9月28日(日)午前、かほく市にある西田幾多郎記念哲学館の哲学講座に参加する機会を得ました。
今回のテーマは17世紀の哲学者スピノザ。その思想に触れる中で、現代を生きる我々の仕事や生き方にも通じる、重要な視点を得ることができましたので、ここに書き留めておきたいと思います。
西田幾多郎記念哲学館の哲学講座
2025年度の哲学講座
スピノザ哲学「エチカ」
今回の講師は、東京国際大学商学部教授の吉田量彦先生でした。
9月27日(土) 13時30分~ 15時30分 |
裏口からのスピノザ入門① 言論の自由を滅ぼそうとする国は、滅びる |
吉田 量彦 氏 東京国際大学教授 |
9月28日(日) 10時~12時 |
裏口からのスピノザ入門② 自由意志のない世界を、自由に生きる |
土曜日の講座には出席できませんでしたが、日曜日の講座を受講できました。今回講師の吉田量彦先生の著作本が図書館の入口に数冊並んでいました。この「スピノザ/人間の自由の哲学」をパラパラめくってみると、今回の講座内容にもあった「猫モード」のことも書いてありました。
すべての存在は「神のモード」である
講義の中で特に印象的だったのが、「実体」と「様態」という概念を説明する際に用いられた「猫モードの神」というユニークな比喩です。
スピノザによれば、この世界に究極的に存在する「実体」は唯一、「神(あるいは自然)」だけであるとされます。私たちが認識している個々の存在、例えば人間、動物、あるいは目の前にある机といったものは、その唯一の実体が形を変えて現れた「様態(モード)」にすぎない、というのです。
つまり、道端にいる一匹の猫は、猫という独立した存在なのではなく、唯一の存在である神が「猫の様態(モード)」で現れている姿だと解釈できます。
この考え方を進めていくとすれば、私自身も「私というモードの神」であり、この記事を読んでくださっているあなたも「あなたというモードの神」ということになります。
この一元論的な世界観は、ともすれば「すべては予め決まっている」という運命論に陥りやすい危険性をはらんでいます。個人の意志や努力は無意味であり、ただ大きな流れに身を任せるしかない、という諦めです。しかし、スピノザ哲学の真髄は、その先にありました。
「雑な観念」を「理性」で整理する
人間が他の動物と異なるのは、後天的に形成される「理性」という能力を持つ点です。
私たちは日々、様々な外部の刺激によって、欲望や怒り、喜びといった感情(スピノザの言う「情念」)を抱きます。これらは、物事の一側面だけを捉えた、いわば**「雑な観念(不適切な観念)」**です。この「雑な観念」に無自覚に振り回されている状態を、スピノザは「隷属(不自由)」と呼びました。
この状態から脱却し、「自由」を獲得するために不可欠なのが、理性の働きです。
理性は、自身の内側に生じた感情や欲望の原因を客観的に探求させます。「なぜ自分は今、このように感じるのか?」と問い、その因果関係を冷静に分析する力です。
この理性の光を当てることで、「雑な観念」はより体系的で客観的な「適切な観念」へと整理されていきます。原因が分かれば、対処法も見えてきます。感情にただ流されるのではなく、その構造を理解し、より善い方向へと自らを導くことが可能になるのです。
本当の「自由」とは何か
スピノザの思想によれば、自由とは、好き勝手に振る舞うことではありません。それは、自らがどのような法則性の下にあるかを深く理解し、その必然性を受け入れた上で、最も知的に、かつ主体的に行動することです。
これは、ビジネスの現場においても示唆に富む考え方です。市場の動向、顧客のニーズ、自社のリソースといった様々な外部要因(原因)を正確に分析・理解し、その上で最善の戦略を主体的に決断していくプロセスは、まさにスピノザの言う「自由」な状態の実現と言えるのではないでしょうか。
運命論より決定論
すべては運命であり決まっていると諦めるのではありません。
物事の因果を深く見つめ、その中で自らの理性を最大限に働かせて意思決定し行動する。ここが重要です。決定された未来というのものはありません。
今回の講座では、変化の激しい時代を生き抜くための、一つの確かな指針を与えてくれたように感じます。
9月最後の日曜日のこの日はとてもよいお天気でした。
この内容をスライドにしてみました
このスライドは、まじん式プロンプトで作成しました。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
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