ふと立ち寄ったスーパーマーケットの店頭に、インクカートリッジ回収ボックスがあった。ここで使用済みインクカートリッジを処分した。思いがけず処分できてすっきりした。
実は、ヤマダ電機など大手電気店に行ったときに処分しようと思い、使用済みインクカートリッジがたくさん入った袋を自家用車に積んでおいた。ずいぶん長いあいだ、車に積みっぱなしだった。
そう、電気店に行くことがほとんどなくなっていたからである。パソコン、プリンタ、インク、用紙などは、電気店に行かずネット通販で買うようになっていた。
使用済みインクカートリッジは郵便で回収するという手もある。しかし、メーカーごとに返却ルートや荷造りが違って面倒だし、互換インクも少し混じっているので返却先がわからない。不燃物ゴミに出すのは気が引けるし、処分に困っていた。
使用済みインクカートリッジを回収してくれる場所は、主に次の4つです。
- 郵便局:「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」の回収箱。ブラザー・キヤノン・エプソン・日本HPの純正品のみ
- 家電量販店:ヤマダデンキなどの店頭回収ボックス【要確認:回収できる種類は店舗・回収箱ごとに違う】
- スーパーマーケットなどの店頭:リサイクル会社の回収ボックス。メーカーを問わないものもある
- 役所などの自治体施設:里帰りプロジェクトの回収箱を置いている自治体もある
互換インク(純正品以外)は郵便局の回収対象外なので、「どのメーカーでも可」と書かれた店頭の回収箱を探すのが近道です。
使用済みインクカートリッジの主な回収場所
インクカートリッジの回収先は、思っているより身近にあります。純正品か互換品かで出せる場所が変わるので、まずは場所ごとの特徴を整理します。
郵便局(インクカートリッジ里帰りプロジェクト)
郵便局でもプリンタインクのカートリッジを回収している。プリンタメーカーと日本郵政グループが共同で行っている「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」で、2008年4月に全国の郵便局(当初は約3,600局)に回収箱を置く形で始まった。
サステナビリティの取り組み > 地球と共に > 使用済みインクカートリッジの回収
共同で回収している企業は次のとおり。
- ブラザー工業株式会社/ブラザー販売株式会社(以下ブラザー)
- キヤノン株式会社/キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下キヤノン)
- セイコーエプソン株式会社/エプソン販売株式会社(以下エプソン)
- 株式会社 日本HP(以下日本HP)
上記メーカーのものだけなので、互換インクは対象外と思われる。近所の郵便局に回収箱があることは確認できたが、純正品以外も回収できるのかという詳細は確認していない。
なお、回収箱は全ての郵便局にあるわけではない。近くの設置場所は、里帰りプロジェクトの公式サイトで調べてから行くと無駄足にならない。【要確認:公式サイトの設置場所検索の有無とURL】
家電量販店(ヤマダデンキなど)の店頭回収ボックス
ヤマダデンキでは、2005年から店頭で使用済みインクカートリッジを回収している。回収箱はリサイクルインクメーカーのエコリカによるもので、集めたカートリッジは再生品の材料になる。【要確認:回収対象のメーカー・型番の範囲】
ほかの家電量販店でも店頭回収ボックスを置いている店舗があるが、置いているか、どの種類を受け付けるかは店ごとに違う。【要確認:ケーズデンキ・コジマ・ビックカメラ・ジョーシンなど各社の現状】出かける前に店舗のサイトや電話で確かめるとよい。
レーザープリンタのトナーカートリッジは、家庭用インクカートリッジとは回収の仕組みが別になっていることが多い。トナーを店頭で回収しているかどうかは、メーカーの回収サービスとあわせて確認したい。【要確認:家電量販店でのトナー回収の現状】
筆者のようにネット通販でインクを買う人は家電量販店に行く機会が少ないので、次のスーパーや郵便局のほうが使いやすいかもしれない。
スーパーマーケットなどの店頭回収ボックス
冒頭で書いたとおり、筆者が実際に処分したのはスーパーマーケットの店頭にあった回収ボックスだった。

この使用済みインクカートリッジ回収BOXには「JIT」という表示があった。このJITは、いわゆる「ジャストインタイム」のことではないようだ。インクカートリッジをリサイクルして販売している会社の社名らしい。リサイクルインクもネット通販していた。
つまり、回収したインクカートリッジを再生して商品にするのだろう。だから純正品でなくてもよいし、どのメーカーのものでもOKのようである。【要確認:現在の回収条件は回収箱の表示で確認】このことは、純正品と互換品の対立を表すひとつの現象かもしれない。

