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街を歩いていると、コンビニ、美容院、郵便局、ドラッグストアなど、さまざまな施設が目に入ります。では、それぞれ日本全国にいくつあるのでしょうか。ふだん何気なく見ている施設も、数を並べてみると意外な順位になっていて、ちょっとした雑学ネタになります。
今回は、官公庁の統計や業界団体の調査をもとに、日本国内の施設数をクイズ形式でまとめてみました。数字は調査年や数え方によって多少ぶれるので、「だいたいの規模感」を楽しむつもりで読んでみてください。出典は記事の最後にまとめています。

基準は「コンビニ約5.6万店」
クイズの物差しにするのは、誰もが知っているコンビニエンスストアです。日本フランチャイズチェーン協会の発表では、主要コンビニの店舗数は2025年末時点で56,054店でした。経済産業省の商業動態統計でも2025年は56,659店となっており、ここ数年は約5万6千店で頭打ちの状態が続いています。
「どこにでもある」印象のコンビニですが、実はこの数字を上回る施設がいくつもあります。さっそく第1問からいきましょう。
第1問:コンビニより多い施設、少ない施設はどれ?

次の5つの施設を「コンビニ(約5.6万店)より多い」「コンビニより少ない」に分けてみてください。
- 神社
- 古墳
- 銀行
- 郵便局
- 美容院
直感で分けてから、下の答え合わせに進んでください。
答え合わせ
| 施設 | 全国の数(概数) | コンビニとの比較 |
|---|---|---|
| 美容院 (美容所) |
約27.8万店 | 多い (約5倍) |
| 古墳 (古墳・横穴) |
約16万基 | 多い (約2.9倍) |
| 神社 (神道系の宗教法人) |
約8.4万法人 | 多い (約1.5倍) |
| 郵便局 | 約2.3万局 | 少ない (約4割) |
| 銀行 (実店舗) |
約1万店弱 | 少ない (約2割未満) |
正解は、美容院・古墳・神社がコンビニより多く、郵便局・銀行がコンビニより少ないでした。「古墳」を多い側に入れられた方は、なかなかの雑学通です。
解説①:美容院はコンビニの約5倍
厚生労働省の「衛生行政報告例(令和6年度)」によると、2025年3月末時点の美容所は277,752施設です。コンビニの約5倍という、ぶっちぎりの1位でした。美容院が多い理由は第4問でくわしく取り上げます。
解説②:古墳は約16万基。コンビニの約3倍
文化庁が集計している「周知の埋蔵文化財包蔵地数」の古墳・横穴は、令和3年度調査で159,953となっています。1,500年ほど前の古墳時代につくられたお墓が、現代のコンビニの約3倍もあるわけです。
都道府県別に見ると、1位は兵庫県(18,707)、2位は鳥取県(13,505)、3位は京都府(13,103)です。「古墳といえば奈良・大阪」というイメージとは少し違う順位になっているのも面白いところです。
古墳は、前方後円墳のような巨大なものばかりではありません。直径10メートル前後の小さな円墳や、崖に横穴を掘った「横穴墓」も含まれるため、これだけの数になります。筆者の地元・石川県かほく市にも、工業団地の造成中に見つかった前方後方墳「宇気塚越1号墳」(県指定史跡)があります。身近な場所に古代の遺跡が眠っている、というのは各地で珍しくない話なのです。
解説③:神社は約8万。宗教法人になっていない小さなお社も含めればさらに多い
文化庁の『宗教年鑑』令和6年版では、神道系の単位宗教法人は84,113法人です。宗教年鑑の本文でも「宗教法人となっている神社は約8万」と説明されています。
ここで注意したいのは、この数字が「宗教法人として登録されている神社」の数だという点です。集落の小さな祠や、ビルの屋上にあるお社など、法人格を持たないものは含まれていません。それらまで数えれば、実際に目にする「神社」はさらに多いと考えられます。
解説④:郵便局は約2.3万局で、コンビニの約4割
日本郵便の公表資料によると、2025年12月末時点で営業中の郵便局は23,339局(直営の郵便局19,959局+簡易郵便局3,380局)です。日本郵便は、過疎地域を含むすべての市町村に郵便局を置いていると説明しており、「どこにでもある」印象はそこから来ています。とはいえ、数だけで見ればコンビニの半分にも届きません。
解説⑤:銀行は「何を数えるか」で大きく変わる
銀行の店舗数は、数え方によって結果が大きく変わる施設です。日本経済新聞の集計では、銀行の実店舗は1998年に約1万6千店ありましたが、2023年には4割減って52年ぶりに1万店を割り込みました。この数え方なら、コンビニの2割にも届きません。
一方で、信用金庫や信用組合、JA、ゆうちょ銀行(郵便局の窓口)まで「お金を預けられる窓口」として広く数えると、数はぐっと増えます。日本銀行も、郵便局まで含めれば日本の金融機関の店舗数はドイツとほぼ同水準だと指摘したことがあります。「銀行」を狭く取るか広く取るかで答えが変わる、クイズとしては少し意地悪な問題でした。
第2問:郵便局と公民館、どっちが多い?

