商工三団体とは、商工会議所・商工会・中小企業団体中央会の3つの団体のことです。いずれも中小企業や小規模事業者の経営を支える地域の支援機関で、全国に網の目のように置かれています。
3つの団体の仕事の中身には、いまでは大きな違いはなくなってきています。いちばんの違いは「誰を支援するか(支援対象者)」です。
- 商工会議所:主に市の区域(都市部)の商工業者を支援
- 商工会:主に町村の区域(郡部)の商工業者、とくに小規模事業者を支援
- 中小企業団体中央会:都道府県全域の事業協同組合などの組合や、企業どうしの連携グループを支援
この記事では、商工三団体それぞれの特徴と違い、自分の会社がどこに相談すればよいかの見分け方に加えて、よろず支援拠点や中小機構など商工三団体以外の中小企業支援機関もまとめて解説します。
商工三団体とは?3つの団体の概要
商工三団体は、どれも地域の中小企業を支援するための公的な性格をもつ団体です。ただし、もとになっている法律や会員の構成が少しずつ違います。ここでは1団体ずつ特徴を整理します。
商工会議所
商工会議所は「商工会議所法」にもとづいて設立されている地域総合経済団体です。主に市の区域に置かれ、その地域の商工業者であれば中小企業から大企業まで会員になれます。
- 根拠となる法律:商工会議所法
- 主なエリア:市の区域(都市部)
- 主な会員:地域の商工業者(大企業も含む)
- 全国組織:日本商工会議所
- 全国の数:約515【要確認】
経営相談や記帳・税務の指導のほか、検定試験(簿記検定など)の実施、地域の政策提言、会員どうしの交流事業なども行っています。
商工会
商工会は「商工会法」にもとづく団体で、主に町村の区域に置かれています。会員の多くが小規模事業者であることが特徴で、地域の小さなお店や工務店、製造業者などの身近な相談窓口になっています。
- 根拠となる法律:商工会法
- 主なエリア:町村の区域(郡部)
- 主な会員:地域の小規模事業者が中心
- 上部組織:都道府県商工会連合会、全国商工会連合会
- 全国の数:約1,600【要確認】
なお、市町村合併で「市」になった地域でも、合併前の町村のエリアに商工会がそのまま残っているケースがあります。「市だから商工会議所」とは限らない点に注意しましょう。
中小企業団体中央会
中小企業団体中央会(略して「中央会」)は、「中小企業等協同組合法」にもとづいて各都道府県に1つずつ置かれている団体です。全国組織として全国中小企業団体中央会があります。
- 根拠となる法律:中小企業等協同組合法
- 主なエリア:都道府県全域
- 主な支援対象:事業協同組合などの組合、中小企業の連携グループ
- 全国組織:全国中小企業団体中央会
商工会議所や商工会が「個々の事業者」を支援するのに対して、中央会は「中小企業が集まってつくる組合」を支援するのが大きな特徴です。組合の設立や運営の相談、共同事業の立ち上げ、組合向けの補助事業の案内などを行っています。
商工会議所・商工会・中小企業団体中央会の違い
「中小企業団体中央会と商工会議所の違い」「商工会と商工会議所の違い」はよく聞かれる質問です。ポイントは次の2つに整理できます。
違い1:事業所の所在地(エリア)
商工会議所と商工会は、エリアで担当が分かれています。同じ場所に両方があることは基本的になく、事業所の住所によってどちらかに決まります。
- 都市部で商工会議所があるエリアなら、商工会議所が支援機関
- 郡部で商工会があるエリアなら、商工会が支援機関
違い2:支援を受ける側の形態(事業者か組合か)
もう1つの切り口は、支援を受ける側が「個々の事業者」か「組合などの団体」かです。
- 中小企業者や個人事業主なら、商工会議所か商工会
- 事業協同組合などの組合や連携グループなら、中小企業団体中央会
支援対象者から見た商工三団体の区分け
支援対象者から見た場合、自分を支援してくれる商工三団体は基本的にどれか1つになり、重複しません。図にすると次のような関係です。

実際には、自分の拠点がある都道府県・市町村によって若干の違いがありますが、おおむね上記のような区分になります。詳しくは最寄りの支援機関に問い合わせれば教えてもらえます。
商工三団体はどれがよい?自分の相談先の見つけ方
