今月のKAIs例会はZOOMでのオンライン開催でした。新入会員の方による「信用保証協会の業務概要とAI活用構想」についての発表と、私(遠田幹雄)による「ローカルAIの構築と活用事例」の2本立てで行われました。金融業界ならではのリアルな課題と、それを解決するための実践的な技術が交差する、大変充実した内容となりました。どちらも「デリケートゾーンの話ですね」というのがポイントですかね(笑)
KAIsの2026年5月例会

前半:信用保証協会におけるAI活用の現在地
前半は、新入会員の方から自己紹介がありました。金融業界にお勤めということで、今回は信用保証協会の業務フローやAI活用の構想についてプレゼンテーションがありました。
信用保証協会の主な業務は「保証」「経営支援」「代弁済」「債権回収」の4つのフェーズに分かれているとのことです。近年は制度の改定もあり、事業者の経営状態に異変がないかをいち早く把握し、早期に支援を行うことがこれまで以上に求められています。
そこで期待されているのがAIの活用ですが、現場では大きく2つの壁があるそうです。
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ITリテラシーの課題: 新しい技術を使いこなすための知識やスキルがまだ十分に浸透していないこと。
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情報流出のリスク: 機密性の高い顧客データを扱うため、インターネット上のAIサービスを使うことへの不安や制限があること。
質疑応答では、「金融機関から送られてくるモニタリング報告書をAIでチェックして、アラートを出す仕組みが作れないか」といった具体的なアイデアや、「セキュリティ対策」についての具体的なやりとりがありました。
後半:機密データを守りながら活用する「ローカルAI」
後半は、私(遠田)から、インターネットに接続せずにパソコン内だけで完結する「ローカルAI」の構築と活用事例について、デモンストレーションを交えて紹介しました。
前半の発表にもあったように、機密データを扱う業務では、情報漏えいのリスクから一般的なクラウドAIの利用が難しい場合があります。その解決策となるのがローカルAIです。

このようなスライドで説明しました。
なお、ローカルAIについては、当社のブログ記事でもそれなりに記事数があります。以下のタグページでご覧になってみてください。

構築のポイント
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使用ツール: 使いやすい無料ソフト「LM Studio」と、Googleの高性能モデル「Gemma 4」を利用しました。
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システム構成: ブラウザから簡単に操作できるように、Python(Flaskという仕組み)を使って社内用のシステムを構築しました。なお、プログラミングのコードは自分では書かず、生成AIに相談しながら作成しています。
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動作環境: 快適に動かすためには、GPU(画像処理などを担う部品)を搭載したパソコンが理想的です(今回はメモリ32GB、GPU16GBのパソコンを使用)。
実践デモンストレーション
実際にインターネットを切断した状態で、次のようなデモを披露しました。
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文章の要約や論理問題への回答
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中小企業診断士としての視点を持ったアドバイスの生成
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約4万件の顧客データ(CSVファイル)の分析: 来店回数や購入額などの条件をもとに、一瞬で数百件の「優良顧客」を抽出してファイルに出力しました。
参加者からは、「エクセルやPDFは読み込めるか?」「社外からも使えるか?」といった技術的な質問も多く寄せられ、ローカルAIの実用性に対する関心の高さがうかがえました。
LMスタジオ+Gemma4の回答例
今回のローカルAIのデモでは、LMスタジオで実際の回答速度がどれくらいなのかも体験してもらいました。以下、実際に使った質問と回答です。
4人の年齢順を考えさせる問題

AさんはBさんより年上です。
CさんはAさんより年下です。
DさんはCさんより年上ですが、Bさんより年下です。
年齢順を上から並べてください。
また、その理由も説明してください。

google/gemma-4-e4b
Thought for 6.27 seconds
年齢の順は、上から順にAさん、Bさん、Dさん、Cさんの順となります。
理由を以下に説明いたします。
まず、与えられた情報から各人の年齢関係を整理します。
「AさんはBさんより年上」であるため、AさんはBさんよりも年上です。(A > B)
「CさんはAさんより年下」であるため、Aさんが最も年上の候補となります。(A > C)
「DさんはBさんより年下」であり、「DさんはCさんより年上」という情報があります。
この3点から、以下の連続的な関係が導き出されます。
AさんはBさんよりも年上です。
DさんはBさんよりも年下であるため、この時点で「Aさん > Bさん > Dさん」という順序が確定します。
さらに、「DさんはCさんより年上」であることから、Dさんの次がCさんとなる必要があります。(D > C)
これらの関係をすべて組み合わせると、Aさんが最も年上で、次にBさん、そしてDさん、最後にCさんという年齢の並びになります。
文章の要約問題

