毎朝4時。私が目を覚ます前の夜明け前には、本日のブログ記事の下書きがすでに完成しています。
文字数は5000文字超。最新のニュースやSNSのトレンドを踏まえ、過去記事への内部リンクまで適切に配置された、非常に質の高いプレーンテキストです。あとはこれをWordPressに貼り付け、Geminiの画像生成AI「Nano Banana」で作成した挿絵を数点添えるだけで、その日の情報発信が完了します。
今回は、私が試行錯誤の末に構築した「ブログ記事を書くAIエージェント」である「どもどもAI」を作成した裏側とシステムを組み合わせた自動化の仕組み、そして「AIは運用しながら育てるものだ」という強力な気づきについて解説します。
ブログを書くAIエージェントはGASで作りました
このAIエージェント「どもどもAI」はGASで作りました。全体のシステム構成図は以下のとおりです。


GASはGoogleが提供しているスクリプトです。JAVA形式で記述する「Google Apps Script」のことを指すことが多いですが、ノーコードで記入できる「Google App Sheet」もGASといわれています。
簡易な開発案件ならGASで可能になりました。エクセルのような仕様なら、IT事業者に外注しなくても社内で開発し運用することも可能です。
Google Apps Script (GAS) は、Google が提供する 無料のクラウド型プログラミング環境 です。JavaScript をベースにしており、Google の各種サービス(スプレッドシート、Gmail、カレンダーなど)を簡単に連携・自動化することができます。ブラウザ上で動作するため、インストールは不要で、初心者でも手軽に始められるのが特徴です。
この「どもどもAI」は2月16日から毎日ブログ記事を投稿しています。

「どもどもAI」というAIで調査分析し記述しているニュースです
このカテゴリにて公開していますので、ご覧になってみてください。
GASとGeminiが連携する「頭脳」:企画から執筆までのプロセス
システムの中核を担うのが、情報収集から記事執筆までを行う「メインのGAS」です。このプログラム(Code.gs)は、毎日以下のようなステップで自律的に稼働しています。
WordPressからの情報収集は安全性を優先した「メール連携」
この自動化システムを構築するにあたり、最初にぶつかった壁が「自社ブログ(過去記事)の最新情報取得」でした。 AIエージェントに「過去にどんな記事を書いたか」を把握させ、重複を防ぎつつ記事のテイストを学ばせて内部リンクを張らせるためには、最新10件ほどの記事データを毎日読み込ませる必要があります。
最初はGoogle Apps Script(GAS)から直接WordPressのデータをスクレイピングしようと試みました。しかし、WordPress側のセキュリティが非常に固く、アクセスがブロックされてしまったのです。
セキュリティレベルを下げればGASから直接情報を取得することも可能でしたが、企業ブログにおいて安全性を犠牲にするのは本末転倒です。そこで視点を変え、「WordPress側から深夜0時に自動でメールを飛ばす」という仕組みを採用しました。最新記事10件のテキスト情報だけを抽出し、指定のGmail宛に送信するのです。
GASはそのGmailを読みに行き、安全に過去記事データを取得する。少しアナログに思えるかもしれませんが、セキュリティと自動化を両立させる、非常に堅牢なバイパスルートが完成しました。
GASで広範な情報収集(インプット)
まずは材料集めです。IT系ニュース、ビジネス系メディア、官公庁の発表など、数十個のRSSフィードを巡回します。
さらに、Googleドライブに保存されたX(旧Twitter)の最新トレンド情報(3日以内の鮮度チェック付き)も読み込みます。ここに、先ほどの「メール経由で取得した自社ブログの過去記事リスト」が合流します。

GeminiAPIを使って企画会議(プロンプトによる思考)
集めた膨大な情報をそのまま使うのではなく、Gemini APIを呼び出して「企画会議」を行います。
AIに対して「あなたはプロのブロガーです。収集したニュースとXのトレンドから、経営者に刺さる今日のテーマを1つ決定してください。また、過去記事リストから最も関連性の高いものを1つ選び、内部リンクの計画を立ててください」と指示を出します。
これにより、単なるニュースの要約ではなく、独自の視点を持った「ブログの骨格」が生成されます。

