2026年9月18日(金)、金沢市鞍月の石川県地場産業振興センターで、石川県中小企業団体中央会主催「Geminiで始めるGAS業務アプリ体験研修」の最終回を開催しました。講師は前回と同じく、私、株式会社ドモドモコーポレーション代表の遠田幹雄と、中小企業診断士の古賀大介さんの2名です。

このシリーズは3回構成でした。9月4日の座学「生成AIの最前線を知る」で基本を学び、9月11日にはおみくじWebアプリを全員で公開しました。そして今回の最終回では、参加者の皆さまが自社の業務を題材に、自分だけの業務アプリを試作しました。
前回(おみくじアプリ編)の開催報告はこちらです。

最終回は「宿題」を持ち寄るところから始まりました
前回、参加者の皆さまに宿題をお願いしていました。「次回までに、作ってみたい業務アプリを一つ考えてくること」です。
冒頭では、前回作ったおみくじアプリを1回だけ動かしてもらいました。スプレッドシートの「履歴」に新しい行が増えることを確認し、手元に宿題のメモを置きます。これが最終回の準備運動です。1週間空いても、URLとスプレッドシートさえ残っていれば、すぐに続きから再開できます。
事例は「完成画面」ではなく「構造」で紹介しました
制作に入る前に、私が実務で使っているGASアプリをいくつか紹介しました。
- メール管理:Gmailを取得し、内容を判定して一覧化・通知する
- 写真日報:現場の写真を整理・要約して日報にする
- 音声メモのライフログ:音声メモをGeminiが要約し、日次・週次の記録に残す
- アクセス解析・財務分析:正確な計算はGAS、意味の説明はAIが担当する
- ブログ作成の自動化:ニュース収集から下書き保存までを順番に制御する
ただ、お見せしたかったのは画面の派手さではありません。どのアプリも「情報 → GAS(取得・計算) → AI(分類・要約) → 保存 → 人間(確認・判断)」という同じ流れに分解できる、という点です。前回のおみくじと、基本の構造は変わりません。そして、最後は必ず人間が確認する場所を残しています。
グループで質問し合い、作る範囲を小さくしました
次はグループディスカッションです。各自が宿題の業務案を短く説明し、ほかのメンバーが質問します。「入力は何ですか」「結果は誰が見るのですか」と聞かれるうちに、ぼんやりしていた困りごとが具体的な仕様に変わっていきます。
ここで大事にしたのは、グループの案を一つにまとめないことです。題材は一人ひとり違って構いません。そのかわり、全員に「最初に動かす機能を一つに絞る」ことをお願いしました。入力は1種類、処理は1つ、保存先も1つ。権限管理や例外対応、本番データでの運用は後回しです。「全部入り」を目指すより、一つ動くものを作ってから育てるほうが、結局は早く形になります。
7項目をそのまま、Geminiへの指示文にしました
前回お伝えした7項目(困りごと・利用者・入力・処理・保存・出力・人間の確認)を穴埋めすれば、そのままGeminiへの最初の指示文になります。当日スクリーンで見せた例がこちらです。
Googleスプレッドシートにひも付くApps Scriptで、次の業務アプリを作ってください。
・困りごと:[機械が故障した際のレポートを書くのが手間]
・利用者:[私が入力し、私が結果を見る]
・入力:[フォーム]/処理:[転記]/保存:[スプレッドシート]/出力:[PDF]
・人間が確認する場所:[送信]
最初は機能を一つに絞り、仮データで試せる形にしてください。必要なファイル名を示し、コードを省略せず全文で出してください。
これを送ると、Geminiは「フォーム入力・自動転記・PDF出力を行う最小構成(MVP)の業務アプリ」として、必要なファイルとコードを提案してきます。Webアプリにするか、シート上の処理だけで済ませるかも、題材に応じてGeminiに提案させるのがコツです。

実際に、当日のワーク時間内にこのやり方で「すごいGASアプリを作成できた」という受講者もいらっしゃいましたので、その画面を発表してもらいました。会場から「おぉ~」という声が上がったのが印象的でした。
作る・動かす・直すを、小さく繰り返しました
個人制作は、次の流れを何度も回します。新しいスプレッドシートとGAS(Apps Script)を用意し、指示を送り、出てきたコードを貼り、仮データで一つの機能を動かす。エラーが出たら、エラー全文をそのままGeminiへ返します。
進み具合は、4つのチェックポイントで確認しました。
- A 設計:7項目と最小機能が書けた
- B 準備:必要なファイルへコードを貼れた
- C 動作:一つの入力と出力を確認できた
- D 改善:修正を一つ反映できた
2時間で完成までたどり着けない方もいます。それで構いません。成果は「動いた」「形になった」「次が決まった」の3つの形で持ち帰れます。プロンプト、コード、エラー文のどれかを保存しておけば、自社に戻ってから続きを再開できるからです。
最後に各グループから、どんな業務を楽にしたいか、どこまで動いたか、Geminiにどう指示したか、次に何を直したいかを発表していただきました。
締めくくりは「公開状態の整理」と「その先」の話