以下の文章を、
・3行要約
・箇条書き5点
・中学生向けの説明
の3パターンで整理してください。
「生成AIの普及によって、企業では議事録作成、問い合わせ対応、文章作成などの業務効率化が進んでいる。一方で、AIが誤った情報を生成するハルシネーション問題や、社外秘データの取り扱いに関するリスクも課題となっている。そのため、多くの企業では、AIを単独で利用するのではなく、人間による確認を前提とした運用ルール整備が重要になっている。」

google/gemma-4-e4b
Thought for 5.87 seconds
この文章を、ご要望の3つのパターンに分けて整理いたしました。
3行要約
生成AIは、議事録作成や文書作成など様々な業務において高い効率化をもたらしています。しかしながら、誤った情報を生成するハルシネーションの問題や、機密データの取り扱いといったリスクも同時に存在します。そのため、企業においては、AIを盲信せず、必ず人間が内容を確認し修正するという運用ルールを確立することが極めて重要となっています。
箇条書き5点
業務効率化の推進:生成AIの普及により、議事録作成や問い合わせ対応といった定型的な作業の効率が向上しています。
具体的な活用例:文章の自動作成や情報整理など、多岐にわたる分野で実用性が高まっています。
情報の正確性の課題:AIが事実ではない情報をあたかも真実のように生成してしまう「ハルシネーション」という問題があります。
セキュリティ上のリスク:社外秘の情報を取り扱う際、データの漏洩や誤使用といったセキュリティリスクを伴います。
必要な対策の確立:単にAIを利用するだけでなく、人間が最終確認を行うプロセスを経るなど、運用ルールを整備することが不可欠です。
中学生向けの説明
生成AIというのは、とても賢くて便利な「お手伝いさん」のようなものです。このお手伝いさんは、文章を書いたり、会議の内容をまとめる作業などをあっという間にこなしてくれるので、会社ではすごく役に立っています。
ただ、完璧なわけではありません。一つ目の注意点は、「嘘をつくことがある」ということです。AIは自信満々に間違った情報(ハルシネーション)を出してしまうことがあります。二つ目の注意点は、大切な秘密の情報(個人情報など)を扱わせると、外に漏れてしまう危険性があることです。
ですから、会社では「AIが出したものは、必ず人間がもう一度チェックして正しいか確認してから使う」というルールを作ることが、今の時代の一番大事なポイントなのです。
売上減少対策という経営問題

あなたは中小企業診断士です。
売上が前年比50%まで減少している地方の和菓子店について、
考えられる原因を5つ挙げてください。
そのうえで、
・すぐできる対策
・低コストな対策
・SNS活用策
を分けて提案してください。