どちらも「地域の拠点」というイメージがある施設です。どちらが多いと思いますか。
答え:郵便局のほうが多い(約1.7倍)
文部科学省の「社会教育調査(令和3年度)」によると、公民館は類似施設を含めて13,798館です。郵便局の約2.3万局と比べると、郵便局が約1.7倍多い計算になります(調査年が異なるので、あくまで目安です)。
公民館の数は平成11年度をピークに減り続けています。令和6年度の社会教育調査でも、公民館は減少傾向が続いていると報告されています。市町村合併による施設の統廃合や、建物の老朽化が背景にあると考えられます。一方、同じ調査で図書館や博物館は過去最多を更新しており、「地域の学びの場」の形が少しずつ変わってきていることがうかがえます。
なお、町内会などが運営する「自治公民館」や集会所は、この調査の対象外です。「うちの近所にも公民館があるのに」と感じた方は、それが自治会の施設なのかもしれません。
第3問:コンビニと床屋、どっちが多い?

「床屋さんは最近あまり見かけない」と感じる方も多いかもしれません。コンビニと比べるとどうでしょうか。
答え:床屋のほうが多い(約1.9倍)
厚生労働省の「衛生行政報告例(令和6年度)」によると、2025年3月末時点の理容所(床屋)は107,995施設です。コンビニの約1.9倍にあたります。
ただし、床屋は減り続けています。前年度からの減少は2,302施設(−2.1%)で、減少率は初めて2%台になりました。厚生労働省によると、理容所の数は昭和61年をピークに減少傾向が続いています。現在のペースで減ると、いずれ「コンビニのほうが多い」時代が来るかもしれません。
もうひとつの統計では?
実は、理美容室の数には別の統計もあります。5年に一度の「経済センサス」(2021年)では、理容所が87,048件、美容所が162,431件でした。衛生行政報告例は保健所への届出をもとにした数なので、廃業しても届出が出されていない店舗が残っている可能性があり、業界紙の理美容ニュースは「実態に近いのは経済センサス」と指摘しています。
とはいえ、経済センサスの数字でも床屋はコンビニの約1.5倍です。どちらの統計を使っても「床屋はコンビニより多い」という答えは変わりません。
第4問:美容院の数が床屋よりずっと多いのはなぜ?

美容院は約27.8万、床屋は約10.8万で、美容院は床屋の約2.6倍です。この差はどこから来ているのでしょうか。主な理由を3つ紹介します。
理由①:新しく開業する店の数がケタ違い
令和6年度の衛生行政報告例では、保健所の「使用確認件数」(おおむね新規開業の数とみなせる件数)が、理容所1,305件に対して美容所12,433件でした。新しくできる店の数に、約10倍の開きがあるのです。理美容ニュースによると、この比率は理容学校と美容学校の入学者数の比率ともおおむね一致しているそうです。
理由②:男性も美容院に行くようになった
かつては「男性は床屋、女性は美容院」という住み分けがはっきりしていました。しかし、若い男性を中心に、カットやカラーのデザイン性を求めて美容院を選ぶ人が増えています。お客さんの流れが変われば、店の数もそれに合わせて変わっていきます。
理由③:1〜2人で開業する小さなサロンが多い
美容院は、1店舗あたりの美容師数が全国平均で2.12人と、とても小規模です。美容師として経験を積んだあと、独立して小さなサロンを開くというキャリアが一般的なため、店舗数が増えやすい構造になっています。
ただし、美容院は開業も多い一方で、閉店も多い業界です。理美容ニュースの推計では、美容所の廃店数はこの10年ほど年間1万件前後の高い水準で推移しています。店舗数が多いのは、それだけ競争が激しいことの裏返しでもあります。
第5問:スーパーマーケットとドラッグストア、どっちが多い?

最後の問題です。どちらも毎日の買い物で使う店ですが、全国の数はどちらが多いでしょうか。
答え:ほぼ同じ(どちらも約2.3万店)
スーパーマーケット業界団体の「スーパーマーケット白書2026」によると、2025年のスーパーマーケットの店舗数は23,264店です。一方、日本チェーンドラッグストア協会の実態調査では、2024年度のドラッグストアの店舗数は23,723店でした。
差はわずか459店、率にして約2%です。調査の時期も集計方法も違うので、「どちらが多い」と言い切るより、「ほぼ同じ」と答えるのが正解に近いでしょう。
同じくらいでも、勢いには差がある
数はほぼ同じでも、伸び方には違いがあります。ドラッグストアは調査開始以来ずっと店舗数が増え続けていて、2024年度は前年度から682店舗増えました。総売上高も初めて10兆円を超えています。スーパーマーケットも2025年は前年から232店舗増えていますが、ドラッグストアの増え方のほうが勢いがあります。
最近のドラッグストアは、薬や化粧品だけでなく、食品や日用品も幅広く扱っています。「夕飯の材料をドラッグストアで買う」という方も多いのではないでしょうか。数が並んだ背景には、スーパーとドラッグストアの境目があいまいになってきたことがあります。
おまけ:施設の数字を読むときの3つのコツ
今回のクイズで見てきたように、施設の数は「どの統計を使うか」で答えが変わることがあります。ブログやセミナー資料で施設数を使うときは、次の3点を確認しておくと安心です。
- 何を1つと数えているか:銀行の「実店舗」と「店番」、神社の「宗教法人」と「お社」のように、数える単位で結果は大きく変わります。
- いつの数字か:公民館は3年ごと、経済センサスは5年ごとの調査です。比べる数字の年がそろっているかを見ておきましょう。
- 届出の数か、実態の数か:理美容室のように、届出ベースと実態調査ベースで差が出る施設もあります。「〇〇より多い」と言い切るなら、どちらの統計でも結論が変わらないかを確かめておくと安心です。
中小企業の商圏分析や出店検討でも、競合店の数をどの統計から拾うかで判断が変わることがあります。数字の「定義」をひと手間確認するだけで、分析の信頼性はぐっと上がります。
まとめ:数字を並べると、いつもの街が違って見える