またマンネリを防ぐためのしくみとして、あらたに曜日ごとの記事テイスト設定を加えました。
曜日ごとの記事テイスト(テーマ)設定// ※ 0:日曜日 〜 6:土曜日。後から自由に変更可能です。const THEME_SCHEDULE = {0: “マーケティング・顧客の視点”, // 日曜日1: “AIやIT”, // 月曜日2: “企業のDX”, // 火曜日3: “マーケティング・顧客の視点”, // 水曜日4: “中小企業経営と補助金”, // 木曜日5: “AIやIT”, // 金曜日6: “企業のDX” // 土曜日
この記事テイスト設定が有効化しはじめたのは本日の「どもどもAI」の記事からです。月曜日なので「AIやIT」の記事を書いています。明日は火曜日なので「企業のDX」がテーマの記事を書くはずです。
GeminiAPIで本格執筆と新規ファイルの作成
企画が固まったら、再度Geminiに執筆を指示します。HTMLタグの見出し(h2, h3など)のみを使用し、Markdown記法を使わないプレーンテキスト形式で、約5000文字の読み応えのある記事を一気に書き上げます。
完成したテキストは、その日の日付をタイトルにした新規Googleドキュメントとしてドライブに保存されます。このドキュメントには、AIが何を考え、どういうソースを元に記事を書いたかという「思考ログ」も残るように設計しています。

仕上げの自動化:コピペですぐに使える固定ドキュメントへ
メインのGASが日々のアーカイブ(新規ファイル)を作成する一方で、「日々のブログ更新作業を極限までラクにする」ためのもう一つの仕組みがあります。
それは、別のGASを使った「固定ドキュメントの上書き処理」です。 先ほど作成された新規ファイルから、純粋な「ブログ記事下書き部分」だけを抽出し、常に同じURLのGoogleドキュメント(本日のブログ記事下書き用)に上書き保存をかけます。
このようにした理由は、日々作成されるファイルがかなりの長文で私がここから該当部分を探し出すのもたいへんだということもあります。
▼これは2026年2月23日のGoogleドキュメントの内容です(約50ページの分量になっています)
このしくみにより、私は毎朝「決まったURLのドキュメント」を開き、そこにある完成済みのテキストを全選択してWordPressに貼り付けるだけで済みます。ファイルを探す手間すら省く、こだわりのUX(ユーザー体験)です。
AIエージェントは「運用しながら育てる」のが最適解

テキストを貼り付けた後、内容を最終確認し、Geminiの「Nano Banana」モデルで記事の内容に合った高品質なイラストを数点生成して挿入します。少し体裁を整えることはありますが、本文の骨格や論理展開は、AIが書いたものをほぼそのまま使えるレベルに達しました。
最初からこのクオリティだったわけではありません。 「過去記事のリンクが不自然だ」「見出しの階層がおかしい」「このテーマは読者に刺さらない」など、毎日の運用の中で見つかった課題に対し、GASのコードやGeminiへのプロンプト(指示文)を少しずつ調整してきました。
このプロセスは、まるで新入社員に自社の業務フローや執筆のトーン&マナーを教え込み、優秀な「AI社員」へと育てていく感覚に非常に似ています。 完璧なシステムを最初から目指すのではなく、まずは動かし、運用しながらスキルを向上させていく。これこそが、現在の生成AIをビジネスで最も有効に活用するアプローチだと強く感じています。
凄さと表裏一体:AIエージェントのセキュリティリスクに対する考え方

最近、X(旧Twitter)などのSNSを見ていると、Claude Code(クロードコード)やOpenClaw(オープンクロー)、あるいはGoogleのAntigravity(アンチグラビティ)といった技術を使ったAIエージェントの話題で持ちきりです。目的を与えるだけで、まるで優秀な「AI社員」のように自律してタスクをこなしていく姿には、ただただ「すごいな」と感心させられます。
しかし、その圧倒的な便利さに惹かれる一方で、どうしても拭いきれないのがセキュリティへの不安です。
例えば、AIエージェントがPCのハードディスクの中身や、Googleドライブ内のあらゆるファイルを参照し、移動や編集まで行えるというのは非常に魅力的です。ですが、裏を返せば、意図しない機密ファイルの読み取りや、誤ったデータの削除といった重大なリスクと常に隣り合わせであるとも言えます。
さらに、Freee(フリー)やkintone(キントーン)といった基幹系のクラウドサービスとAIを直接接続し、自律的に情報収集やデータの書き込みを行わせる高度な活用例も出てきています。業務効率化の究極形ではありますが、「もしAIが勝手な振る舞いをして、顧客データや財務情報を破壊してしまったらどうするか」という懸念は、企業として無視できるものではありません。
便利だからといって、いきなり会社の心臓部をAIに明け渡すのは時期尚早です。
だからこそ、私は当面の間、今回構築したブログ作成システムのように「安全性が担保されたGoogle Workspaceの枠内」で、なおかつ「限定的なタスクの運用」にとどめる方針です。まずは人間側がしっかりと手綱を握れる安全な環境で、AIエージェントの特性や使い方に慣れていくこと。
AIを運用しながら育てていくのと同様に、私たち人間側も「AIを安全に管理するスキル」を運用の中で育てていく必要があると強く感じています。
本格的な「AI社員」に幅広い権限を委任するのは、私たちがAIの振る舞いを完全に予測し、コントロールできるようになってからのステップとなるでしょう。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
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