毎日使うワードプレスにAIを組み込みたい。これが今回の目標です。OpenAIのAPI接続ならすでに多数のプラグインがあるので可能なはずです。
しかし、今回はOpenAIではなく、「さくらAI」とワードプレスのAPI接続にこだわりました。その理由は、日本国内での通信に限定して設定をしたかったからです。
WordPressと「さくらAI」のAPI接続の挑戦記録
なぜ「さくらAI」なのか?
WordPressサイトにAI機能を導入しようと考えたとき、多くの人がまず「ChatGPT (OpenAI)」を思い浮かべます。しかし、私は今回、国内の「さくらインターネット」が提供するAIプラットフォーム(さくらAI)との連携に挑戦することにしました。
理由は以下の通りです。
- データ主権: データを可能な限り国内で処理したい
- OpenAI互換API: さくらAIは「OpenAI互換API」を提供しており、既存のWordPressプラグインを流用できると期待しました
- 将来性: 国内企業のサービスとして、今後の展開に期待できる
- 成功事例:すでにGASを使った場合はうまく接続できている

とくにGASで「さくらAI」に接続できたという経験が大きいです。
今回の目標は、WordPressのAIプラグインを使い、APIの接続先を「OpenAI」から「さくらAI」に変更して、サイト上でAI機能(チャットボットなど)を動かすことです。
さくらAIの接続情報の確認
今回接続を試みる、さくらAI側の公式情報は以下の通りです。
- 使用モデル:
gpt-oss-120b - APIエンドポイント:
https://api.ai.sakura.ad.jp/v1/chat/completions - APIキー: (契約後に取得したキー)
このエンドポイント情報(特に .../v1/chat/completions というパス)が、プラグイン側で正しく認識・生成されるかが鍵となります。

さくらAIの詳細は上記の記事をご覧ください。
挑戦1:プラグイン「AI Engine」
最初に試したのは、人気プラグイン「AI Engine」(Meow Apps)です。
【結果:断念】 設定画面(Meow Apps > Settings > AI Providers)で接続先を設定しようとしましたが、無料版では「APIキー」の入力欄しか存在しませんでした。

さくらAIに接続するには、APIの接続先URL(API Base URL や エンドポイント)を指定する必要があります。この設定項目自体が無料版には見当たらず(上記画像参照)、これはPro版(有料版)の機能であると判断し、「AI Engine」での接続は断念しました。
挑戦2:プラグイン「AIPower」
次に、無料版でもカスタムエンドポイントの指定に対応していそうなプラグインとして、「AIP: Complete AI Toolkit for WordPress」(旧名: AI Power)を見つけました。
このプラグインは「Azure」や「Ollama」など多様なAIへの接続を謳っており、カスタムURLの指定に期待が持てます。
AIPower > Settings > Providers タブから設定を開始しました。
「AIPower」での試行錯誤の全記録

ここからが、今回行った試行錯誤の詳細です。
プラグインが、さくらAIの正しいエンドポイント(https://api.ai.sakura.ad.jp/v1/chat/completions)を呼び出せるように、Engine の種類や Base URL、API Version などの設定を様々に組み替えました。
API接続は成功し、モデルを「gps-oss-120b」に選択するなど、かなりいいところまで行きましたが、本日のところ完了できませんでした…。残念。
以下はその試行錯誤の記録です。
試行1:Engine: OpenAI での設定
最も標準的な OpenAI エンジンとして設定し、Parameters セクション内の Base URL と API Version を調整しました。
正しいドメイン https://api.ai.sakura.ad.jp を使用して、以下のパターンを試しました。
- パターンA (Base URLはドメインのみ / Version空欄)
Base URL:https://api.ai.sakura.ad.jpAPI Version: (空欄)- 結果: エラー。プラグインが
/v1を自動補完しなかったか、別のパスを生成したと推測。
- パターンB (Base URLにv1を含む)
Base URL:https://api.ai.sakura.ad.jp/v1API Version: (空欄)- 結果: エラー(404 または Failed)。プラグインが
/v1を二重に付与(.../v1/v1/...)したか、別の理由でURLの組み立てに失敗した模様。
- パターンC (Base URLにv1/ を含む)
Base URL:https://api.ai.sakura.ad.jp/v1/(末尾スラッシュ追加)API Version: (空欄)- 結果: エラー。
- パターンD (Base URLはドメインのみ / Versionにv1)
Base URL:https://api.ai.sakura.ad.jpAPI Version:v1- 結果: エラー(404)。パターンBと同様にURLの組み立てがうまくいかない。
- パターンE (Base URLに全パス指定)
Base URL:https://api.ai.sakura.ad.jp/v1/chat/completionsAPI Version: (空欄)- 結果: エラー。
- パターンF (Base URLはドメインのみ / Versionにパス指定)
Base URL:https://api.ai.sakura.ad.jpAPI Version:v1/chat/completions- 結果: エラー。
試行2:Engine: Azure での設定
OpenAI 設定でのURL組み立てがうまくいかないため、カスタムエンドポイント接続の専用機能である Azure モードを流用できないか試しました。
Engine:AzureDeployment:gpt-oss-120b(さくらAIのモデル名を指定)API Key: (さくらAIのキー)Endpoint URL:https://api.ai.sakura.ad.jp(ドメインのみ指定)- 結果: エラー。
Azureモードは、プラグインがAzure特有のパス(.../openai/deployments/...)を自動生成します。さくらAIのAPI(.../v1/chat/...)が、このAzure形式のリクエストパスに対応していないため、接続できなかったと推測されます。
まとめと今後の展望

【現状の結論】 2025年11月現在、WordPressの無料プラグイン(AI Engine および AIPower)を使用して、さくらAIのOpenAI互換API(https://api.ai.sakura.ad.jp/...)に接続しChatを稼働させることは、残念ながらできませんでした。
【考えられる原因】
- プラグインの仕様限界:
AIPowerの無料版では、OpenAI設定のBase URL変更機能が、標準的なOpenAI互換API(.../v1)のURLを正しく組み立てられない仕様(またはバグ)である可能性が濃厚です。 Azureモードの非互換:Azureモードは、さくらAIのAPIが想定するパス形式とは異なるURLを生成してしまうため、流用できませんでした。
【今後の展望と再チャレンジの可能性】 今回の挑戦は失敗に終わりましたが、環境の変化次第で使えるようになる可能性は十分にあると考えています。
- プラグインのアップデート:
AIPowerがアップデートされ、Base URLの処理が改善されれば、今回試した「パターンB」(Base URL: .../v1,API Version: (空欄))などで接続できる可能性があります。 - Pro版の利用: 「AI Engine」や「AIPower」のPro版(有料版)を利用すれば、
API Base URLを正しく指定でき、接続できる可能性は非常に高いです。 - 他のプラグインの登場: 無料でOpenAI互換APIのエンドポイントを柔軟に設定できる、別のプラグインが登場するかもしれません。
この記事が、将来同じ挑戦をする方、または未来の自分自身の備忘録として役立つことを願っています。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
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