google/gemma-4-e4b
Thought for 6.17 seconds
この度は、売上減少という厳しい状況に直面されているとのこと、心よりお見舞い申し上げます。地方の和菓子店様が抱える課題は多岐にわたりますが、現状を冷静に分析し、実行可能な対策を立てていくことが重要です。
中小企業診断士として、考えられる原因と、それに基づいた具体的な改善策を提案させていただきます。
1.売上減少の考えられる主な原因(5点)
まず、売上が前年比で半減している背景には、単なる景気動向だけでなく、地域社会や消費者のライフスタイルの変化が複合的に関わっていると考えられます。特に以下の5点が主要な要因として挙げられます。
人口減少と高齢化の進行による顧客層の変化: 地域の住民の総数が減少し、かつ購買力の高い現役世代の流入が少ない場合、従来の固定客基盤が縮小している可能性があります。
消費行動のデジタルシフトへの対応遅れ: コロナ禍を機に習慣化したオンラインでの情報収集や購入が常態化し、店舗に来店する動機付けや利便性の面で課題が生じている場合があります。
地域内における競合環境の変化と多様化: 近隣に大型商業施設やチェーン系のカフェが増えた結果、和菓子店様独自の「体験価値」が埋もれ、消費者がより手軽で新しい選択肢を選んでいる可能性があります。
商品・ブランドの陳腐化(魅力の発信不足): 伝統的な商品はそれ自体に普遍的な価値がありますが、それを現代のライフスタイルや若い世代の感性に翻訳し、「今買うべき理由」として提案できていない場合があります。
地域コミュニティとの接点機能の低下: 和菓子店が単なる「モノを売る場所」から、「人と人が集まり、地域の文化を感じる場(ハブ)」へと役割を変える必要性が高まっているにもかかわらず、その機能を発揮できていない可能性があります。
2.具体的な改善・対策案
これらの原因を踏まえ、実行の難易度や初期投資を考慮し、以下の3つの視点から対策をご提案します。
A. すぐに着手できる短期的な対策(即効性の高い施策)
まずはキャッシュフローの安定と「今すぐ客単価を上げる」ことに焦点を当てます。
セット販売による客単価向上: 単品購入ではなく、「お菓子+飲み物」「季節のお菓子+和紅茶」など、ペアリング提案型のセットメニューを限定的に展開し、平均購買金額の引き上げを図ります。
「緊急需要」に合わせた販促: お土産や手土産は、記念日(誕生日、入社祝いなど)といった明確な用途を持つ顧客層をターゲットにした、「〇〇のためのギフトボックス」のような切り口での提案を行います。
地域限定の試食イベント開催: 週末などに「本日のお菓子に合わせた飲み物ワークショップ」などの小規模な体験型イベントを実施し、来店動機と滞在時間を創出します。
B. 低コストで実行できる中期的な対策(資源を活用した施策)
大きな設備投資を必要とせず、既存の人的資源や地域資源を活かして差別化を図ります。
異業種連携による販路拡大: 近隣の老舗茶屋、花店、工芸品店などと提携し、「〇〇(店舗名)のお菓子と△△(他店)の商品を組み合わせたセット」として共同販売を行います。これにより、お互いの顧客層を紹介し合うことができます。
商品の用途多角化: 和菓子の材料やコンセプトを活かし、和菓子以外の用途(例:季節の葉を使ったアロマグッズとの連携、和風のオリジナル茶葉の開発)での商品展開を検討します。
地域特産品を活用した限定商品開発: その地域の農作物や工芸品など、周辺で手に入る資源と組み合わせた「地元の物語」を纏った季節限定商品を企画し、話題性を高めます。
C. SNS活用による集客・ブランディング対策(情報発信の強化)
SNSは単なる宣伝ツールではなく、「店の哲学」「職人の技術」「地域の文化」を発信する媒体として活用することが重要です。
「物語性」の発信: 「なぜこのお菓子が生まれたのか」「どの季節に最高の素材が手に入るのか」といった、和菓子の背景にあるストーリーや職人技の過程を動画(リール動画など)で定期的に発信します。単なる商品写真ではなく、「物語」として消費者に届けることが目的です。
ライブ配信による臨場感の創出: 季節の移り変わりに伴う和菓子の制作工程や、店頭での盛り付けの様子などをインスタグラムなどのプラットフォームで生中継し、来店できない人にも「体験している感覚」を提供します。
地域コミュニティとの双方向的な交流: 「この地域の思い出のお菓子は?」といった質問を投げかけたり、投稿された写真にコメントしたりすることで、単なる販売チャネルではなく、「地域の文化共有の場」としての側面をSNS上で作り上げます。
RFM分析のための表計算データ4万行の処理ができるかどうか
4万行を超える表計算データ(CSVファイル)はLMスタジオ単体では処理ができません。しかし、ブラウザで駆動するローカルAIシステムなら処理が可能です。その事例もデモをしました。

小売店の過去10年分の顧客との取引データを使いRFM分析を実施し重要な優良顧客を抽出してください。お買上総累計(累積購買金額)10万円以上で、来店回数10回以上だと何件あるかを計算し、そのうえで新しいCSVファイルに抽出してください。
なお、このCSVはボランタリーチェン提供の特有の形式で、同じ顧客IDで。お買上総累計(累積購買金額)が何度も掲載されていますが有効なのは最新日付のみなので注意してください。
※CSVファイルを添付

(推論あり)
【Python実行 #1】 コード:

本データを用いて、ご指定の条件を満たす優良顧客を抽出・集計いたしました。
まず、お買上総累計が10万円以上であり、かつ来店回数が10回以上の顧客数を計算したところ、447件でした。
この分析結果に基づき、該当する優良顧客の一覧を「優良顧客リスト_RFM分析結果.csv」として指定の出力ディレクトリに保存いたしました。
お手数ですが、ご確認をお願いいたします。
実際に「優良顧客リスト_RFM分析結果.csv」が出力されていることをエクセルにて確認してもらいました。このような計算を大量に行う処理についてはGeminiやChatGPTなどの生成AIでもうまくいかないことがあるので、ローカルAIでこれができるのはありがたいです。
今回のローカルAI紹介がみなさんのお役に立てたら幸いです。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
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