毎日のようにAIの進化がニュースで流れてきます。この速さはますます加速しているようです。そして、私は大きな変化を感じました。それは、生成AIの進化が個人向けAIと企業向けAIへに分岐しているということです。AI提供をしているのは世界的なビッグテック企業ですから当然ビジネス戦略があります。それがどのようになっているのか、どうなっていくのかについて、ちょっと考えてみました。
AIは分かれていく:個人向けと企業向け、それぞれの進化
近年、AI技術は急速に進化を遂げています。かつてはSFのように思われていたAIが、今では日常の中で自然に使われるようになりました。しかし、この進化の中で、AIの役割が「個人向け」と「企業向け」に分かれつつあることに気づいている方も多いのではないでしょうか。
個人向けのAIは、日常のサポートや娯楽など、私たちの生活をより便利にすることを目的としています。一方、企業向けのAIは、ビジネス現場での効率化やセキュリティ強化を重視しています。それぞれの方向性は、OpenAI、Microsoft、Googleといった企業が自社の戦略に基づいて選び取ったものであり、偶然ではありません。
OpenAIの方向性:個人のためのパーソナルAI
OpenAIの提供するChatGPTは、もともと専門家向けのツールとして始まりましたが、現在ではその用途の多くが私的な利用にシフトしています。最近のデータでは、ChatGPTの使用の7~8割が仕事以外の個人利用となっており、1年前と比べて大きな変化が見られます。
利用者の層も広がっており、性別や年齢、地域を問わず、多くの人々が日常的に使うツールとなっています。さらに、動画生成アプリ「Sora」や、ChatGPT内からSpotifyやCanvaなどのサービスが使える機能も加わり、生活のさまざまな場面で活用できるようになっています。
OpenAIは、AIとの対話を中心に据えた新しいデジタル体験を提供し、次世代のプラットフォームとなることを目指しています。
MicrosoftとGoogleの方向性:企業の信頼を守るエンタープライズAI
一方で、企業向けのAIには異なるニーズがあります。Microsoftの「M365 Copilot」やGoogleの「Gemini for Workspace」では、何よりもセキュリティとプライバシーが重視されています。
企業のデータがAIの学習に使われることはなく、既存のアクセス権限やルールに従って情報にアクセスする設計になっています。企業がAIを導入する際には、この「安心感」が重要な要素となっており、それに対して月額30ドル程度のコストが発生することも理解されています。
これらのAIは、OfficeツールやGoogle Workspaceと連携し、業務の中に自然に組み込まれている点が特徴です。社内データを活用して議事録の要約やタスクリストの作成などをサポートし、業務の効率化に貢献しています。
なぜこのような分かれ方になったのか?
それぞれの企業が異なる背景と目的を持っているため、このような戦略的分岐が生まれました。
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OpenAI は、ゼロから市場を開拓し、幅広い個人ユーザーを取り込む必要がありました。
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Microsoft は、すでに多くの企業ユーザーを抱えており、その顧客基盤を維持・拡大するための手段としてAIを位置づけています。
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Google は、検索広告ビジネスを守りつつ、新たな収益源としてエンタープライズ向けAIに力を入れています。
企業 | 主要AI製品 | ターゲット市場 | 中核戦略 | 主要な戦略的資産 | 主要な収益化モデル |
OpenAI | ChatGPT, Sora | 消費者、プロシューマー | 新しいAIネイティブプラットフォームの構築 | 先行者利益、ブランド認知度 | サブスクリプション、将来のプラットフォーム手数料 |
Microsoft | M365 Copilot | 企業 | 既存の企業向け市場の「堀」を深化 | 生産性ソフトウェア(Office 365, Teams)における支配的地位 | 既存の企業向けライセンスへのアドオンサブスクリプション |
Gemini for Workspace | 企業、消費者(検索経由) | 検索事業の防衛と新たな企業向け収益源の構築 | 検索における支配的地位、巨大なデータコーパス | 広告収入、Workspaceへのアドオンサブスクリプション |
今後の展望:それぞれの役割がより明確に
今後、AIは「エージェント」としての機能を強めていくと考えられています。たとえば、OpenAIのパーソナルエージェントは旅行計画や日常のサポートを行い、MicrosoftやGoogleのエンタープライズエージェントは業務の自動化や情報管理を担うようになるでしょう。
それぞれのAIが担う役割は異なっており、すぐに一つに統合されることは難しいと見られています。個人の情報と企業の情報が混在することで起こるリスクを回避するためにも、適切な使い分けが求められます。
まとめ:AIとどう向き合うか
AIは一つの技術ではなく、私たちの生活と仕事に寄り添う「二つのパートナー」として発展しています。個人としての生活にはパーソナルAIを、業務には企業向けAIを選び、それぞれの場面に適したツールを使いこなすことが、今後さらに重要になるでしょう。
AIが二極化していく、ということをスライドにしました。スライドでもご覧になってみてください。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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