この使用済みインクカートリッジ回収BOXは、輪島のマルコというスーパーマーケットの店頭にあった(執筆当時)。【要確認:2024年の能登半島地震後の店舗と回収ボックスの現状】
市役所などの自治体施設
里帰りプロジェクトの回収箱は、郵便局だけでなく市役所や区役所などの自治体施設に置かれていることもある。自治体によっては、インクカートリッジの出し方をごみ分別のページで案内している。住んでいる市町村の「インクカートリッジ」の案内を一度見ておくと安心だ。【要確認:石川県内の自治体の設置状況】
純正か互換かで、回収先を選ぶ
どこに出すかは、手元のカートリッジが純正品か互換品かで決めるとわかりやすい。
- 純正品(ブラザー・キヤノン・エプソン・日本HP):郵便局や自治体施設の里帰りプロジェクトの回収箱へ
- 互換インク・詰め替えインク・メーカーがわからないもの:「どのメーカーでも可」と書かれた店頭の回収箱へ。回収箱ごとに条件が違うので、表示を確認する
- 近くに回収箱が見つからない:住んでいる自治体の分別ルールに従って出す
筆者のように純正と互換が混ざった袋を抱えている場合は、メーカーを問わない回収箱がいちばん手間がかからない。
なぜプリンタメーカーはインクカートリッジを回収するのか
そもそも、使用済みインクカートリッジを回収するのはなぜなのか。利用者としては、わざわざ回収BOXを使わずとも、家庭の不燃物として処分してもいいはずだ。なぜメーカーや関係団体は、インクカートリッジだけをこうして回収するのか。
この理由は、プリンタとインクのビジネスモデルにある。
プリンタ本体を安く売って、インクで利益を上げる
プリンタメーカーのビジネスモデルは、「プリンタ本体を安く売って、交換するインクで利益を上げる」というのがセオリーだ。
プリンタ本体は驚くほど安い。執筆当時は1万円以下の製品もあった。しかし交換インクは高い。YMCKの4色セットで5,000円はしたので、2セット買うとプリンタ本体より高いかもしれない(価格はいずれも執筆当時)。このアンバランスな価格は、「本体を安く売って、インクで利益を上げる」ビジネスモデルが成り立っているからである。
消費者がそのメーカーの純正インクしか買わなければ、このビジネスモデルは回り続けたはずだ。しかし消費者は、純正のインクカートリッジは高過ぎると思っている。
その証拠が、互換インクや詰め替えインクが売れていることだ。互換インクなら純正インクの半額以下、詰め替えインクなら5分の1くらいだろうか。とにかく安い。回収したカートリッジにインクを詰め、リサイクル品として安く売る商売も現れた。だから純正品のインクカートリッジは敬遠される傾向にある。
互換インクの普及でビジネスモデルに変化
しかし最近のプリンタは、互換インクや詰め替えインクを使うとエラーが出て使えなくなることがある。互換インクカートリッジを入れると「このインクカートリッジは純正品ではありませんので使えません」といったメッセージが出て、純正品を買うように促される。
よく見ると、インクにはICチップがついていたり、電気的に認証する回路がついていたりする。こうなるとインクカートリッジは「電子部品」である。消費者のための技術競争というより、互換インク業者を締め出すための技術競争に見えてしまう…。
消費者としては、使いたいときに使えないエラーは嫌なので、仕方なくまた高い純正品を買うことになる。また、プリンタを同等機種の新製品に買い替えると、インクが使えなくなることがある。これも同じ理由だろう。買い置きしてあった純正インクが使えなくなるのは腹立たしい。せめて下取りしてほしいものだ。
使用済みインクカートリッジは電子部品だから専用の回収箱へ
このように、今や使用済みインクカートリッジは電子部品なので、不燃物ゴミとして出すのは気が引ける。だから筆者は、回収BOXを探して処分することにしている。
[内部リンク候補: プリンタ・インク関連の他の記事があればここに]まとめ:回収箱は身近にある
使用済みインクカートリッジは、郵便局・家電量販店・スーパーの店頭・自治体施設などで回収してもらえる。純正品なら郵便局の里帰りプロジェクト、互換インクが混じっているならメーカーを問わない店頭の回収箱、と使い分けると迷わない。
車に積みっぱなしにしていた筆者のように、「電気店に行ったときに」と思っていると、なかなか処分できない。普段行く郵便局やスーパーに回収箱がないか、一度見てみるとよいだろう。
複雑な世の中である。このスーパーで、ボールペンの替芯でも買っておくことにする。せめて純正品を買う。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
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