下請脱却ビジネスモデルのレスターは中小企業経営者に元気と夢を与えてくれた、清水康次社長ありがとう

富山県高岡市に縫製会社の株式会社レスターがある。１０数年前までは普通の下請縫製会社だった。しかし、今では１００％ネットで受注する自販のビジネスモデルを作り上げ下請構造から脱却した。平成１８年度のIT経営百選最優秀賞を受賞するなど株式会社レスター清水康次社長のビジネスモデルは高く評価されている。そこで、株式会社レスターが辿った沿革と転換点など成功要因を探ることにする。

レスターのビジネス上の転換点は３つ

株式会社レスターの歴史的な転換点は３つあげることができる。
１つめは昭和５４年、社長だった父の急死。このとき清水康次氏はまだ１８歳であった。音楽家になりたいという希望もあったようで将来への夢がいろいろとあった時期のことだ。自分の意思が固まらないまま社業を継がざるをえなくなった。こうして清水康次氏は株式会社レスターの経営者への道を歩むこととなった。
２つめはバブル崩壊のころ、親会社から死刑宣告を言い渡されたこと。これまで運命共同体として下請分業構造を形成していたグループの親会社の姿勢が変わった。コスト要因から製造の海外シフトを選択し、既存の下請会社への発注を確保できなくなったということだ。下請会社はそれぞれ構造改善計画にしたがい自立の道を探ることになった。株式会社レスター清水康次社長は、このとき「下請脱却」を決意した。
３つめはインターネット販売への取り組みだ。自立の道を探るなかで数々の失敗を繰り返したが、ようやくインターネットで受注するビジネスモデルにたどり着いた。当社の強みを最大に生かすことができる形態であった。

レスターのビジネスモデルとは

株式会社レスターのビジネスモデルはインターネットによるオリジナルTシャツやトレーナーなどの受注である。完成品のTシャツやトレーナーにプリントするのではなく、Tシャツやトレーナーそのものを生地から縫製できるのがレスターの最大の強みだ。１着からでも生地やサイズのリクエストに応じることができることがレスターの独自能力（コアコンピタンス）である。
しかし、いくら高い能力を有していても、大消費地である関東や関西から遠い北陸において自社の存在をしてもらい問合せや注文にむすびつけることは容易ではない。
そこで取り組んだのが独自の受注サイト（オリジナルＴシャツ作成のmyfactory）の立ち上げと運営である。
オリジナルのユニフォームを作りたい個人や団体客などを中心に数多くの問合せを受けている。そしてその成功要因は検索エンジンマーケティングの成功にある。「オリジナル」「Tシャツ」「トレーナー」「縫製」などの複数キーワードで検索すると上位表示されることにより新規アクセス増加を図った。これが功を奏し、安定的な受注を実現している。

レスターのビジネス成功要因は検索エンジンマーケティング能力にある

つまり株式会社レスターの新ビジネスが成功したのは、清水康次社長が検索エンジンマーケティングを展開した能力にあるということができるだろう。自社の強みを的確に分析し、市場に通用する商品やサービスとして目に見える「カタチ」でホームページで表現し、具体的な「キーワード」で検索されることにより消費者の顕在的な需要に対応することができた。
このように下請け型の中小企業でも、インターネットを活用すれば市場適応型のビジネス展開が可能だということを証明してくれた点でも、株式会社レスターの成功は非常に注目できる。

全国の中小企業の社長に夢を与えてくれた清水康次社長には、本当にありがとうといいたい。感謝します。

IT経営百選で公開された株式会社レスターさんのデータ
「it100rester.pdf」をダウンロード
（PDFで約200KBあります）

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遠田幹雄（とおだみきお）

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