2026年8月28日(金)、公益財団法人いしかわ農業総合支援機構(INATO)が主催する「いしかわ耕稼塾 経営革新スキルアップコース」で、財務の講師を担当しました。全3回シリーズの第1回です。この記事は開催の記録と、受講生のみなさまへの次回以降のご案内を兼ねています。

いしかわ耕稼塾 経営革新スキルアップコースで登壇しました
いしかわ耕稼塾は、石川県内で農業を担う人材を育てるための研修制度です。新規就農を目指す方向けのコースから、すでに経営を回している農業者向けのコースまで段階が分かれています。今回登壇した「経営革新スキルアップコース」は、そのなかでも経営者層を対象とした内容にあたります。
受講生は7名。当日は2名が欠席で、5名の方にご参加いただきました。この人数だからこそ、一方通行の講義ではなく、その場で手を動かして計算してもらい、答えを口に出してもらう進め方ができます。実際、当日は演習と質疑の時間を多めに取りました。

昨年の様子は上記のとおりです。
この講座で目指すこと
財務の勉強会というと、簿記の勉強を思い浮かべる方が少なくありません。しかしこの3回シリーズのゴールは、簿記の資格を取ることではありません。
財務諸表を、自分の経営判断の物差しとして使えるようになること。これを最初に共有してからスタートしました。
決算書は税理士さんに任せてあるから見ない、という農業経営者は今も多くいらっしゃいます。ですが、設備投資をするかどうか、借入をどう返していくか、どの作目に力を入れるか。こうした判断の材料は、すべて自社の数字のなかにあります。数字を読めるようになると、判断の精度が上がり、迷う時間が減ります。
第1回では、損益計算書と貸借対照表という2つの財務諸表がそれぞれ何を示しているのか、その役割の違いから入りました。そのうえで、利益と現金収支は別物であること、業種によって収益の構造がまったく違うこと、企業を比較するときは金額ではなく比率で見ることを、演習を交えて確認しています。
後半は、実在する企業や農業法人の数字を題材にしたケーススタディです。財務諸表を数年分並べて推移を追うと、その企業がいつ設備投資をしたのか、どんな経営判断をしてきたのかが読み取れます。この「数字から経営行動を推測する」感覚をつかんでいただくことに時間を割きました。
受講生のみなさんからは、判断の根拠として具体的な指標が次々と挙がり、こちらが想定していたよりも活発なやり取りになりました。すでに経営を担っている方々ばかりなので、話が実務に直結するのだと思います。
受講生のみなさまへ:次回までのご準備
第1回にご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。次回までの課題とお願いを、あらためてこちらに記しておきます。
- 資料は必ずお持ちください:当日配布した資料は、第2回・第3回でも継続して使用します。紛失しないようご注意ください。
- A社とB社の比較:冒頭の演習で提示した2社について、どちらが良い会社か、あらためて検討しておいてください。第1回で学んだ見方を使うと、最初の直感とは違う答えになるかもしれません。
- 自社のコスト構造の計算:ご自身の事業のコスト構造を算出し、ビジネスモデルを分析してみてください。損益計算書と貸借対照表を、それぞれ個別に確認する形で進めます。
- 感想文の作成:講義を振り返り、所感をまとめてください。
欠席された2名の方も、資料の受け取りについては事務局にご確認のうえ、次回からご参加ください。第1回の内容は第2回以降の前提になりますので、資料に目を通しておいていただけると理解が進みます。
次回は損益分岐点分析を扱います
第2回は、損益分岐点分析を掘り下げる予定です。第1回で確認した原価の構造が、そのまま「いくら売れば黒字になるのか」という実務の問いにつながっていきます。自社の数字を当てはめながら進めますので、直近の決算書をお手元にご用意ください。
第3回まで通して受講いただくと、収益性・安全性・効率性という3つの角度から自社を点検できるようになります。1回だけでは断片的に見えた指標が、3回目でひとつの流れとしてつながる構成です。
なお当日は、市町村の特定創業支援等事業による支援を受けて会社を設立する場合、株式会社の設立にかかる登録免許税が軽減される制度についても情報共有しました。法人化を検討されている方は、お住まいの市町の窓口で確認しておくとよいと思います。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
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