12月13日(土)、西田幾多郎哲学記念館で開催された哲学講座を受講してきました。この哲学講座は毎回違うテーマで講師も多彩です。
今回のテーマは「クリティカルシンキング」で講師は金沢医科大学の菊池建至先生です。このテーマはビジネスにも応用がききやすいので人気が高い講座でした。いつもより受講生が多く、とくに若い人が目立ちました。ひょっとしたら医科大学関連の方も受講しにきていたのかもしれませんね。
西田幾多郎記念哲学館の哲学講座

この日は快晴、小春日和となり気持ち良いお天気でした。

講座は地下ホールで開催されています。1回で受付してレジュメをもらい階段を降りて会場に向かいます。
2025年度の哲学講座

本日の講座は「クリティカルシンキング」がテーマでした
クリティカルシンキングとは?
今回講座のタイトルは、これからの社会で「クリティカルシンキング」をどう活かすか、です。
クリティカルシンキングとは、物事を客観的かつ論理的に分析し、最適な結論を導く思考法です。
クリティカルシンキングは「批判的思考」ともいわれています。物事の前提を疑い、客観的に検証することで本質を見極める思考法です。これは、単に他者の意見を否定するのではなく、情報を分析し、吟味した上で論理的かつ合理的な結論を導くプロセスを指します。
現代の複雑な環境において、クリティカルシンキングは特に重要です。情報が氾濫する中で、正確な判断を下すためには、健全な懐疑心と探究心が求められます。これにより、誤解や偏見に陥ることなく、情報を客観的に検討し、意思決定を行うことが可能になります
ロジカルシンキングとの違い
クリティカルシンキングは、ロジカルシンキング(論理的思考)とは異なるアプローチを取ります。ロジカルシンキングは、筋道を立てて考えることに重点を置きますが、クリティカルシンキングは「これは本当に正しいのか?」といった疑問を持ちながら考える点が特徴です。両者は相互に補完し合う関係にあり、効果的な問題解決や意思決定に役立ちます。
そもそも選択アーキテクチャって何の役に立つの?
この講座を受講して、もっとも頭に残ったキーワードは「選択アーキテクチャ」でした。選択肢の並べ方、見せ方、初期設定(デフォルト)。それだけで、私たちの判断は驚くほど動くということです。
一言でいえば、選択の環境設計です。選択肢そのものは同じでも、提示の仕方で選ばれ方が変わります。問題はここです。
本当に「自分の意志」で選んだのか?
それとも、環境に背中を押されただけなのか?
この問いが、講座で扱った「判断のクセ(バイアス)」とつながってきます。
ジャム売場で起きていることは、会議でも起きている
以前、私のブログで「ジャムの陳列は6種類か24種類か?」という実験を紹介しました。結論が痛快です。「24アイテムの展示→購入率3% 6アイテム→購入率30%」という結果でした。
ここで面白い問いが立ちます。
選択肢が多いほど親切、ではないのか?
迷わせること自体が、購入(決定)を遠ざけていないか?

この話、売場だけではありません。会社の会議でも「選択肢を増やしすぎて決められない」「最初のたたき台がそのまま通る」「デフォルト案が勝つ」がよく起きます。会議の資料も、実は選択アーキテクチャそのものです。
フェイクニュースも「選ばせ方」で広がる?

講座では、判断が狂う仕組みとして利用可能性ヒューリスティック(思い出しやすいものを“多い”と感じるクセ)や、確証バイアス(自分の信じたい情報だけ集めるクセ)が話題になりました。
ここで選択アーキテクチャの出番です。
・タイムラインで目立つ投稿が上に出る
・刺激的な見出しが大きく表示される
・「急げ」「拡散希望」がボタンのすぐ横にある
これらは全部、選択環境の設計です。人の脳は省エネなので、目立つもの・近いもの・簡単なものに流れます。だからこそ「事実を確かめる前に拡散」が起きやすい。ここでも問いが効きます。
これは誰が得する情報か?
元の情報にたどれるか?
反対の証拠を1つでも見たか?
問いを立てること、問いを立てるチカラが本当に重要だということを再確認しました。
共感は大事。でも共感だけだと、分断も起きる
講座の後半は「他者理解」でした。共感は人間関係の土台です。ただ、情動的共感(感情が強く動くタイプ)は、自分と似た相手には働きやすく、違う相手には働きにくい。すると、外集団をひとまとめにして、ステレオタイプが強まることがある。ここも、判断のクセが出る場面です。
ではどうするか。
共感が湧きにくい相手ほど、知性の出番です。
事実や背景を学ぶ
思い込みを点検する
対話して確かめる
対等に尊重する
感情だけで橋をかけるのが難しいなら、知性で橋脚を打つ。そんなイメージが残りました。
結論:良い判断は「頭の良さ」より「問い」と「設計」
今回の学びを一言でまとめるならこうです。
判断を良くするコツは、気合ではなく環境設計と問いの習慣。
売場のジャムも、会議の議題も、SNSのニュースも、選択アーキテクチャで結果が変わります。だからこそ、まず疑ってみるのが楽しいのです。
この並び方、初期設定、見せ方は誰が決めた?
選ばない自由は用意されている?
本当に自分で選んだと言える?
クリティカルシンキングは、難しい哲学というより「問いを持って暮らす技術」なのかもしれません。学びが面白くなるのは、ここからです。
この講座を終了し屋外に出るとすでに太陽が西の方に傾いていました。

12月なかばですから一日のお昼時間が短くなっています。

午後3時半過ぎ、もう夕暮れタイムが始まっていました。今日もいい日でした、ありがとうございます。感謝。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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