していません。そのかわりに、同じアプリを自分のGoogleアカウントや自社のWorkspaceで作り直すための資料を用意しました。どちらもClaude Codeで作ったものを、社外の方向けに整えています。
- 設計書:画面の流れ、処理の分担、AIへの指示文(全文)、設定値とその理由、過去に起きた不具合と対策など
- 構築マニュアル:APIキーの発行からGASプロジェクトの作成、動作確認、公開、運用までの手順
ソースコードは入っていません。そのかわり、設計書はAI(ClaudeやGeminiなど)に丸ごと渡せばコードを書かせられる細かさで書いてあります。AIへの頼み方の例も構築マニュアルに載せました。GASのコードが書けない方でも、AIと一緒に進めれば1日で作れる分量です(準備30分+構築1〜2時間+動作確認30分が目安です)。
※zipの中身は、Markdown形式(.md)のテキストファイル2つです。メモ帳などのテキストエディタで開けます。
※参考資料としての公開です。動作の保証や、個別の不具合対応はしていません。環境(アカウントの種類、組織の設定、AIのモデル・料金・規約)によって結果は変わります。
もしこの資料がお役に立ったら、投げ銭サイトから応援していただけるとうれしいです。
※投げ銭はスクエアの「寄付」というシステムに変更しています(2025年1月6日より)
※クレジットカードで投げ銭は100円からOKです。シャレですので笑ってご支援いただけるとうれしいです(笑)
まとめ:Gemの終了は「自分の道具」を持つきっかけになる

Gemの終了は残念ですが、私にとっては「便利な道具を借りる」から「自分の道具を持つ」へ切り替えるよいきっかけになりました。自社のWorkspaceの中で動くので、情報の扱いを自分で説明でき、使いながら自社に合わせて直していけます。
GemやChatGPTのカスタム機能は手軽ですが、サービスの都合で終わることがあります。業務で毎日使うものほど、GASのような自社の環境に置いておく価値があります。そして今は、Claude CodeのようなAIを使えば、コードを書けない人でもそれを作れる時代です。
Gemで重宝していたアプリがある方は、移行先を考えるときの選択肢のひとつとして、「自分で作る」も検討してみてください。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
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