8月7日、能美市の辰口福祉会館にて、能美市商工会商業部会主催の「実店舗のための集客戦略セミナー」に講師として登壇させていただきました。
ご参加いただいた能美市内の事業者の皆様、そして本セミナーを企画・運営してくださった能美市商工会商業部会の皆様に、この場を借りて心より感謝申し上げます。
当日は、変化の激しい現代において、実店舗がどのようにしてお客様を集め、ビジネスを成長させていくかというテーマについて、資料160ページ超、約2時間にわたり、熱くお話しさせていただきました。会場には多くの熱心な経営者の皆様にお集まりいただき、皆様のビジネスに対する真剣な姿勢がひしひしと伝わってくる、大変有意義な時間となりました。
実店舗のための集客戦略セミナー
会場は能美市の辰口福祉会館3階の会議室でした
会場は辰口福祉会館でした。ここは高台にあり、隣接している温泉では200円で入浴できます。セミナー前に温泉に浸かりたかったのですが、ちょっと時間の余裕がなくなってしまい断念。開始時刻の18時まで同じフロアで待機することにしました。
セミナー内容について
当日のセミナーの内容を、資料のエッセンスを交えながらご報告いたします。
今回のセミナーでは、以下の6つのテーマに沿って解説を進めました。
この日のレジュメ
1.「集客」の変化
2.近代マーケティングの変化
3.顧客は誰か?(ペルソナ設定見直し)
4.実店舗の集客施策
5.生成AI活用
6.ファンダムと顧客の旅
1.「集客」の変化 ― なぜ今、マーケティングが重要なのか?
「集客なくして売上なし」 という言葉があるように、事業の根幹は常にお客様に来ていただくことから始まります。売上は「客数 × 客単価」というシンプルな公式で表されますが、現代はこの「客数」を確保することが非常に難しくなっています。
その背景には、需要と供給のバランスの大きな変化があります。モノが不足し作れば売れた「生産志向」の時代 、モノが溢れ始めいかに売るかを考えた「販売志向」の時代 を経て、現代は供給が需要を大きく上回る「超顧客志向」と「価値重視」の時代へと突入しました。 お客様が商品を自由に選べるからこそ、「お客様から選ばれる」ための戦略的なマーケティング活動が不可欠となっているのです。
2.近代マーケティングの変化 ― コトラーの5つのステージ
マーケティングの変遷を、「近代マーケティングの父」フィリップ・コトラーの理論に沿って解説しました。現在は、古い段階のマーケティングから最新のものが混在している状況です。
・マーケティング1.0(製品中心): 4P(製品・価格・流通・販促)を軸に、良いモノを作ることに主眼が置かれた時代です。
・マーケティング2.0(顧客志向): 顧客を理解し、STP(市場細分化・ターゲティング・自社の立ち位置決め)によって狙うべき市場を定める考え方です。
・マーケティング3.0(価値主導): 企業の社会的責任(CSR)なども問われ始め、顧客に精神的な価値を訴求する「人間中心」のマーケティングへと進化しました。
・マーケティング4.0(自己実現): 顧客とのエンゲージメント(深い関係性)が軸となります。 ここで、顧客の購買プロセスを「認知→訴求→調査→行動→推奨」の5段階で捉える5Aモデル(カスタマージャーニー)が登場します。
・マーケティング5.0(テクノロジー活用): AIなどの高度な技術を駆使し、顧客一人ひとりへの価値提供を最大化する取り組みです。
これらの変化を理解し、自社の事業がどの段階にあるかを認識することが、次の一手を考える上で重要になります。
3.顧客は誰か?(ペルソナ設定見直し)
「あなたのお客様は誰ですか?」 この問いに、より深く、具体的に答えるための手法が「ペルソナ設定」です。ペルソナとは、自社のサービスや商品を最も象徴する「たった一人の架空の顧客像」のことです。
ペルソナを設定するメリットは4つあります。
・顧客視点での意思決定がしやすくなる
・顧客との共感ポイントが明確になる
・具体的なマーケティング施策が打ちやすくなる