「どれがよいの?」と迷う人もいますが、商工三団体は性能を比べて選ぶものではありません。事業所の所在地と、事業者か組合かによって、相談先は自然に決まります。
- 事業所の住所がある市町村を確認する
- その地域に商工会議所があるか、商工会があるかを調べる(都道府県のホームページに一覧があることが多い)
- 組合の設立や運営の相談なら、都道府県の中小企業団体中央会に問い合わせる
商工会議所・商工会の経営相談は、会員でなくても利用できる場合が多いです【要確認:団体ごとに異なる】。まずは電話で「こういう相談をしたい」と伝えてみるのが早道です。
商工三団体を利用するメリット
商工三団体の主なメリットは、身近な場所で、無料または低い負担で経営の相談ができることです。代表的な支援内容を挙げます。
- 経営相談:経営指導員による資金繰り、販路開拓、事業計画づくりなどの相談
- 補助金の申請サポート:小規模事業者持続化補助金では、商工会議所・商工会の支援を受けて申請する仕組みになっている【要確認:最新の公募要領で要件を確認】
- 融資のあっせん:日本政策金融公庫の「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)」は、商工会議所・商工会の推薦を受けて利用する制度
- 記帳・税務の指導:帳簿の付け方や確定申告の相談
- セミナー・交流会:経営やITに関する勉強会、異業種交流
- 組合の支援(中央会):組合の設立・運営、共同事業、組合員向けの研修
商工三団体以外の中小企業支援機関一覧
中小企業を支援する機関は、商工三団体だけではありません。相談内容によっては、別の支援機関のほうが専門的な支援を受けられることもあります。主な機関を目的別に整理します。
国が設置する相談窓口
- よろず支援拠点:国が各都道府県に設置している無料の経営相談所。売上拡大や経営改善など、幅広い悩みに専門家が対応します。何度でも相談できるのが特徴です。
- 中小企業基盤整備機構(中小機構):国の中小企業政策を実施する独立行政法人。経営相談のほか、小規模企業共済・経営セーフティ共済(倒産防止共済)の運営、中小企業大学校での研修、情報サイト「J-Net21」の運営などを行っています。
- 事業承継・引継ぎ支援センター:後継者探しやM&Aなど、事業承継の相談を受ける公的窓口。各都道府県に設置されています。
- 中小企業活性化協議会:収益力の改善や事業再生が必要な中小企業を支援する公的機関。各都道府県に設置されています。
都道府県の支援機関
- 都道府県等中小企業支援センター:各都道府県の産業支援機関。石川県では公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)がこの役割を担い、創業支援や新事業の助成、専門家派遣などを行っています。
- 公設試験研究機関:工業試験場などの技術支援機関。製品開発や品質評価の相談ができます。
資金面の支援機関
- 日本政策金融公庫:政府系の金融機関。創業融資や小規模事業者向けの融資を行っています。
- 信用保証協会:中小企業が金融機関から融資を受けるときに保証人となる公的機関。各都道府県などに設置されています。
- 地域の金融機関:地方銀行・信用金庫・信用組合など。融資だけでなく、経営相談やビジネスマッチングにも力を入れています。
民間の専門家(認定経営革新等支援機関)
国から「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」として認定された税理士・中小企業診断士・金融機関なども、中小企業の支援者です。事業計画の策定支援や、一部の補助金・税制で必要となる確認書の発行などを担います。
[内部リンク候補:中小企業診断士の仕事・相談方法を解説した記事(URL確認のうえ設置)]相談内容別の支援機関の選び方
- 日常の経営相談、記帳、持続化補助金 → 商工会議所・商工会
- 組合の設立・運営、企業連携 → 中小企業団体中央会
- 売上アップや経営改善を専門家とじっくり → よろず支援拠点
- 創業・新事業・県の助成金 → 都道府県等中小企業支援センター(石川県ならISICO)
- 後継者・事業承継 → 事業承継・引継ぎ支援センター
- 資金調達 → 日本政策金融公庫、信用保証協会、地域の金融機関
福井県・石川県の商工三団体の所在地
