消費者の立場では、コロナ以降、お店でのお買い物が便利になったって感じたことありませんか?それ、実は「デジタル化」のおかげなんです!今や小売業界では、デジタルツールを活用することが、競争力を保つために不可欠になってきています。
コンビニや大型ショッピングセンターでは、キャッシュレス決済が当たり前になり、私たち消費者はその利便性を日々実感しています。たとえば、スマートフォンだけでお会計が完了するなんて、10年前までは想像できなかったのではないでしょうか。小売業界は今まさに未来が到来している感じです。
小売店はデジタル化対応を急ぎましょう
小売業界の将来性は明るくない
しかし、今の小売業界は楽観視できない状況です。矢野経済研究所の予測によれば、2022年から2030年までに市場規模が14%減少すると言われており、これからは生き残りをかけた戦いがますます厳しくなります。
上記のグラフは矢野総合研究所の「2030年の小売市場に関する調査を実施(2023年)」からの引用です。
人口減少やライフスタイルの変化などで市場規模が小さくなっていくことが予測されています。つまり普通に努力したとしても売上が減少していく可能性が高いわけです。
このような環境変化の中で、小売店がどうお客様にとって価値のある存在になれるかが、今まさに問われています。
実店舗のデジタルツール導入事例
では、具体的にどのようにデジタルツールが導入されているかを見ていきましょう。
上記はセールスフォース社の事例紹介記事です。多数のDX化事例が掲載されているので参考にしてください。
例えばひとつ具体例をあげてみましょう。コンビニ大手では、AIを使った半自動発注システムを導入することで、個々の店舗の品揃えを最適化し、欠品や過剰在庫を削減しています。また、スマホレジやセルフレジの導入で、レジ対応時間を短縮し、従業員の負担を大幅に軽減しています。
このように小売店舗の現場はどんどんデジタル化が進んでいるのです。
無印良品はオムニチャネル展開
無印良品では、「MUJI passport」というアプリを活用して、顧客にポイントを付与するサービスを提供しています。
https://www.ryohin-keikaku.jp/sustainability/pdf/MUJI_REPORT_2023_J_Spread.pdf
上記のレポートにも「MUJI passport」が顧客との関係を深める重要なツールだとして紹介されています。顧客のレビューや意見が商品改善に活用され、満足度向上に貢献しています。マイル制度によりレビュー数が増加し、顧客のエンゲージメントが高まっています。このアプリの効果でブランド価値も向上しています。
顧客は店舗に足を運ぶ理由が増え、さらにアプリから店舗の在庫確認ができるため、在庫切れで無駄足を踏む心配がなくなりました。このアプリは4年間で1,000万ダウンロードを記録し、顧客満足度の向上にもつながっています。
デジタルで在庫管理
さらには、スマートマットクラウドのような在庫管理システムを導入すれば、リアルタイムで在庫を自動管理し、欠品や過剰在庫を防ぎながら、管理コストも削減できます。これにより、在庫管理の効率が飛躍的に向上し、人手不足の解消にも寄与します。
デジタル化の効果
「じゃあ、デジタル化で何が変わるの?」と思うかもしれませんが、実際に大きな変化が起きています。先ほどの事例でもわかるように、売上が向上したり、在庫管理のミスが大幅に削減されたりするなど、デジタル化の効果は目に見えて現れています。
例えば、ローソンでは在庫管理の効率化が進み、レジ対応の手間も削減。無印良品のMUJI passportでは、店舗来店数が増え、顧客満足度も向上しました。さらに、在庫管理システムの導入により、ヒューマンエラーの減少と作業効率の大幅な向上が実現しています。
デジタル化、導入の課題と解決策
もちろん、デジタル化には課題もあります。導入コストや従業員のトレーニング、そしてどのシステムを選ぶべきかなど、考えるべきことがたくさんあります。
しかし、これらの課題はクリアできます。例えば、サブスクリプション型のシステムを利用すれば初期コストを抑えられ、オンライン研修を活用すれば従業員教育のハードルも低くなります。
今後の展望と対策案
さて、これからの小売業界はさらにデジタル化が進むでしょう。
企業が選ぶ2つの道
ここで、企業が選べる道は2つあります。
1つ目は、徹底的に利便性を追求すること「モノにフォーカスする」
これは、テクノロジーを活用して、消費者が簡単で快適に買い物できる環境を整えることを指します。例としては、無人レジ、スマホ予約システム、キャッシュレス決済、または宅配サービスの導入などが挙げられます。これにより、お客さんが手間なく商品を購入でき、時間を節約することが可能です。
たとえば、レジの無人化や商品をスマホで予約してスムーズに受け取れるシステムなど、お客さんにとって便利な店舗を目指す方法です。
ただし、イオンなど大型ショッピングセンターやネット大手のAmazonなどと真っ向から対決するような対策になるため、資本力やヒューマンリソースの点で不足感は否めません。「モノにフォーカス」しすぎると勝ち切るのは難しい選択になるかもしれません。
2つ目は、情緒的な価値を提供すること「ヒトにフォーカスする」
「ヒトにフォーカスする」ということです。利便性だけでなく、地域密着型の温かみのあるサービスや、他では体験できない特別な価値を提供することで、顧客に深い感情的なつながりを築いてもらうことを重視していくということです。
たとえば、店員とのコミュニケーションを大切にしたり、地域の文化や人々のニーズに応える商品やイベントを企画したりすることで、「この店を大事にしたい、応援したい」と思ってもらえる店舗作りを目指します。
地域に根ざした温かいサービスや、他にはない体験を提供して、「この店を応援したい!」と思ってもらうことが大切です。顧客との絆作りがしっかりできているお店は価値があります。
顧客から「意味がある」と思われるようなお店にしていくことが重要です。
当社としては、「ヒトにフォーカス」して「顧客から喜ばれるようなお店を作っていく」という支援を軸にしています。
いずれにしてもデジタル化は必須
しかし、この2つの道のどちらを選んだとしても、「しくみとしてのデジタル化」は避けられません。
利便性を追求するには当然、テクノロジーが不可欠ですし、情緒的な価値を提供するにも、デジタルツールを使った顧客とのつながりがカギとなります。これからの時代、小売店が生き残るためには、デジタル化を積極的に進めていくことが重要です。
まずはレジをデジタル化すること
小売やサービス業のお店なら、レジをタブレットにしたスマートレジ運用が第一歩です。
スマートレジはお会計だけじゃなくて、売り上げ管理や在庫管理まで自動でやってくれる優れモノなんです。会計システムやクラウバンキングとデータ連携すれば、銀行記帳しなくても自動的に仕訳もしてくれます。これは便利です。
データをつなげば合理化が進みお客様にも喜んでもらえます
さらにCRMツールを使えば、お客さんの購入履歴や好みを分析して、個別にオススメ商品を提案することも可能になります。
オンライン予約システムを導入すれば、来店前にお客さんがスムーズに予約できて、店舗の混雑も減らせます。どのツールも導入してみると、「これ、なんでもっと早く使わなかったんだろう?」って思うくらい便利です。
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この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
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