「車のスピードメーターと、スマホのナビ(Googleマップ)の速度表示がズレている……」 運転中にそんな違和感を抱いたことはありませんか?
12月23日、愛車のアクアで福井へ向かった際、「実測距離」「トリップメーター」「GoogleマップのGPS速度」の3つを比較し、その誤差を検証しました。
さらに今回は、「なぜズレるのか?」について、日本の法律やメーカーの設計思想などの裏付け情報も調べてみました。すると、車のメーターの意外な真実が見えてきました。
Googleマップと車のメーターどっちが正確なのか?
【距離の検証】トリップメーターはまずまず正確でした

まずは走行距離の比較です。本来の移動距離が「84km」の区間を走行し、アクアのメーターがどう動くかを確認しました。
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実際の距離: 84.0km
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アクアのメーター: 85.2km
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結果: +1.2km(誤差 約1.4%)
わずかにメーターの方が多く表示されましたが、誤差はたったの1.4%。 自動車の距離計(オドメーター/トリップメーター)は、保安基準でも±4%以内程度という比較的厳しい精度が求められており、速度計に比べると実測値に近い数値が出る傾向にあります。
この程度の誤差は、タイヤの空気圧や摩耗具合(溝が減るとタイヤが小さくなり、回転数が増える)で十分に起こりうる範囲です。「距離」に関しては、車のメーターを信頼して問題なさそうです。
【速度の検証】メーターとGoogleマップで「約10%」もの差が!

衝撃的だったのがスピードメーターの表示です。 高速道路を一定速度で走行中、アクアのメーターとGoogleマップ(GPS計測)を比較した証拠写真がこちらです。
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アクアのメーター表示: 85km/h
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Googleマップの表示: 77km/h
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その差: 約8km/h(誤差 約10.4%)
なんと、メーターの方が10%以上も速く表示されていました。Googleマップが壊れているのでしょうか?それとも車?
結論:Googleマップが「実速」に近い
調べてみたところ、このズレは**「車の仕様」として正常**なものでした。これには日本の法律が深く関わっています。
【理由:道路運送車両の保安基準】 日本の車検基準(保安基準第148条)では、スピードメーターの誤差について以下のように定められています。
「スピードメーターの表示速度は、実際の速度よりも少なくてはならない」
つまり、実速が100km/hのときにメーターが90km/hと表示される(実際より遅く表示される)ことは法律で禁止されています。逆に、多めに表示されることには許容範囲が設けられています。
そのため自動車メーカーは、タイヤの摩耗や空気圧の低下で誤差が出たとしても絶対に「実速以下」にならないよう、**あらかじめメーターを実速より5〜10%程度速めに表示するよう設計(安全マージン)**しています。
対して、GoogleマップなどのGPS速度計はタイヤの状態に影響を受けず、衛星からの位置情報で計算するため、一定速度で走行している時はこちらの方が「実際の速度」に近いと言えます。
【燃費の真実】表示燃費は「5〜8%」差し引いて見るべし

この「距離」と「速度」の検証結果から、アクアの「燃費表示」の読み方もわかってきました。
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距離が1.4%水増しされている(実際より長く走った計算になる)
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速度(回転データ)が高めに見積もられている
この2つの要素に加え、一般的に車載燃費計の計算は、実際の燃料噴射量よりも甘め(良い数値)に出る傾向があります。 アクアをはじめとする多くの日本車では、メーターに表示される燃費は、実燃費(満タン法)よりも5〜10%ほど良い数字になりがちです。
【対策】 メーターに「25.0km/L」と表示されていても、実際は「23.0〜23.5km/L」(表示の約0.92倍)程度だと思っておくと、給油の際にガッカリせずに済みそうです。
まとめ

今回の福井ドライブ検証でわかった「正しいメーターの見方」はこちら。
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スピード: メーターは「ハッピーメーター(多めの表示)」。実速を知りたい時はGPS(Googleマップ)の方が正確だが、安全運転のためにはメーター読みでOK。
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距離: かなり正確。メンテナンス時期や目的地までの距離計測には十分信頼できる。
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燃費: 「ちょっと盛っている」可能性大。表示の1割引くらいで考えておくのが吉。
自分の車の「クセ」を数字で把握できると、いつものドライブが少し面白くなりますね。皆さんも高速道路を走る際は、助手席の方にナビの速度を見てもらって、愛車の誤差をチェックしてみてはいかがでしょうか?
出典・参考情報
この記事の執筆にあたり、以下の情報を参照・検証しました。
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国土交通省:道路運送車両の保安基準(第148条 スピードメーターの規格) 実際の速度(V1)とメーター表示速度(V2)の関係において、平成19年以降の製造車は「10(V1-6)/11 ≦ V2 ≦ (100/90)V1」といった計算式を用い、「実速より低い表示」を禁止しています。 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr7_000007.html
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JAF(日本自動車連盟):クルマのメーターと実速度の誤差について タイヤの外径変化やメーターの許容誤差について解説されています。 https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-construction/subcategory-structure/item-c0505
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GPSの速度計測精度について(Google Maps Help) GPSによる速度計測は、障害物がない環境下での一定走行時には高い精度を持ちますが、トンネル内などでは誤差が生じる可能性があります。 https://support.google.com/maps/answer/3092445?hl=ja

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遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
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