研修の最後には、公開したWebアプリの後片付けをしました。使わないデプロイはアーカイブし、残す場合はアクセス範囲と保存データを見直します。公開URLを作って終わりではなく、公開を管理するところまでが研修です。
あわせて、研修後の使い方もお伝えしました。無料アカウントそのものが危険なのではありません。ただ、自分だけで使う、社内で共有する、外部に公開する、と利用者が広がるほど、ログイン確認やデータの見せ分けなど設計の難しさが増します。業務で本格的に使うなら、組織で管理できるGoogle Workspaceや、複数ファイルを読んで修正・実行まで支援するCodexやClaude CodeといったAIエージェントも選択肢になります。それでも、権限や公開範囲を最後に判断するのは人間です。
おまけとして、おみくじアプリの応用例「おみくじを引いたら、GeminiがAI日報を作る」も紹介しました。業務メモを音声(Windowsなら「Windows+H」の音声入力)や文字で入れると、Gemini APIが日報案に整理し、確認・修正してから履歴シートに保存します。
利用するGeminiのモデルは混雑時に自動で切り替わり、どのモデルを使ったかも記録します。おみくじの「名前と時刻を記録する」仕組みが、そのまま日報アプリに育つ例です。(そのURLは当日の受講者だけに公開しましたので、ここでは非公開とさせていただきます)
アンケートで振り返る全3回シリーズ
全3回のアンケートを集計し、個人情報を除いて分析しました。受講は延べ約155名、回答は合計127件です。
| 第1回 (座学) |
第2回 (おみくじ制作) |
最終回 (業務アプリ試作) |
|
|---|---|---|---|
| 受講 /回答 |
約100名 /75件 |
30名 /27件 |
30名 /25件 |
| 講義内容 の平均 |
4.42点 | 4.59点 | 4.60点 |
| テキスト の平均 |
4.45点 | 4.77点 | 4.40点 |
※5点満点。各回で対象者・人数・形式が異なるため、推移は参考値です。
講義の評価は3回連続で上がりました
最終回の講義内容は平均4.60点で、シリーズ最高値でした。25件中23件(92.0%)が5点または4点で、2点・1点はゼロです。座学からワーク型に切り替えても評価は落ちず、むしろ上がり続けました。
第2回では、手を動かす研修ならではの課題も見えていました。進み具合の差が、そのまま評価の差になったのです。講義内容で3点以下をつけた方の割合は11.1%でしたが、最終回は8.0%に下がり、習熟度の差は縮まりました。
一方で、テキストの評価は最終回で下がりました
テキストの平均は、第2回の4.77点から最終回は4.40点に下がりました。3点以下の割合も7.7%から16.0%へ倍増しています。
理由ははっきりしていると考えています。おみくじづくりは手順が一本道で、テキストがそのまま完成品につながりました。ところが自社の業務アプリは、題材が一人ひとり違い、答えも一つではありません。紙の手順書だけでは追いきれないのです。これは講師として持ち帰るべき課題です。今後は、業務別の作例集を用意するなど、教材の形を工夫していきます。
自由記述からは「次はどこまで広げるか」が見えました
最終回は25件中9件(36.0%)が自由記述を書いてくださいました。3回の中で最も高い記入率です。「AIエージェントを知りたい」「MicrosoftやChatGPTも学びたい」「本格的な動画作成を」「事務・営業・管理など業務別の内容を」「定期的に開催してほしい」といった声をいただきました。
3回の関心を並べると、変化がよくわかります。
- 第1回:「AIとは何か」──基礎を知りたい、リスクを避けて導入したい
- 第2回:「どう作るか」──GASの応用、Gemini APIの組み込み、日報など実務のアプリ
- 最終回:「どこまで広げるか」──AIエージェント、他のAIツール、業務別の活用
「AIを知りたい」という問いが、「自社の業務でどこまで使えるか」へと具体的になりました。3週間でここまで問いが進んだことが、このシリーズのいちばんの成果だと感じています。
研修の「その後」を支える仕組みが次の課題です
アンケートからは、残った課題も見えました。研修後に自社で使い続けられたかは、まだ把握できていません。また、研修内容に関する専門家派遣を「希望する」と答えた方は、最終回で25件中1件(4.0%)でした。満足度が高くても、それが個別の支援にはまだつながっていないということです。
満足度の高い研修をつくることには成功しました。次の論点は、研修の外側にある「その後」です。分析結果から、次の3つを考えています。
- 作例集で教材を補う:答えが一つでない活用型の内容を、事例で支える
- 業務別の少人数開催:事務・営業・管理など、業務ごとに深める
- 相談窓口へつなぐ:研修中から、専門家派遣などの個別支援への道筋を示す
小さく作る、実際に使う、直す。この繰り返しは、研修が終わってからが本番です。今回作ったアプリが途中でも、プロンプトとエラー文が残っていれば続きから再開できます。困ったときには、ぜひ専門家派遣などの制度も活用してください。
3回にわたりご参加いただいた皆さま、共同講師の古賀大介さん、ワークのサポートに入ってくれた石川県中小企業診断士協会AI研究会のみなさん、そして開催にご尽力いただいた石川県中小企業団体中央会の皆さま、本当にありがとうございました。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
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株式会社ドモドモコーポレーション
石川県かほく市木津ロ64-1 〒929-1171
電話 076-285-8058(通常はFAXになっています)
IP電話:050-3578-5060(留守録あり)
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法人番号 9220001017731
適格請求書(インボイス)番号 T9220001017731
英語表示の社名:DomoDomo Corporation Inc.