各都道府県の商工三団体は、比較的近い場所に集まっていることが多いです。筆者が訪れた福井県と、地元の石川県の例を紹介します。
福井県の商工三団体は近接したところに拠点がある

この日は、石川県の隣にある福井県に来ていました。福井県は中小企業団体中央会と福井商工会議所が近く、いずれも福井駅の近くにあって便利です。(写真は福井県中小企業団体中央会が入っている繊協ビル。2012年訪問時【要確認:現在の所在地】)
福井駅前は商業地域ですが、市役所などの行政機関も多いため、駐車場があちこちに用意されています。訪問当時は、ほとんどの駐車場が最初の30分無料で、あとは30分単位で100円という良心的な料金設定でした【要確認:現在の料金】。

石川県の商工三団体は少し離れている
石川県では、中小企業団体中央会と石川県商工会連合会の2つが、同じ金沢市の地場産業振興センターの敷地内にあります。ここは石川県庁と隣接するエリアです【要確認】。
一方、商工会議所の代表格である金沢商工会議所は、金沢市尾山町の中心市街地にあります。もともとは中心市街地に県庁も市役所もありましたが、県庁が郊外に移転したため、このように離れた配置になりました。
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石川県内の商工会議所・商工会などの連絡先は、石川県のホームページで一覧を確認できます。
▼石川県ホームページの商工三団体連絡先ページ
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kinyuu/kinyuu/renraku.html
筆者が実際に訪れた商工会の様子は、次の記事でも紹介しています。
商工三団体に関するよくある質問
商工三団体と「商工団体」は同じ意味ですか?
「商工団体」は商工業者でつくる団体の総称として使われる言葉です。行政や支援の現場で「商工三団体」というときは、商工会議所・商工会・中小企業団体中央会の3つを指すのが一般的です。
商工会議所と商工会の両方に入ることはできますか?
商工会議所と商工会は担当エリアが分かれているため、通常は事業所の所在地にある、どちらか一方を利用します。複数の地域に事業所がある場合の扱いは、各団体に確認してください【要確認】。
中小企業団体中央会には個人事業主でも相談できますか?
中央会の主な支援対象は組合や連携グループです。個人事業主や1社単独の相談であれば、まずは地元の商工会議所・商工会、またはよろず支援拠点に相談するのがスムーズです。同業者と組合をつくりたい場合は、中央会が相談先になります。
まとめ:まずは地元の商工三団体に相談しよう
商工三団体とは、商工会議所・商工会・中小企業団体中央会のことです。業務内容に大きな違いはなくなってきていますが、支援対象者が違います。
- 都市部の事業者 → 商工会議所
- 郡部の事業者(とくに小規模事業者) → 商工会
- 組合や連携グループ → 中小企業団体中央会
さらに、よろず支援拠点や中小機構、都道府県の支援センター、事業承継・引継ぎ支援センター、金融機関など、中小企業を支える機関はたくさんあります。どこに相談すればよいか分からないときは、まず地元の商工会議所か商工会に問い合わせてみると、適切な窓口を案内してもらえるはずです。

この記事を書いた遠田幹雄は中小企業診断士です
遠田幹雄は経営コンサルティング企業の株式会社ドモドモコーポレーション代表取締役。石川県かほく市に本社があり金沢市を中心とした北陸三県を主な活動エリアとする経営コンサルタントです。
小規模事業者や中小企業を対象として、経営戦略立案とその後の実行支援、商品開発、販路拡大、マーケティング、ブランド構築等に係る総合的なコンサルティング活動を展開しています。実際にはWEBマーケティングやIT系のご依頼が多いです。
民民での直接契約を中心としていますが、商工三団体などの支援機関が主催するセミナー講師を年間数十回担当したり、支援機関の専門家派遣や中小企業基盤整備機構の経営窓口相談に対応したりもしています。
保有資格:中小企業診断士、情報処理技術者など
会社概要およびプロフィールは株式会社ドモドモコーポレーションの会社案内にて紹介していますので興味ある方はご覧ください。
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