気になるお店や施設

七尾市・西田酒店の社員教育「試飲会」レポート〜具体的な試飲リストと共に振り返る、学びと発見の体験〜

この記事は約7分で読めます。

西田酒店の試飲会は社員教育の場でした10月30日の夕方に石川県七尾市で地元に愛される素敵な酒屋さん「西田酒店」さんの試飲会に参加する機会がありました。社員教育の一環として、取り扱うお酒の「試飲会」を定期的に開催されているとのこと。これはお客様に的確なご提案をするための真剣な勉強会なのです。
私にとっては、能登のワイン、石川県の地酒(日本酒)、そして能登の焼酎まで、本当にたくさんの種類のお酒を少しずつ味わうという、なんとも贅沢で楽しい体験でした。西田酒店の皆様、改めて感謝申し上げます。

西田酒店さんの「試飲会」レポート

西田酒店の試飲会

🍇 第1部:試飲リスト全公開!驚きと発見のテイスティング

試飲会は、非常に興味深いラインナップで構成されていました。私が体験した順番にご紹介します。

まずは能登ワインから!ハイディワイナリー「禅の里」(白・赤)

スタートは、能登・輪島市門前町にある「ハイディワイナリー」さんの「禅の里」シリーズからでした。

  • 「禅の里」白(デラウェア)
    まず驚いたのが、グラスに注がれた白ワイン。キラキラと輝く「酒石(しゅせき)」(ワインのミネラル分が結晶化したもの)がたっぷりで、見た目にも特徴的です。 香りを嗅ぐと、デラウェアぶどう由来のほのかに甘い香りが広がります。「これは甘口なのかな?」と思って口に含んだ瞬間…「お、酸っぱい!」 この香りと味の鮮やかなギャップに、参加者一同驚きました。
    しかし、このキリッとした酸味こそが日本ワインの進化の証。参加者からは「日本産ワインは低温処理などの技術向上で、20年前と比べて品質が格段に上がっている」といった声が上がりました。
  • 「禅の里」赤(マスカットベリーA)
    続いては、日本固有のぶどう品種、マスカットベリーAで造られた赤ワインです。 一口飲むと、第一印象は「ん、なんだかジュースっぽい感じ?」。
    とてもフルーティーで飲みやすいのです。飲み込んだ後から、赤ワインならではの渋み(タンニン)が後味にしっかりと追いかけてきます。この「飲みやすさ」と「赤ワインらしさ」のバランスが絶妙で、「これはこれで、いいかもね!」と納得の味わいでした。

禅の里ワイン

特別な秘蔵ワイン(ブルゴーニュ)も一口

次に、西田酒店さんが特別に用意してくださった「秘蔵ワイン」を一口だけいただきました。

  • ブルゴーニュの白
  • ブルゴーニュのピノノアール(赤)

詳細は控えますが、これぞ本場フランス・ブルゴーニュといった風格。さすがにお値段も張るだけあって、複雑味、香り、余韻…どれをとっても「グレイト」の一言でした。このワインは番外編なのでほんのひとくちだけです。

個性派ぞろいの日本酒(地酒)飲み比べ

いい感じでワインを楽しんだ後は、日本酒の部へと移りました。

  • 吉田酒造(白山市)u「12度 微発泡」
    まずは白山市にある吉田酒造さんのお酒です。アルコール度数が12度と低めで、なんと「微発泡」。グラスに注ぐと、かすかにシュワシュワと泡立ちます。 味わいは非常に軽やかで、日本酒が苦手な方でもスイスイ飲めてしまいそう。「これはおしゃれに食事をしたいとき、乾杯酒としてもすごく良いね!」と好評でした。
  • 白菊(能登・輪島)「純米酒」
    続いては、地元能登・輪島の白菊さんの純米酒です。 このお酒は、能登半島地震からの復興を経て、ANA国際線ファーストクラスにも採用された実績を持つ、能登の誇りともいえる一本です。味わいは、先ほどの吉田酒造さんとは対照的。口に含むと「濃厚でガツン!」と米の旨味が力強く広がります。まさに「男酒」といった印象。 しかし、不思議なことに後味は「すっと切れる」。濃厚なのに飲み飽きない、見事なバランスです。「これは旨い。一人でじっくり飲むなら、絶対にこれだね」と、私はすっかりファンになってしまいました。

最後は焼酎!「虎の涙」の奥深さ

虎の涙

さて、いい感じで酔いも回ってきたところで、最後は焼酎です。 こちらも能登の焼酎、「虎の涙」をいただきました。

  • 虎の涙「25度 金箔入」
  • 虎の涙「31度 12年もの」

12年ものは、その熟成期間を示すように美しい「黄金色」をしており、見ているだけでも期待が高まります。

今回はどちらも「常温ストレート」で挑戦しました。さすがにアルコール度数が高いので「強い!(笑)」というのが正直な感想ですが、これがまた旨い。31度の12年ものと、8年熟成の金箔入、どちらも香りが非常にスモーキーでウイスキーっぽい印象でした。