・スタッフや関係者間で顧客像の共通認識が持てる
参考例として、BMWとレクサスのユーザーイメージの違いや 、主婦の渡辺沙織さん(32歳)の1日の生活を細かく書き出す事例、佐田まさしさんとめがね店の関係、などを通して、ペルソナを具体的に設定する方法を解説しました。
4.実店舗の集客施策 ― デジタルとアナログの融合
実店舗の集客ツールは多岐にわたりますが、大切なのはコストと効果の持続性です。 中小企業にとっては、SNSや個人のブログ、ニュースレターといった「低コストで持続性が高い」ツールを重視することが成功の鍵となります。
Web戦略の基本は、Google対策が最重要です。 特に、Googleマップと連携し、お店の基本情報や口コミが表示される「Googleビジネスプロフィール」の充実は必須と言えます。
また、情報発信は「3階層モデル」で考えると効果的です。
孫(フロー型メディア): X (旧Twitter)やInstagramなど、情報の流れが速いSNSで日常的に接点を持つ。
子(ストック型メディア): noteや独自ドメインのブログで、価値のある情報を資産として蓄積する。
親(成果の場): 最終的なゴールである自社の公式WEBサイト(商品購入、問い合わせなど)へ誘導する。
この3つを連動させ、お客様との関係を構築していきます。
5.生成AI活用 ― 仕事の効率と質を劇的に向上させる
今やビジネスに欠かせないツールとなった生成AI。 日清食品では、全社的にAIを導入し、マーケティング部門の利用率は90%を超え、一人あたり年間79時間の業務削減に成功したという事例もあります。
生成AIは、文章、画像、動画、音声など様々なものを創り出すことができ 、その進化スピードは驚異的です。
主な活用法は3つに大別できます。
【0→1】アイデア出し
【1→10】詳細化・具体化
【10→1】要約・整理
今回は、ChatGPTを中心に、PDFファイルやYouTube動画を要約する方法 、さらには自社独自の知識を学習させた「カスタムGPT(GPTs)」を作成し、社内ナレッジ共有や顧客対応に活用する方法などもご紹介しました。 AIを使いこなすことで、仕事のスピードは37%速くなり、質は20%向上するという研究結果もあります。
6.ファンダムと顧客の旅 ― お客様を「ファン」にする関係性づくり
最後のテーマは、顧客を単なる購入者ではなく、熱心な「ファン」として捉え、長期的な関係を築く「ファンダムマーケティング」です。
これには「愛着」「共感」「信頼」の3つの要素が欠かせません。
お客様との関係は「顧客の旅デザインMap」で考えることができます。 「見込み客」から「新規客」へ、そしてリピートしてくれる「固定客」へと関係性を深め、最終的にはブランドを応援してくれる「絆顧客」へと育てていくことが理想です。
その素晴らしい実践例として、津幡町の「スガイ書店」様の周年祭をご紹介しました。
101周年や103周年と続くイベントでは、手作りの企画や地域を巻き込んだお祭りを開催することで、お客様に喜んでもらい、書店との「絆」を育んでいます。 これこそが、デジタル時代におけるアナログな価値創造の真骨頂です。

このセミナーまとめ
これからの時代は、AIのような最新の「デジタル」の能力と、おもてなしや信頼関係といった「アナログ」の能力、その両方を融合させていくことが、お客様から選ばれ続ける秘訣です。
今回のセミナーが、能美市でビジネスを営む皆様の、明日からの集客活動のヒントとなれば、これほど嬉しいことはありません。
改めて、ご参加いただいた皆様、そしてこのような素晴らしい機会をくださった能美市商工会商業部会の皆様、本当にありがとうございました。皆様の今後のビジネスの成功を心より応援しております。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
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