今回のクイズの答えをまとめると、次のようになります。
- コンビニ(約5.6万)より多いのは、美容院(約27.8万)、古墳(約16万)、床屋(約10.8万)、神社(約8.4万)
- コンビニより少ないのは、郵便局(約2.3万)、公民館(約1.4万)、銀行の実店舗(約1万弱)
- スーパーマーケットとドラッグストアは、どちらも約2.3万店でほぼ同じ
美容院が床屋の2倍以上あることや、古墳がコンビニの約3倍もあることは、家族や職場でのちょっとした話のネタになりそうです。次に街を歩くときは、「この施設は全国にいくつあるのだろう」と想像してみると、見慣れた景色が少し違って見えるかもしれません。
出典
- 厚生労働省「衛生行政報告例(令和6年度)」(理容所・美容所数、使用確認件数)
理美容ニュース「理容所10万台に減少、美容所は増加続く ―令和6年度衛生行政報告例―」https://ribiyo-news.jp/?p=48162
理美容ニュース「自治体別 美容所関連の令和6年度『衛生行政報告例』」https://ribiyo-news.jp/?p=48171
理美容ニュース「理美容所の新規開業、理容は美容の1割」https://ribiyo-news.jp/?p=48203
理美容ニュース「理美容室の実数、どちらが正しい?衛生行政報告例と経済センサスを比較」https://ribiyo-news.jp/?p=48249
理美容ニュース「美容所27万の大台超える 令和5年度衛生行政報告例」https://ribiyo-news.jp/?p=44330 - 厚生労働省「理容業概要」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei03/05.html
- 日本フランチャイズチェーン協会 2025年コンビニエンスストア統計(ダイヤモンド・チェーンストアオンライン報道)https://diamond-rm.net/flash_news/533873/
- 経済産業省「商業動態統計調査」(コンビニ店舗数、CREX DATAによる整理)https://www.crex-data.com/industry/retail/convenience-store/market-size
- 文化庁「令和3年度 周知の埋蔵文化財包蔵地数(古墳・横穴)」(古墳にコーフン協会による整理)https://kofun.jp/diary/20160303
- 文化庁『宗教年鑑』令和6年版 https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/hakusho_nenjihokokusho/shukyo_nenkan/pdf/r06nenkan.pdf
- 日本郵便「郵便局数の推移(会社統合後の営業中の店舗)」https://www.post.japanpost.jp/newsrelease/storeinformation/pdf/transition.pdf
- 日本郵便「郵便局ネットワーク」https://www.post.japanpost.jp/about/csr/jp-network.html
- 日本経済新聞「52年ぶり1万店割れ、減少率上位は三菱UFJの2行」(2024年9月)https://financial.nikkei.com/article/DGXZQOUB216DQ0R20C24A8000000
- 日本銀行「金融システムレポート」(2017年10月)の指摘(キャリタス就活による紹介)https://job.career-tasu.jp/finance/articles/150/
- 文部科学省「公民館の振興」https://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/001.htm
- 文部科学省「社会教育調査-用語の解説」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa02/shakai/yougo/1286911.htm
- カレントアウェアネス・ポータル「文部科学省、令和6年度社会教育調査の中間報告を公表」https://current.ndl.go.jp/car/256271
- リセマム「施設数の推移、図書館・博物館は過去最多…社会教育調査」https://resemom.jp/article/2022/07/28/68060.html
- 全国スーパーマーケット協会ほか「スーパーマーケット白書2026」https://www.super.or.jp/wp/wp-content/uploads/2026/02/NSAJ-Supermarket-hakusho2026full-1.pdf
- 日本チェーンドラッグストア協会「第25回(2024年度)日本のドラッグストア実態調査」(薬事日報報道)https://www.yakuji.co.jp/entry116988.html
- かほく市「県指定史跡 宇気塚越1号墳」https://www.city.kahoku.lg.jp/004/404/405/d000249.html
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