みためは25度の金箔入りが豪華でよいですね。

💬 第2部:試飲だけじゃない!白熱した店舗運営ディスカッション

さて、この試飲会のすごいところは、ただ「飲んで終わり」ではないことです。 これだけ具体的なテイスティングで得た気づきをもとに、店舗運営やお客様への対応について、非常に活発なディスカッションが繰り広げられました。

お客様の心に寄り添う「カウンセラー」として

印象的だったのは、顧客対応に関する議論です。 西田酒店さんには、「何を買ったらいいかわからない」というご相談で来店されるお客様が非常に多いそうです。特にご年配の常連さんも多く、単に商品を売るだけでなく、お客様の好みや背景を伺いながら最適な一本を提案する「カウンセラー」的な役割が求められている、というお話でした。

マダム櫻子さんやおけいさんは「既存のお客様をしっかりフォローし、信頼関係を築く役割(まるで神社の巫女さんのように、お客様の心に寄り添う存在)」で、次男の奥さん浩子さんは 「ブログなども活用しながら新しいお客様を開拓していく役割」 といった、役割分担を明確にすることの重要性が話し合われていました。

既存のお客様を大切にしながら、新しいファンも増やしていく。この両立こそが、これからの酒屋さんに求められる姿だと改めて感じました。

お酒の「品質」を守り続けるために

また、「品質管理」についても重要な議論が交わされました。 ブランドのお酒だからといって同じ味だからとは限らない。10年前と今の味はどう違うのか。
…など、目利き役としての能力はブラッシュアップが必要だそうです。

また、「日本酒などは特に、毎年の気候や米の出来によって味が違うのも、また個性であり魅力。そこをどうお客様に伝えるか」という難しさについても触れられました。

安定した品質を提供し続ける努力と、その年ならではの個性を「付加価値」として伝える工夫。そのバランスを取ることが、プロの酒屋さんとしての腕の見せ所なのだと実感しました。

(こぼれ話)配達業務のほっこりエピソード

真剣な議論の中、こんなほっこりするエピソードも共有されました。

あるスタッフの方が、10年ほど前、夜の配達で3件分のお酒を準備していた時のこと。お客様へのおまけの缶チューハイが1本足りないことに気づき、「あれ?おかしい!」と、真っ暗な中で10分間も必死に探し続けたそうです。

結局、その缶チューハイは……なんと、ご自身の「左手」に握りしめられていたそうです(笑)。これは、左手の法則?右手の法則?なんなのかよくわかりませんが楽しいエピソードでした。

配達業務の忙しさやプレッシャーが伝わってくると同時に、そんな一生懸命な姿が目に浮かぶようで、聞いているこちらも思わず笑顔になってしまいました。こうした日々の積み重ねが、お客様からの信頼につながっているのですね。

(余談)蕎麦と落語と文化の話

試飲会では、お酒から派生して文化的な話題も出ました。今回の試飲会には社員やスタッフ数名だけでなく、スタッフの家族、常連のお客さん、私、などもいました。
ある参加者の方は、「時々、蕎麦屋さんで落語を楽しむ会に参加しているんです。昼から蕎麦屋でお酒を飲んで、それから落語を聞く。これが最高で」と楽しそうに話されていました。

桂枝雀さんや柳家喬太郎さんといった人気の落語家さんのお話も飛び出しました。「最近は歌舞伎よりも落語のほうがチケットが取りにくい」なんていう情報も。お酒は、こうした文化や人との交流を豊かにしてくれる存在でもあることを再認識しました。

🌟 まとめ:「試飲会」は学びの宝庫だった

西田酒店の試飲会は社員教育の場でした

今回、西田酒店さんの社員教育としての「試飲会」に参加させていただき、私は深く感銘を受けました。

これは単なるテイスティングの場ではありません。 お酒の知識を深め、その魅力を自分の言葉で語れるように訓練する場であると同時に、

  • どの商品をお店に置くか(商品選定)
  • お客様にどう向き合い、何を伝えるか(顧客対応方針)
  • 最高の状態でお酒を届けるために何をするか(品質管理)
  • 日々の業務での課題をどう共有するか(情報共有)

といった、経営やマーケティングの根幹に関わる重要な議論を行う「戦略会議」の場でもあったのです。

中小企業にとって「人財育成」は非常に重要なテーマですが、このように自社の商品(お酒)を軸に、スタッフ全員が真剣に学び、議論し、体験を共有する取り組みは、非常に有意義であり、お客様からの信頼を勝ち取るための最強の武器になると確信しました。

西田酒店のスタッフの皆様の、お酒に対する深い愛情と、お客様に対する真摯な姿勢に触れることができ、私自身も多くの刺激をいただきました。

この度は、貴重な体験をさせていただき、誠にありがとうございました! 七尾にお越しの際は、ぜひ西田酒店さんに立ち寄ってみてください。きっと、あなたにぴったりのお酒と、温かいおもてなしに出会えるはずです。