2026年8月28日(金)、金沢市鞍月の石川県地場産業振興センター、通称「地場産」で、石川県中小企業団体中央会主催の「生成AI活用セミナー(組合事務局向け)」が開催されました。私、株式会社ドモドモコーポレーション代表の遠田幹雄が講師を担当しました。

会場となった新館5階の第12研修室には多くの方にご参加いただき、生成AIに対する関心の高さが伝わってきました。ご参加いただいた皆さま、開催に向けて準備してくださった関係者の皆さま、ありがとうございました。
8月28日は「組合事務局向け」の生成AI活用セミナー
今回の対象は、中小企業組合などの事務局で働く皆さまです。組合事務局では、組合員への案内文書、会議の議事録や会議録、資料からの情報抽出、事業企画、データ整理、報告書作成など、多くの情報を扱います。
これらは生成AIと相性のよい仕事です。一方で、組合員情報や社内情報を扱うため、便利さだけでなく、情報管理や確認手順も欠かせません。そこで今回は、生成AIの基本から実務での活用方法、安全に使うための注意点までを、具体例と実演を交えながらお話ししました。
AI活用の本質は「どのAIを使うか」より「どう組み込むか」
ChatGPT、Gemini、Claudeなど、生成AIの選択肢は急速に増えています。新しいサービスやモデルが登場するたびに、「どのAIが一番賢いのか」が話題になります。
しかし、仕事で成果を出すうえで本当に重要なのは、AIの順位を決めることではありません。業務のどこにAIを置くのか、どの情報を参照させるのか、どこで人が確認するのかという「設計」です。
たとえば、案内文書を作る場合も、最初から最後までAIに丸投げするのではなく、過去の案内文や開催要項を資料として与え、下書きを作らせ、最後は担当者が日付、会場、対象者などを確認します。この流れを決めることで、生成AIを安全で実用的な道具として使いやすくなります。
生成AIとAIエージェントの違いも解説しました
今回の講義では、生成AIとAIエージェントの違いについても紹介しました。
生成AIは、人が一つずつ指示を出し、その場で回答を得る「一問一答の道具」です。一方のAIエージェントは、目的を受け取ると、必要な作業の順番を考え、道具を選び、結果を確認しながら次の処理へ進む「動く担当者」に近い仕組みです。
ただし、中小企業や組合で、最初から完全自動のAIエージェントを目指す必要はありません。定型的な処理はプログラムでつなぎ、判断が必要な部分だけAIに任せ、公開や送信の前に人が確認する形でも、十分に大きな効果が期待できます。

「最強のAI」ではなく、役割に応じて使い分ける
私が実践しているのは、複数のAIや業務ツールを目的に応じて組み合わせる「AIオーケストレーション」です。
オーケストラで指揮者が各楽器の役割や演奏の順番を整えるように、人間やプログラムが、AI、データ、外部ツールの役割と処理順序を調整します。情報収集はこの仕組み、文章の整理はこのAI、数値計算はプログラム、最終判断は人間というように、得意分野を組み合わせます。
大切なのは、使うAIの数を増やすことではありません。正確さ、処理時間、利用料金、安全性、保守のしやすさのバランスを考え、必要なものだけを組み合わせることです。

Google WorkspaceとGASで業務の流れをつなぐ
実践例として、Google Workspace、Gemini、GASを組み合わせた業務改善も紹介しました。
GASは「Google Apps Script」の略で、Gmail、Googleドライブ、スプレッドシート、カレンダーなどを連携し、決められた作業を自動化する仕組みです。専用ソフトをパソコンに入れなくても、Webブラウザ上で利用できます。
たとえば、次のような仕組みを作れます。
- 共有メールから未対応の案件を見つけ、一覧にする
- 会議の音声メモや議事録を要約し、報告書の下書きを作る
- 複数の資料から必要な情報だけを抽出して整理する
- スプレッドシートのデータを集計し、定期的に担当者へ通知する
- 案内文書やメールの下書きを作り、送信前に人が確認する
派手な仕組みを一度に作るより、毎日または毎月繰り返している仕事を一つ選び、小さく自動化する方が定着しやすく、効果も確認しやすくなります。

GASはGoogleが提供しているスクリプトです。JAVA形式で記述する「Google Apps Script」のことを指すことが多いですが、ノーコードで記入できる「Google App Sheet」もGASといわれています。
簡易な開発案件ならGASで可能になりました。エクセルのような仕様なら、IT事業者に外注しなくても社内で開発し運用することも可能です。
便利さと同時に、3つの注意点を押さえる
生成AIを仕事で使う際には、主に次の3点に注意が必要です。
- 誤った回答が混ざる可能性があるため、人が内容を確認する
- 機密情報や個人情報を安易に入力せず、会社として利用環境とルールを決める
- 文章や画像を公開する前に、著作権や既存の知的財産に問題がないか確認する
AIは便利ですが、責任まで引き受けてくれるわけではありません。とくに外部へ公開する文章、送信するメール、契約や金額に関わる処理には、人による確認を残すことが重要です。
また、組合として、企業としてAIを活用するにあたっては「AIガイドライン」の作成をして自ら遵守するという運用体制にするのがよいです。

まずは身近な繰り返し業務から始めましょう
今回のセミナーでお伝えした結論は、生成AIを特別な技術として眺めるのではなく、日常業務の流れの中に小さく組み込んでみることです。
メール整理、議事録、案内文書、データ集計など、時間はかかるものの手順がある程度決まっている仕事は、最初の候補になります。「すべて自動化する」のではなく、「分類だけ任せる」「下書きだけ作らせる」「最後は人が確認する」という形から始めると、安全に効果を確かめられます。
生成AIは、使うこと自体が目的ではありません。事務局の負担を減らし、組合員への支援や新しい企画など、人にしかできない仕事へ時間を振り向けるための道具です。今回のセミナーが、それぞれの職場で最初の一歩を考えるきっかけになればうれしく思います。
9月は中小企業向けの3回シリーズが続きます

8月28日の組合事務局向けセミナーに続き、9月には石川県中小企業団体中央会主催による、中小企業の経営者・担当者向けの生成AI活用セミナーを3回にわたって担当します。
生成AIの基礎と最新動向、実践ワーク、GASとGeminiを使ったAIアプリ作成へと段階的に進む内容です。開催概要は、当ブログの「中小企業のための生成AI活用セミナーで講師を務めます」で紹介しています。

あらためて、8月28日のセミナーにご参加いただいた皆さま、石川県中小企業団体中央会をはじめ関係者の皆さまに御礼申し上げます。ありがとうございました。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
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